基本はレンジ、ただ発表される米指標に注意
〇本日のドル円、積極的な動意に欠け、157.00-50のレンジ取引に終始
〇156.30-157.70のレンジ取引がしばらく続く可能性あるが、米雇用統計や要人発言に要注意
〇テクニカルには、先週のドル円は直近の戻り高値更新するも158円にはとどかず
〇今週ドルがさらなる上値トライに失敗すれば、来週以降流れが変わる展開も
〇6/6のECB理事会、利下げが有力視
〇本日は米5月製造業PMI確報や同ISM製造業景況指数などが発表予定
〇ドル高・円安方向、本日東京高値の157円半ばが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向、本日東京でも割り込めなかった157円の攻防にまずは注目
〇ドル/円予想レンジ:156.70-157.80
<< 東京市場の動き >>
週明けの東京市場は揉み合い。157円前半での一進一退で方向性は乏しい。
先週末は、アジア安全保障会議出席のため訪れたシンガポールで、木原防衛相が米国や韓国、中国、豪州、カナダなどの防衛相とそれぞれ会談を行っていた。一方、ゼレンスキー氏が北欧3国とそれぞれ安全保障協定を締結したとして一部で話題に。
そうした状況下、ドル/円は157.30円前後で寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける。寄り付きを中心に上下25ポイントほど、つまり157.00-50円といったレンジ取引に終始した。日経平均株価は先週末に続き、本日も大幅高。終値で400円を超える上昇をたどったが、影響は限定的なものにとどまっている。16時現在では157.25-30円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「中国情勢」と「ECB金融政策」について。
前者は、中国の董国防相が、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議で講演し、「台湾独立の動きは必ず自滅を招く」と恫喝ともとれるコメント。これについて、台湾総統府報道官からは、「非理性的言論で国際社会の賛同は得られない」との批判発言が聞かれていた。そうしたなか、台湾の海巡署は、実効支配する離島・金門島周辺の制限水域を、中国軍の補給船2隻が航行しているのを確認したと発表し、警戒感が急速に高まっていたようだ。なお、オースティン米国防長官からは台湾情勢に加え、フィリピン情勢もあわせたうえで覇権主義的な動きを強める中国をけん制する発言が聞かれていた。
対して後者は、EU統計局が先週末に発表した5月のユーロ圏物価上昇率が予想を0.1%上回る内容に。しかし、ポルトガル中銀総裁は「ECBの利下げ開始を妨げるほど大きな乖離ではない」と述べ、6月利下げに含みを持たせるコメントを行っていたようだ。そうしたなか、時事通信は今週6日に実施されるECB理事会について、「ユーロ圏の物価上昇率は鈍化傾向にあり、政策金利の引き下げを決定する公算が大きい」と報道していた。米国に先んじる格好で欧州が利下げに動く可能性は極めて高い。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場はすでに1週間以上も156円を割り込んでおらず、非常に底堅い。反面、ドルの上値は抵抗となっていた157円を超えたものの、158円にはとどかず。頭の重い状況は変わっていないようだ。非常におおまかに言えば157円挟みの±70銭、つまり156.30-157.70円といったレンジ取引がいましばらく続く可能性もある。しかし、材料的には週末の米雇用統計発表など重要なイベントも多いだけに、予断を許さない。
日米金融政策への関心が引き続き高く、今週も発表される米経済指標や要人発言には注意を払いたい。また、それとともに今週は前述したように、6日にECB理事会が予定されており、「利下げする」との見方が有力視されているが果たしてどうなるか。さらに、中東を始めウクライナ、台湾・フィリピンなどのアジア情勢もさらに不穏になりつつあるだけに、地政学リスクの高まりについても注意を怠らないようしておきたい。
テクニカルに見た場合、先週のドル/円は直近のドル戻り高値を更新するも158円にはとどかず。また、週間を通した値動きもわずか1.35円に終わっている。リスクはドル高で間違いないものの、ドルの上値は依然として重く、またいわゆる時間切れを警戒する声も聞かれ始めた。雇用統計をはじめとする数多くの米経済指標が発表される今週、ドルがさらなる上値トライに失敗すれば、来週以降流れが変わる展開を指摘する声もある。
本日は米経済指標として、5月の製造業PMI確報や同ISM製造業景況指数などが発表される予定となっている。また、製造業PMIは米国以外、ドイツやユーロ圏、英国などでも発表される見通し。先で取り上げたECB理事会前ということもあり、欧州関係の指標にも一応要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは156.70-157.80円。ドル高・円安方向は本日東京高値の157円半ばが最初の抵抗。超えると、5月29日高値の157.71円が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、本日東京でも割り込めなかった157円の攻防にまずは注目。下回ると先週安値156.36円が視界内に。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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