ドル円 引き続き底堅い流れは続く(週報6月第1週)

先週のドル円は、月末は実需のドル買いも入り157円台前半での引けとなりました。

ドル円 引き続き底堅い流れは続く(週報6月第1週)

引き続き底堅い流れは続く

〇先週のドル円、火曜NY市場での米金利上昇きっかけに、水曜に週間高値157.71レベルつける
〇ダウ・日経平均株価大幅安でリスクオフの円買い戻し、月末実需のドル買いも入り157円台前半で引け
〇10年債利回り一時4.638%と5/2以来の水準へ上昇、米金利の影響大きい
〇先週末時点のFF先物取引状況、1回利下げを見る参加者が55%、2回利下げが45%
〇日米金利差とドル円の相関は0.28、2022年8月以来の水準まで下げる
〇シカゴ通貨先物の円売りポジション約15.6万枚、再び増加傾向に戻す
〇下値は156円台半ばでは底堅く、引き続き動きが止まると円安という流れは変わらずか
〇今週は156.40レベルをサポート、157.90レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通し

先週のドル円は月曜がLDN、NYとも休場だったことから静かなスタートとなりましたが、火曜NY市場で米金利が上昇した動きをきっかけに円安の動きが強まり、水曜に週間高値157.71レベルをつけました。しかしNYダウが大幅安となり日経平均株価も大幅安となったことからリスクオフの円買い戻しが入り、週末にかけては若干弱い米国の経済指標、日銀買いオペ予定の先行公表など強弱ミックスした材料が出る中、月末は実需のドル買いも入り157円台前半での引けとなりました。

基本的には米金利の影響が最も大きいと言えますが、10年債利回りは一時4.638%と5月2日以来の水準へと上がる動きを見せました。6月FOMCを控えてFRB関係者も全体的にタカ派な発言が多い中で、同時に発表される年末時点の金利見通しで利下げが1回なのか2回なのかも注目されています。直近ではFF先物の取引状況も日々微妙に変化していて、先週末時点では1回利下げ(以下)を見る参加者が55%、2回利下げ(以上)を見る参加者が45%という状況でした。

FRBは急激には見通しを変化させない可能性も高そうではありますが、当日までの経済指標次第というところだと思います。特にFOMCと同日に発表されるCPIの数字次第と考える向きが多そうです。日米金利差とドル円との相関も見ておきましょう。

引き続き底堅い流れは続く

最近は日米金利差が縮小傾向にあるにもかかわらずドル円が上昇していることから相関係数(中段)は0.8(赤の水準)を大きく下回り0.28まで下げています。昨年5月の値を下回り2022年8月以来の水準まで下がって来ていますが、過去2回とも相関係数の戻りは日米金利差拡大によって解消しました。そして、その後は相関を高めながらドル円は円安へと動いていたことがわかります。今回どうなるのかはFOMC後にわかるという感じがします。

また、同じチャートの下段にはシカゴ通貨先物の円売りポジションが示されていますが、約15.6万枚と再び増加傾向に戻してきています。こうした動きもドル円の底堅さの要因にあると言えるでしょう。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

一時的に上昇したもののその後下げたことで前回から大きくは変わっていません。4月29日の介入前高値と5月3日雇用統計後安値の61.8%戻しが156.99(赤のターゲット)、雇用統計後安値を起点とした上昇N波動からフィボナッチ・エクスパンションを求めると78.6%エクスパンションが157.43となっていて、157円台前半は動きが止まりやすい水準でした。ここで止まらないと次のターゲットは158円台半ばとなりますが、今週のイベント次第ではありうる水準です。

いっぽうで下値は156円台半ばでは底堅くなってきましたので、今週も同水準をサポートと考えます。引き続き動きが止まると円安という流れは変わらなそうですから、今週は156.40レベルをサポートに、157.90レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

引き続き底堅い流れは続く 2枚目の画像

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

6月3日(月)
10:45 中国5月MarkItサービス業PMI ☆
16:50 フランス5月製造業PMI
16:55 ドイツ5月製造業PMI
17:00 ユーロ圏5月製造業PMI
17:30 英国5月製造業PMI
22:45 米国5月製造業PMI
23:00 米国5月ISM製造業景況指数 ☆
23:00 米国4月建設支出

6月4日(火)
08:01 英国5月小売売上高
16:55 ドイツ5月失業率
23:00 米国4月JOLTS求人件数 ☆
23:00 米国4月製造業新規受注

6月5日(水)
10:30 豪州1〜3月期GDP
10:45 中国5月MarkItサービス業PMI ☆
15:45 フランス4月鉱工業生産
16:50 フランス5月サービス業PMI
16:55 ドイツ5月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏5月サービス業PMI
17:30 英国5月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏4月PPI ☆
21:15 米国5月ADP全国雇用者数 ☆
22:45 カナダ中銀政策金利発表 ☆
22:45 米国5月サービス業PMI
23:00 米国5月ISM非製造業景況指数 ☆
23:30 週間原油在庫統計

6月6日(木)
10:30 豪州4月貿易収支
15:00 ドイツ4月製造業新規受注
17:30 英国5月建設業PMI
18:00 ユーロ圏4月小売売上高
20:30 米国5月チャレンジャー人員削減数
21:15 ECB理事会 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国1〜3月期非農業部門労働生産性改定値
21:30 米国4月貿易収支
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆

6月7日(金)
15:00 ドイツ4月鉱工業生産、貿易収支
15:45 フランス4月貿易収支
16:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
17:00 シュナーベルECB理事講演 ☆
17:00 オーストリア中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP確報値
21:30 米国5月雇用統計☆
23:00 米国4月卸売売上高

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

5月27日(月)
週明けのドル円はLDN、NYとも休場となることから終日動意薄、156円台後半でのもみあいを続け、値幅も34銭にとどまりました。

5月28日(火)
ドル円はNY後場までは動意薄で156円台後半でのもみあいを続けました。NY市場では米金利上昇とともにドル円に買いが入り157.20レベルまで上昇し、高値引けとなりました。

5月29日(水)
ドル円は東京前場は前日NY市場の流れを受けてドル買いが先行しました。しかし日本の長期金利が大きく上昇したことから円高となり、後場には156.89レベルの安値をつけました。欧州市場では買い戻しが強まり、NY市場では米金利上昇から全般的にドル買いが進み、ドル円も157.71レベルまで上昇後に高値圏での引けとなりました。

5月30日(木)
ドル円はNYダウの下げで日経平均株価も大幅安となったことからリスクオフの円買い戻しが先行しました。欧州市場序盤には156円台半ばへと水準を下げ、NY市場では1-3月期のコアPCEが予想よりも弱かったことから米金利が低下、ドル円は一時156.37レベルまで下押しし、上値が重たいまま引けました。

5月31日(金)
ドル円は週末と月末が重なったこともあり東京市場では小動き、欧州市場序盤に日銀が四半期買いオペ予定を現状維持と発表したことをきっかけに円売りが先行しました。157.37レベルまで上値を広げたものの戻り売りも見られ反落、NY市場に入り発表された経済指標が予想よりもやや弱かったことから米金利が低下、一時156.56レベルの安値をつけました。しかし月末実需のドル買いと引けにかけて株が大幅高となったことから高値圏へと戻しての月末クローズとなりました。

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