インフレ収束期待が高まる、じり高の展開は継続へ
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、トルコ中央銀行(トルコ中銀)が市場の予想通り政策金利を2会合連続で50.00%に据え置いたことから、やや動意に欠ける展開となった。
23日、トルコ中銀は主要政策金利である1週間物レポ金利を年50.00%で据え置くと決めた。中銀は声明で「サービスインフレ、インフレ期待、地政学リスク、食料品価格の高止まりがインフレ圧力につながっている」「月次ベースのインフレ率の基調的な傾向が大幅、かつ持続的に低下するまで引き締め姿勢を維持する」と指摘したほか、「今年下半期にはディスインフレが確立される」とも明記した。
カラハン・トルコ中銀総裁は「CPI上昇率は5月に前年同月比75−76%でピークに達する」と発言した。つまり来月に発表される5月CPIをピークにインフレは徐々に収束するとの見方を示した。
この発表に対するトルコリラの反応は限定的だったが、じりじりと下値を切り上げる展開は継続。4月下旬から5月上旬にかけての水準である4.9円では上値は重くなったが、しっかりとした推移は確認できた。
トルコリラ・円(東京時間:5月20日―5月24日)
※Investing.comの日足を参照
始値:4.8323円
高値:4.9002円
安値:4.8063円
終値:4.8671円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
5月23日
20時00分、政策金利、前回:50.00%、市場予想;50.00%、結果:50.00%
5月24日
17時00分、4月外国人観光客(前年比)、前回:15.7%、結果:8.7%
5月27日
16時00分、5月製造業景況感指数(季調済)、前回:103.5
16時00分、5月設備稼働率、前回:76.7%
5月30日
16時00分、4月貿易収支、前回:−73.4億ドル、市場予想:−99.0億ドル
5月31日
16時00分、第1四半期GDP(前年比)、前回:4.0%、市場予想:5.8%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、インフレ収束に対するトルコ経済持ち直しへの期待感を材料に、しっかりの展開を想定する。4月貿易収支や第1四半期GDPはさほど強い数字は期待できないが、5月製造業景況感指数などはトルコ経済が回復しているのであれば、そこそこ強い数字が期待できよう。
トルコ中銀声明やカラハン・トルコ中銀総裁発言などを受けて、S&P関係者は「第4四半期まで金利変更はない」との見方を示す一方、「早ければ秋頃には利下げを実施する」との声もある。この辺は、6月3日に発表される5月のCPI及びPPI(生産者物価指数)でインフレ状況、そして、製造業PMIで経済状況をそれぞれ確認する必要がある。トルコ経済持ち直しが強く意識されトルコリラが上昇するのは6月上旬と考える。
テクニカル面は引き続き良好だ。日足ベースでは、3月13日の史上最安値4.5227円から下値をじりじりと切り上げており、下値不安は乏しい。日足の一目均衡表の雲上限より上で推移しており、4月29日の高値4.9256円をクリアすれば、200日移動平均線が位置する5.01円水準までは目立った上値抵抗水準は確認できないことで上が意識されよう。
4月29日高値と5月3日安値をそれぞれ起点としたミニ三角保合いを上放れた。6月上旬の経済指標確認まで一気に上に動く展開とはなりにくいが、下値を切り上げたじり高は続くと想定する。
トルコリラ円日足
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