トルコリラ円見通し 対ドルでリラが安定、ドル円の上昇を追いかける展開続く(24/5/27)

トルコリラ円の5月24日は概ね4.88円から4.86円の取引レンジ、25日早朝の終値は4.87円で前日終値と変わらなかった。

トルコリラ円見通し 対ドルでリラが安定、ドル円の上昇を追いかける展開続く(24/5/27)

対ドルでリラが安定、ドル円の上昇を追いかける展開続く

〇トルコ円、5/23ドル円が157円台へ乗せたところで4.88へ高値伸ばし、ドル円の上昇追う展開続く
〇5/27朝、一時的なドル安リラ高反映し4.95つけるも、早々に元の水準へ押し返される
〇対ドル、5/24は概ね32.28から31.94の取引レンジ。32リラ挟んだ小動きで歴史的リラ安落ち着く
〇今週、5/31のトルコGDP速報値に要注目
〇インフレ抑制と伝統的で正常な経済政策の継続で、5月以降は海外からの投資拡大
〇4.89下回るうちは一段安余地あり、4.86割れからは4.84前後への下落想定
〇4.89前後は戻り売りも出やすいとみるが、4.89超えからは4.91、4.93を順次試す上昇想定

【概況】

トルコリラ円の5月24日は概ね4.88円から4.86円の取引レンジ、25日早朝の終値は4.87円で前日終値と変わらなかったが、週間では5月17日終値4.83円から0.04円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラの歴史的暴落が落ち着いて4月後半からはややリラ高優勢で推移し、5月10日以降は32リラを挟んでほぼ横ばい推移で安定しているため、トルコリラ円は5月3日夜からドル円の上昇を追いかける展開を続けている。
ドル円は5月23日未明の米FOMC議事要旨がタカ派だったことと23日夜の米5月PMIが堅調だったことによる米長期債利回り上昇によりで5月23日深夜に157.19円を付けて5月14日高値156.75円を超えて5月3日夜安値151.85円以降の高値を更新し、25日早朝にかけては高値更新へ進まなかったものの157円を挟んでしっかりした。

トルコリラ円は5月23日早朝に4.87円を付けて5月14日高値4.86円を超えて5月3日安値4.69円以降の高値を更新し、23日深夜にドル円が157円台へ乗せたところで4.88円へ高値を伸ばした。24日の日中から25日早朝にかけては高値更新へ進まなかったものの4.86円以上を維持して確りした。
5月27日朝には一時的なドル安リラ高を反映して4.95円を付けて4月29日にドル円が160円台に到達したところで付けた高値4.92円を超えたが早々に元の水準へ押し返されており、27日午前序盤は4.87円近辺に付けている。
ドル円は5月14日夜高値を超えたことで5月3日夜安値を起点とした上昇が二段目に入っており、トルコリラ円も同様に二段目の上昇期に入っている。ドル円が三度目の市場介入で急落する場合や、5月30日の米GDP改定値や31日の米4月PCEデフレーター等をきっかけに下落する場合にはトルコリラ円も戻り一巡による下落期入りとなりかねないが、市場介入が見送られながら米GDPやPCEデフレーターをきっかけに一段高へ進む場合にはトルコリラ円もドル円を追いかけて高値追及へ進む可能性もあると思われる。

【ドル/トルコリラは32リラを挟んだ小動き、歴史的リラ安が落ち着く】

ドル/トルコリラの5月24日は概ね32.28リラから31.94リラの取引レンジ、25日早朝の終値は32.20リラで前日終値の32.16リラからは0.04リラのドル高リラ安で、週間では5月17日終値と変わらず、5月24日時点では4月30日終値32.40リラから0.20リラのドル安リラ高となっている。
3月31日のトルコ統一地方選でエルドアン大統領率いる与党が大敗したことをきっかけに31.36リラへ急伸してから4月12日に33.03リラへ一段安となり取引時間中の史上最安値を更新した時点では歴史的なリラ暴落がさらに続く懸念が強まったが、4月25日にトルコ中銀が政策金利を据え置いてインフレ抑制のための引き締めを継続するとしたことでリラ売りが収まり、日足の終値ベースでは4月24日終値32.54リラを最安値としてリラ高へ風向きが変わり、5月3日のS&Pによるトルコ格上げも加勢となり5月14日には一時31.89リラを付けてこの間の高値を更新した。

その後は高値更新へ進めず、日足の終値としても31リラ台へ進めずに32リラ台が続いているもののほぼ横ばいの推移でしっかりしており、歴史的なリラ安に歯止めがかかったのではないかとの見方も徐々に強まっている印象だ。
今週は5月31日のトルコGDP速報値が注目される。

【海外からのトルコ投資拡大】

昨年5月の大統領選でエルドアン大統領が三選を果たした際、財務相にシムシェキ氏、中銀総裁にエルカン氏を採用してそれまでの「利下げがインフレを抑制する」等の大統領の非伝統的主張を引っ込めて伝統的な金融政策に転換した後もトルコリラの下落とインフレ高進は続いてきたが、今年3月末の地方選敗北後も民衆支持を回復するためのインフレ抑制と伝統的で正常な経済政策を継続していることで外資のトルコ評価は徐々に高まってきた。
インフレ率はまだ高水準だが政策金利を50%へ引き上げた後もインフレが鈍化するまで引き締め姿勢を続けるとしていること、財政再建のための増税や予算の緊縮化を進めていることと、4月後半からリラ安が落ち着いたことで5月以降は海外からの投資が拡大しているようだ。

リラについては年末に1ドル40リラ近くへさらに下落するという見方が根強いものの、トルコ10年債利回りは27%台、イスタンブール100株価指数は昨年末の7470.18から5月21日には11088.01の史上最高値を付けてこの間の上昇率は148%であり、リラの下落リスクよりもトルコ国債やトルコ株への投資妙味が勝っている。それでもエルドアン政権による政策変更リスクもあり4月までは海外勢もかなり慎重だったといえるが、5月に入ってからは金利の安い通貨を借りてトルコへ投資する動きが活発化しているとの報道もある。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、5月21日午後高値を直近のサイクルトップとして高値更新から新たな強気サイクル入りとしていたが、5月23日早朝への上昇で21日午後高値を超えたために23日午前時点では22日朝安値4.84円を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして24日午前から28日午前にかけての間への上昇を想定した。
27日朝の一時的な急伸から反落しているので27日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定する。ボトム形成期は27日朝から29日朝にかけての間とし、4.89円を超えないうちは一段安余地ありとするが、連続的な上昇で4.89円を超えるところからは次の強気サイクル入りと仮定して30日朝から6月3日朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では5月23日早朝への一段高で遅行スパンが好転して先行スパンを上回る状況が概ね維持されているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。一時的な下落を除き先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合はその後の続落を想定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月22日夜から23日夜への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられてから軟調推移に入っていたが、27日朝の上昇で70ポイントを付けてから50ポイント割れまでいったん低下した。55ポイントを下回るうちは一段安余地ありとみて45ポイント割れからは30ポイント台前半への低下を想定するが、55ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイントを試す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.86円を下値支持線、4.89円を上値抵抗線とする。
(2)4.89円を下回るうちは一段安余地ありとし、4.86円割れからは4.84円前後への下落を想定する。4.84円以下は反騰注意とするが、ドル円が急落する場合は4.82円前後へ下値目途を引き下げる。
(3)4.89円前後は戻り売りも出やすいとみるが、4.89円超えからは4.91円、4.93円を順次試す上昇を想定し、4.88円を上回っての推移なら28日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月27日
 16:00 5月 製造業景況感 (4月 106.1)
 16:00 5月 設備稼働率 (4月 76.7%)
5月30日
 16:00 4月 貿易収支確報 (3月 -73.4億ドル、予想 -99.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 5月24日時点 (5月17日時点 785.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 5月24日時点 (5月17日時点 338.4億ドル)
5月31日
 16:00 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月 1.0%)
 16:00 1-3月期 GDP 前年同期比 (10-12月 4.0%)

6月3日
 16:00 5月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (4月 3.18%)
 16:00 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 69.8%)
 16:00 5月 コアCPI 前月比 (4月 3.6%)
 16:00 5月 コアCPI 前年同月比 (4月 75.8%)
 16:00 5月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (4月 3.60%)
 16:00 5月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (4月 55.66%)


注:ポイント要約は編集部

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