ドル円 ドル高基調継続も上値は依然重そう(週報5月第4週)

先週のドル/円相場はドルが小高い。わずかではあるが前週高値を更新し、1日以来の157円台を示現する局面も観測されていた。

ドル円 ドル高基調継続も上値は依然重そう(週報5月第4週)

ドル高基調継続も上値は依然重そう

〇先週のドル円、週間安値155.50示現後は緩やかな右肩上がり
〇週末には5/1以来となる157円台をつけ、そのままドル高値圏で越週
〇米要人発言は全般的にタカ派優勢で、ドルの支援要因に
〇テクニカルには、高値160.22を起点とした下げ幅の61.8%戻しにあたる157円超える
〇76.4%戻しにあたる158.25レベルも超えれば100%戻しの160円台が再び視界内に
〇実弾介入含め、日米当局の介入スタンスを試す展開となるか
〇今週は米GDP改定値、コアCPE価格指数、日中の経済指数等の発表、要人発言に注意
〇ドル高・円安方向、先週高値157.19をめぐる攻防にまずは注目
〇ドル安・円高方向、156円台に弱いサポート、155円後半まで達した21日移動平均線が強いサポート
〇今週のドル円予想レンジ:155.50-158.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小高い。わずかではあるが前週高値を更新し、1日以来の157円台を示現する局面も観測されていた。

前週末は、「イラン大統領らの乗ったヘリが山中で行方不明になった」と伝えられ物議を醸す。一方、ウクライナ大統領がインタビューで、フランスのマクロン大統領による今夏のパリ五輪期間中の戦闘停止の呼び掛けを拒否したと伝えられている。
そうした状況下、週明けのドル/円は155.60円で寄り付いたのち、週間安値となる155.50円を示現。しかし、以降は緩やかな右肩上がりで、週末には1日以来となる157円台をつけ、同日NYはそのままドル高値圏で取引を終え越週となった。
なお、先週はおおまかに言って円の全面安。ドル/円以外、クロス円の多くも上値を試す向きが多い。ポンド/円は再び200円台を記録したほか、NZドル/円は96円台まで上昇し年初来高値を更新していたようだ。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「イラン大統領死亡」について。
前者は、ここ数週間は発表される米経済指標や要人発言に一喜一憂することがあるが、先週もおおむねその流れを踏襲した展開。しかし、アトランタ連銀総裁から「第4四半期前の利下げはない」、バーFRB副議長による「考えていたよりも長いあいだ金利の据え置きが必要」との発言が聞かれたうえ、明らかになったFOMC議事要旨も利下げどころか「必要なら追加引き締め、様々な参加者が前向き」−−との内容で、全般的にはタカ派優勢だった。ドルの支援要因に。なお、そうしたなかイエレン米財務長官が「為替介入はめったに使用されない手段であるべき」と発言したと伝えられ、明言はなかったが日本の為替介入をけん制したのではといった思惑に繋がっていたもよう。

それに対して後者は、週末に伝えられ物議を醸した「イラン大統領らの乗ったヘリが山中で行方不明に」とのニュースは、そののちヘリの墜落により、搭乗していたライシ大統領らの死亡が確認されている。一方、この件について一部で陰謀論、「イスラエル関与説」なども取り沙汰されていたようだが、そのイスラエルは「我々ではない」と事故への関与を明確に否定。また、米国もオースティン国防長官が「イラン大統領ヘリ墜落に米は関与していない」と述べ、火消しに動いていたことで思惑は徐々に沈静化した感がある。ただし、それでも今回の件が中東地域の地政学リスクの拡大に継がりかねないなどと懸念を抱く向きもある。今週も引き続き関連情報などにはしっかりとした注意を払いたいところだ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は、先週末にかけ1日以来の高値である157円台を記録。同レベルは米FOMC後に日本の政府・財務省が不意打ちとなる実弾介入に動いたとされることで、再び実弾介入に動く可能性も取り沙汰されているが果たしてどうなるか。ちなみに、フィボナッチの観点でいうと、高値160.22円を起点とした下げ幅の61.8%戻しが157円に当たっていたが、超えたことで次のターゲットは同76.4%戻しにあたる158.25円レベルとなる。それも超えれば100%戻し、つまり160円台が再び視界内に。

日米を中心とした各国金融政策が注視されているという構図は基本的に変わらず。ただし米国について、ここ数週間は発表される経済指標や要人発言に左右されるという展開をたどることがあり、今週以降も基本的にはその流れは続く見通しだ。また、それともに市場で関心を集めそうなのが、日本の政府・財務省による実弾介入。先で指摘したイエレン発言が「日本の介入けん制」と捉えられる一方で、この週末に神田財務官は「今後も必要に応じて、いつ何時でも適切な措置を取って参りたい」と発言していた。どちらが「より正しい」のか、当局の介入スタンスを試す展開も。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は円買い介入警戒が依然として強いものの、基本的なリスクは上向きで160円方向に向けた動きが見込まれている。最初の抵抗は先週高値157.19円で抜ければ158.25円レベル、それも超えるといよいよ160円台が意識されそうだ。
それに対するドルのサポートは先週安値の155円半ば。その少し上のレベルには、移動平均の21日線も位置しており、NYクローズなどでしっかり下回ると基調転換さえ意識されかねないだろう。

そうしたなか今週は、1-3月のGDP改定値や4月のコアPCE価格指数などの米経済指標が発表される予定となっている。また、5月の東京都区部消費者物価指数をはじめとする日中経済指標でも注目されているものは少なくないようだ。さらに、今週も米国を中心とした通貨当局者らの講演など発言機会が数多く予定されている。そちらにも注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、155.50-158.50円。ドル高・円安については、先週高値157.19円をめぐる攻防にまずは注目。抜ければ158円台へと向かうが、その過程では円買い介入警戒がドルの上値を抑制しそうだ。
対してドル安・円高方向は、156円台にも弱いサポートはあるものの、強いものと言えば155円後半まで達してきた移動平均の21日線か。近くには先週安値155.50円も位置している。仮に下回ると、16日安値153.60円がターゲットに。

ドル高基調継続も上値は依然重そう

ドル円日足


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