『約1ヵ月ぶり高値を更新。外国人投資家によるトルコ向け投資拡大が下支え』
〇今週のトルコ円、週後半にかけ4.89まで上昇
〇ドル円の堅調推移、トルコへの資金流入期待、トルコ外貨準備の大幅増額等が背景
〇テクニカルには日足が主要テクニカルポイントの上で推移、買いシグナルも成立、地合い強い
〇ファンダメンタルズもトルコ経済復調期待、中銀の追加利上げ観測等がサポート
〇トルコリラ円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.75ー5.00
今週のレビュー(5/20−5/24)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.83円で寄り付いた後、週央にかけて、週間安値4.80円まで軟化しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)ドル円相場の堅調推移(日米金利差に着目した円キャリートレード再開→ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)や、(2)外国人投資家によるトルコアセットへの資金流入期待、(3)テクニカル的な地合いの強さ、(4)週次外貨準備高の大幅増加(グロス・ネット共に前週比で大幅増加)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値4.89円(4/29以来の高値圏)まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/25午前3時00分現在)では、4.86円前後で推移しております。尚、今週はトルコ中銀による金融政策決定会合が開催されましたが、無風通過(政策金利が予想通り50%に据え置き決定)となったことから、トルコリラ円相場への影響は限られました。
来週の見通し(5/27−5/31)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は3/13に記録した史上最安値4.52円をボトムに切り返すと、4/29に一時4.92円まで急伸し、現在も高値圏での推移が続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること、対ドル相場の史上最安値更新の流れが約1ヵ月半に亘りストップしていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の復調期待や、(2)トルコ中銀による追加利上げ観測(トルコ中銀カラハン総裁は5/14に「インフレ率を引き下げるために必要なことは何でもする」と発言。今週開催されたトルコ中銀会合でも声明文の中に「インフレの大幅かつ持続的な悪化が予想される場合、金融政策スタンスは引き締められるだろう」との文言あり)、(3)トルコアセットへの資金流入期待(エルドアン大統領は昨年5月の再選を契機にこれまで進めてきた政策を180度転換→トルコ中銀は昨年6月以降、計4150bpもの利上げを決定→格付大手フィッチは3/8にトルコを格上げ→格付大手S&Pも5/3に格上げ決定→トルコ政府は5/13に包括的な財政緊縮策を発表→外国人投資家による信頼回復→トルコアセットへの資金流入活発化期待)、
(4)トルコリラと日本円の金利差に着目したリラ買い・円売り、(5)日本政府・日銀による為替介入警戒感の後退(イエレン米財務長官は日本の為替介入を牽制)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続伸(心理的節目5.00円の突破を試すシナリオ)をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は5/27に予定されているトルコ5月製造業景況感や、トルコ5月設備稼働率、5/30に予定されているトルコ4月貿易収支、5/31のトルコ1ー3月期GDPに注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.75ー5.00
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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