来週の為替相場見通し:『日米金利差に着目した円キャリートレードが続く見通し』(5/25朝)

ドル円(USDJPY)は5/3に記録した安値151.87をボトムに切り返すと、週後半にかけて、一時157.20まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『日米金利差に着目した円キャリートレードが続く見通し』(5/25朝)

『日米金利差に着目した円キャリートレードが続く見通し』

〇今週のドル円、週後半にかけて高値157.20まで上昇、157円付近で越週
〇FRB関係者からのタカ派発言、FOMC議事要旨のタカ派的内容、米5月PMIの好調等が背景
〇ユーロドル、ECB利下げ観測、米長期金利上昇に週後半にかけ一時1.0805まで下落
〇ドル円、フィボナッチ38.2%戻し・半値戻し・61.8%戻しを達成、テクニカルの地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも円キャリートレードの長期化期待、為替介入警戒感の後退等がドル円をサポート
〇来週は5/31に予定されている米4月PCEコアデフレータに注目
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):155.75ー158.25、(EURUSD):1.0750−1.0950

今週のレビュー(5/20−5/24)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初155.60で寄り付いた後、早々に週間安値155.49まで軟化しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)アトランタ連銀ボスティック総裁による「インフレ目標の2%に到達すると確信できるまでまだ時間がかかる」「第4四半期前の利下げはないだろう」とのタカ派的な発言や、(2)バーFRB副議長による「以前考えられていたよりも長期間引き締めを維持する必要がある」とのタカ派的な発言、(3)ジェファーソンFRB副議長による「ディスインフレの進展鈍化が長期にわたるかどうかを判断するには時期尚早」とのタカ派的な発言、(4)サンフランシスコ連銀デイリー総裁による「現時点では金利引き上げの必要性を示す証拠は見当たらない」とのタカ派的な発言、(5)クリーブランド連銀メスター総裁による「インフレがどのような軌道を辿っているか判断するのはまだ早い」とのタカ派的な発言、

(6)シカゴ連銀グールズビー総裁による「インフレ統計を長期観察し忍耐強くある必要」とのタカ派的な発言、(7)ボストン連銀コリンズ総裁による「金利調整に必要な進展には時間がかかるだろう」「忍耐が重要となる局面にある」とのタカ派的な発言、(8)米FOMC議事要旨(4/30ー5/1開催分)における「数人の当局者は必要ならさらなる引き締めに意欲」「一部の当局者は長期金利がこれまで考えられていたよりも高くなる可能性があると認識」「当局者らはインフレが下がらなければ金利を長期間維持することを議論」との予想以上にタカ派的な内容、(9)米新規失業保険申請件数(結果21.5万件、予想22.0万件)の良好な結果、

(10)米5月製造業PMI速報値(結果50.9、予想49.9)および、同非製造業PMI速報値(結果54.8、予想51.2)の市場予想を上回る結果(2022年4月以来の高水準)、(11)米FRBによる利下げ観測後退(米金利上昇→米ドル買い)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値157.20(5/1以来の高値圏)まで上昇しました。週末にかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/25午前4時30分現在)では、156.95前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0866で寄り付いた後、早々に週間高値1.0885まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)ラトビア中銀カザークス総裁による「6月ECB理事会で利下げが開始される見込み」とのハト派的な発言や、(2)ユーロ圏3月貿易収支(結果173億ユーロ黒字、予想200億ユーロ黒字)の市場予想を下回る結果、(3)対英ポンドでのユーロ売り圧力(英4月消費者物価指数が市場予想を上回る結果→英BOEによる利下げ観測後退→英ポンド急伸→ユーロポンド急落→ユーロドル連れ安)、(4)米当局者らによる相次ぐタカ派発言、(5)米FOMC議事要旨の予想以上にタカ派的な内容、(6)米経済指標(米新規失業保険申請件数、米5月製造業PMI速報値、米5月非製造業PMI速報値)の良好な結果、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力、

(8)ユーロ圏5月消費者信頼感速報値(結果▲14.3、予想▲14.2)の市場予想を下回る結果が重石となり、週後半にかけて、週間安値1.0805まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(9)シュナーベルECB専務理事による「いくつかのインフレ要因に粘着性が見られる」「速過ぎる利下げペースは望ましくない」とのタカ派的な発言や、(10)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(11)欧州経済の復調期待(今週発表されたユーロ圏のPMI速報値は概ね良好な結果)、(12)ユーロ圏1−3月期協約賃金(結果+4.69%、前回+4.45%)の伸び率加速(ECBによる利下げペースが緩やかになるとの見方の浮上)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間5/25午前4時30分現在)では、1.0850前後まで持ち直す動きとなっております。

来週の見通し(5/27−5/31)

<ドル円相場>
ドル円(USDJPY)は5/3に記録した安値151.87をボトムに切り返すと、週後半にかけて、一時157.20まで急伸しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること、フィボナッチ38.2%戻し・半値戻し・61.8%戻しを達成したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日米金利差に着目した円キャリートレードの長期化期待(米当局者による相次ぐタカ派発言+米経済指標の良好な結果→米9月利下げ観測後退→米金利上昇→米ドル買い→日米金利差は当面縮まらないとの思惑)や、(2)日本政府・日銀による為替介入警戒感の後退(イエレン米財務長官は今週も「介入はまれであるべき」と発言→日銀による追加的な為替介入を牽制)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。こうした中、来週は上記1を見極める目的で5/31に予定されている米4月PCEコアデフレータに注目が集まります。

市場予想を上回る結果となれば、米FRBによる年内利下げ観測後退→米金利上昇→米ドル買いの経路で、ドル円に強い上昇圧力が加わるシナリオが想定されることから、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は日銀高官(植田日銀総裁、内田日銀副総裁、安達審議委員など)による発言も複数予定されているものの、サプライズは無いと見られることから、ドル円相場への影響は限定的となりそうです。

来週の予想レンジ(USDJPY):155.75ー158.25

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は4/16に記録した安値1.0601(昨年11/2以来、約5カ月ぶり安値)をボトムに切り返すと、5/16に一時1.0896(3/21以来、約2カ月ぶり高値圏)まで上昇しました。今週は幾分弱含む展開となりましたが、1.0800台を死守するなど底堅い動きが続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)欧州経済の復調期待(先週発表されたドイツ5月ZEW景況感指数、ユーロ圏5月ZEW景況感指数、ユーロ圏3月鉱工業生産、今週発表されたフランス5月製造業PMI速報値、ドイツ5月製造業PMI速報値、ドイツ5月非製造業PMI速報値、ユーロ圏5月総合PMI速報値はいずれも良好な内容)や、(2)ECBによる7月以降の利下げ観測後退(ECB高官は6月利下げの可能性を肯定しつつも7月以降の連続利下げの可能性を否定→ユーロ圏1−3月期協約賃金の伸び率加速もこれを後押し)など、ユーロドル相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。

こうした中、来週は上記1を見極める目的で、5/27に予定されているドイツ5月IFO景況感指数に注目が集まる他、上記2を見極める目的で、5/29のドイツ5月消費者物価指数と、5/31のユーロ圏5月消費者物価指数に注目が集まります。ドイツ5月IFO景況感指数が市場予想を上回る場合や、インフレ指標が市場予想を上回る場合には、欧州経済の復調期待と、ECBによる連続利下げ観測後退が組み合わさるため、ユーロドルに強い上昇圧力が加わるシナリオが想定されます。月末ロンドンフィキシングに絡むユーロ買いフローも見込まれることから、当方では引き続き、ユーロドル相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0750−1.0950

注:ポイント要約は編集部

『日米金利差に着目した円キャリートレードが続く見通し』

ドル円日足

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