トルコリラ円見通し ドル円の上昇を追いかけて5月3日夜以降の高値更新(24/5/24)

トルコリラ円の5月23日は概ね4.88円から4.85円の取引レンジ、24日早朝の終値は4.87円で前日終値4.86円から0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の上昇を追いかけて5月3日夜以降の高値更新(24/5/24)

トルコリラ円見通し ドル円の上昇を追いかけて5月3日夜以降の高値更新

〇トルコリラ円、5/23早朝4.87を付け、5/14高値4.86を超えて5/3安値4.69以降の高値を更新
〇5/23深夜、ドル円が157円台へ乗せたところで4.88を付ける、その後も4.86前後を買われ高値圏を維持
〇対ドル、5/23は概ね32.23から31.96の取引レンジ、5/24午前序盤は32.25から32.13のレンジで推移
〇終値ベースでは32リラ台へ押し戻される状況が続いており、リラ買いの勢いが鈍っているか
〇トルコ中銀、2会合連続で政策金利を50%で据え置き、予想通りだったため市場の反応は限定的
〇昨日発表の外貨準備高、グロス・ネットともに大幅増加
〇4.84を上回るうちは一段高余地ありとし、4.88超えからは4.90前後への上昇を想定する
〇4.84割れからは下落期入りとみて、4.82前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の5月23日は概ね4.88円から4.85円の取引レンジ、24日早朝の終値は4.87円で前日終値4.86円から0.01円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラは1ドル32リラを挟んだ小動きを続けており、23日夜にトルコ中銀が政策金利を予想通り据え置いたことに対する反応も限定的だったため、トルコリラ円はドル円の上昇を追いかけて5月3日以降の高値を更新した。
ドル円は5月23日未明の米FOMC議事要旨で政策金利据え置きが長期化してインフレ再燃の場合には利上げもあり得るとの主張も見られるタカ派内容だったために23日早朝に156.84円へ上昇して5月14日高値156.75円を超えて5月3日夜安値5.81円以降の高値を更新し、23日午前に156.90円を付けてから上げ渋っていたものの23日夜の米S&Pグローバルによる5月の米PMIが製造業とサービス業ともに予想を上回ったことをきっかけとして157.19円へ高値を伸ばし、24日午前序盤も157円近辺での推移を続けている。

トルコリラ円は5月23日早朝に4.87円を付けて5月14日高値4.86円を超えて5月3日安値4.69円以降の高値を更新したが、23日深夜にドル円が157円台へ乗せたところで4.88円を付けた。その後も4.86円前後を買われて高値圏を維持している。
トルコリラ円の5月3日夜安値を起点とした上昇は5月14日夜高値までを一段目とし、5月16日午前安値を起点として二段目に入っているが、二段目の上昇が一段目と同規模に発展すれば上値目途は4.93円と計測され、4月29日にドル円が160円台へ上昇した時に付けた高値4.92円超えを試すことも考えられる。あくまでもドル円が続伸できるかどうかにかかっており、ドル円が5月2日早朝に二度目の市場介入が行われた直前の高値157.58円を超えるかどうかを三度目の介入を警戒しつつ試して行く中で、トルコリラ円も慎重にドル円を追いかける展開を続けると思われる。

【ドル/トルコリラは32リラを挟んだ攻防だが終値32リラ台が続く】

ドル/トルコリラの5月23日は概ね32.23リラから31.96リラの取引レンジ、24日早朝の終値は32.16リラで前日終値32.17リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。24日午前序盤は32.25リラから32.13リラのレンジで推移してややリラ安気配がみられる。
5月23日夜にトルコ中銀は政策金利を据え置いたが予想通りだったために市場の反応は限定的だった。
4月12日に付けた取引時間中の史上最安値33.03リラと終値ベースでの史上最安値である4月24日終値32.54リラからドル安リラ高基調に入ったものの、5月9日以降に繰り返し31.90リラ台の高値を付けているものの終値ベースでは32リラ台へ押し戻される状況が続いており、リラ買いの勢いも鈍っている。

トルコの金融政策正常化が続き、インフレ抑制のための金融引き締めも継続することで年後半にはインフレが落ち着いてトルコ経済も再び活性化するのではないかとの期待感もあり、S&Pによるトルコ格付けの引き上げや外貨準備高が再び増加傾向を示していることがリラを支えているが、インフレの高止まりとリラ安がさらに続くのではないかとの懸念や緊縮財政をとり始めたことによるトルコ景気への悪影響を懸念する声もあるために1ドル32リラを挟んだ膠着状態に陥っている印象だ。
5月23日に発表されたトルコ5月消費者信頼感指数は80.5で4月と変わらなかった。昨年8月に68.0へ悪化してから改善しているが、今年1月以降は80ポイントを挟んでほぼ横ばいの推移にとどまっている。

【トルコ中銀、2会合連続で政策金利据え置き】

5月23日にトルコ中銀は政策金利の週間レポレートを50%で据え置いた。インフレ高進が続く中で3月に5%の追加利上げで政策金利を50%へ引き上げてインフレ抑制のための引き締めを継続するとしていたが、4月会合に続いて5月会合も同様の姿勢を継続した。
トルコ中銀は会合後の声明で前回と同様に「インフレ基調が大幅に低下するまで金融引き締めを維持する」としたが、4月のトルコCPI(消費者物価指数)が前年同月比69.8%と高進した状況が続いており、中銀のカラハン総裁は5月9日に「5月のCPIは75〜76%でピークを迎え、その後に低下する」との見通しを示したものの、年末の中銀インフレ率予想を従来の36%から38%へ引き上げたため、6月3日に発表される5月CPIの内容次第では6月会合で追加利上げもあり得るのではないかとの声も聞かれる。

【外貨準備高が大幅増加】

5月23日夜に発表された週次の外貨準備高は5月17日時点のグロスで785.5億ドルとなり5月10日時点の742.0億ドルから大幅に増加し、ネットでは338.4億ドルとなり5月10日時点の308.7億ドルから大幅に増加した。
グロスの外貨準備高は2023年6月の565.2億ドルから2023年12月に975.6億ドルまで大幅増加したところをピークとして減少に転じ、ネットの外貨準備高も2023年6月にマイナス57億ドルまで悪化したところから2023年12月の400.9億ドルへ増加したところをピークとして低下してきたが、グロスでは5月序盤の649.7億ドルを最低として再び増加し、ネットでも5月序盤の140.1億ドルまで大幅減少したところを底として急増している。外貨準備高が増加すれば外資の評価も上がる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、5月21日午後高値から上げ渋りに入ったために22日午前時点では5月21日午後高値を超える場合は新たな強気サイクル入りとするのを妥当とみて5月21日午後高値を直近のサイクルトップとし、5月23日早朝への上昇で21日午後高値を超えたために23日午前時点では22日朝安値4.84円を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして24日午前から28日午前」にかけての間への上昇を想定した。
5月23日夜へ続伸した後も高値圏を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、22日朝安値4.84を割り込む場合は底割れによる弱気サイクル入りとして25日早朝から29日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月23日早朝への一段高で遅行スパンが好転して先行スパンを上回る状況も概ね維持されているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。一時的な下落を除き先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は弱気転換注意として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月22日夜から23日夜への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるため、60ポイント台を回復するところからは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移が続く場合は下向きし、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント割れを試す低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.84円を下値支持線、4.88円を上値抵抗線とする。
(2)4.84円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.88円超えからは4.90円前後への上昇を想定する。4.90円以上は反落警戒とするが、4.85円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.84円割れからは下落期入りとみて4.82円前後への下落を想定する。4.82円前後は反騰注意とするが、4.84円以下での推移なら週明けも続落しやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月24日
 17:00 4月 海外観光客数 前年同月比 (3月 15.65%)
5月27日
 16:00 5月 製造業景況感 (4月 106.1)
 16:00 5月 設備稼働率 (4月 76.7%)
5月30日
 16:00 4月 貿易収支確報 (3月 -73.4億ドル、予想 -99.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 5月24日時点 (5月17日時点 785.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 5月24日時点 (5月17日時点 338.4億ドル)
5月31日
 16:00 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月 1.0%)
 16:00 1-3月期 GDP 前年同期比 (10-12月 4.0%)



注:ポイント要約は編集部

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