米PMI改善で米長期債利回りが上昇、157円台到達で5月3日以降の高値を更新
〇ドル円、5/23朝に156.84を付け、午前に156.90へ高値を伸ばしてから上げ渋る
〇5/23夜の経済指標の結果を受けドル高が勢い付き、深夜157.19へ高値を切り上げる
〇157円台到達に対する高値警戒感もあり、その後は157円を若干下回って推移
〇昨日発表の米PMIは強い結果、利下げ先延ばし感がさらに強まり、米長期債利回り上昇とドル高を招く
〇米長期債利回りは総じて上昇、ダウは大幅下落、ナスダックは史上最高値を更新するも急落に転じる
〇156.51を上回るうちは上昇余地ありとし、157.19超えからは157円台中盤への上昇を想定する
〇156.51割れからはいったん下げに入るとみて、5/21深夜安値155.84試しを想定する
【概況】
ドル円は5月23日未明に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(4月30−5月1日開催分)においてインフレ沈静化が従来予想より長引くとして利下げ判断に慎重な姿勢が示され、インフレ再燃リスクが強まる場合には追加利上げをすべきとの主張も見られたことをタカ派的としたドル高優勢の流れにより、発表前の156.40円台から23日朝に156.84円を付けて5月14日夜高値156.75円を超えて5月3日夜安値151.85円以降の高値を更新した。
5月23日午前に156.90円へ高値を伸ばしてから上げ渋っていたものの、23日夜の米新規失業保険申請件数の減少やS&Pグローバルによる米PMIが予想以上に改善したことで利下げ開始先延ばし感が一段と強まり米長期債利回りが上昇してドル高が勢い付いたために23日深夜に157.19円へ高値を切り上げた。157円台到達に対する高値警戒感もありその後は157円を若干下回って推移している。
【米PMI強く利下げ先延ばし感がさらに強まる】
5月23日夜にS&Pグローバルが発表した5月の米製造業PMI(購買担当者景況指数)速報値は50.9となり4月の50.0から上昇して市場予想の50.0を上回った。サービス業PMI速報値も54.8となり4月の51.3から大幅に上昇して市場予想の51.3を上回り凡そ12か月振り高水準となった。
最近の米ISM景況指数やNY連銀とフィラデルフィア連銀の景況指数及びコンファレンスボードの景気先行指数等が総じて悪かったことで金融引き締めによる景気への影響も懸念されていたが、S&PグローバルのPMI改善により米国景気の底固さが改めて示されたため、米FRBが利下げを急ぐ必要に迫られていないと市場は受け止めて米長期債利回り上昇とドル高を招いた。
米労働省による新規失業保険申請件数は5月18日までの週間で前週比8000件減少の21万5000件となり2週連続で改善した。4週平均では前週比1750件増の21万9750件となり、失業保険受給者総数は5月11日までの週間で179万4000人となり前週から8000人増加した。
米商務省による4月新築一戸建て住宅販売件数(年換算)は前月比4.7%減の63万4000戸となり3月の66万5000戸から減少して前年同月比は7.7%減だった。販売価格中央値は前月比1.4%低下した。
【米長期債利回りは総じて上昇、NYダウが急落】
5月23日の米長期債利回りはS&Pグローバルの米PMI改善等により利下げ先延ばし感が強まったとして総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.05%上昇の4.48%で終了した。4月25日に付けた4.74%を昨年末以降のピークとして5月16日の4.31%まで大幅低下したが、16日当日から20日へ3連騰で戻し、21日に小反落したものの22日はFOMC議事要旨のタカ派姿勢で前日比0.02%上昇としていたが、23日はさらに利下げ先延ばし感が優勢となったことで一時4.50%をつけて5月15日の米CPI鈍化をきっかけとした低下幅を解消している。
30年債利回りは前日比0.04%上昇となり22日の0.01%低下から切り返して一時4.60%をつけて5月16日に付けた4.47%以降の高値とした。2年債利回りは22日の前日比0.04%上昇から23日も0.07%上昇と続伸して4.94%で終了したが、4月30日の年初来ピークである5.05%から5月16日の4.71%までの低下幅に対して半値以上を解消している。年内の利下げが怪しくなってきたことで長期債利回りは再び上昇基調を強めており、ドル円には日米金利差再拡大による上昇圧力となっている。
一方でNYダウは利下げ期待の後退で売られて前日比605.78ドル安と大幅下落したが、下げ幅は今年最大となった。ナスダック総合指数はヌエビディアの好決算を好感した買いで一時1万6996.39ポイントへ上昇して史上最高値を更新したものの米長期債利回り上昇とダウの大幅下落を見て急落に転じて前日比65.51ポイント安となった。年内利下げへの楽観を優先して上昇してきた米国株高にも陰りがみられるが、米国株安がアジアと日本株安に波及するとドル円に対してはリスク回避的な円買い圧力がかかりやすくなる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は5月16日午前安値を起点としたリバウンドが5月21日午後高値156.54円でピークとなり21日深夜安値155.84円へ失速したが、5月21日深夜安値を起点として新たな上昇期に入り23日深夜には157.19円まで高値を伸ばした。目先の高値形成期は24日午後から28日午後にかけての間と想定されるが、23日夜の反落時安値156.51円を割り込む場合はいったん下落期に入るとみて24日夜から28日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では5月23日早朝への上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンを上回った状況も5月17日午前から継続してきたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンに潜り込むところからは下落開始を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は5月23日早朝から23日夜へ相場が一段高した際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるので反落注意とし、次に50ポイントを割り込んで続落し始める場合は下落期入りとみて30ポイント前後への低下へ進むとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月23日夜安値156.51円を下値支持線、23日深夜高値157.19円を上値抵抗線とする。
(2)156.51円を上回るうちは上昇余地ありとし、157.19円超えからは157円台中盤(157.35円から157.65円)への上昇を想定する。4月29日から5月3日への下落幅に対する3分の2戻しが157.39円にあり、5月2日早朝に二度目の市場介入をした直前高値が157.58円にあるため、157.30円以上は反落注意とするが、156.51円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)156.51円割れからはいったん下げに入るとみて5月21日深夜安値155.84円試しを想定する。156円前後は買われやすいとみるが、156.50円以下での推移なら週明けも安値試しへ進みやすいとみる。
【当面の予定】
5/24(金)
休場 インドネシア
米債券市場は短縮取引
15:00 (英) 4月 小売売上高 前月比 (3月 0.0%、予想 -0.4%)
15:00 (英) 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 0.8%、予想 -0.2%)
15:00 (独) 1-3月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
15:00 (独) 1-3月期 GDP改定値・季調済 前年同期比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
15:00 (独) 1-3月期 GDP改定値・季調前 前年同期比 (速報 -0.9%、予想 -0.9%)
21:30 (米) 4月 耐久財受注 前月比 (3月 2.6%、予想 -0.8%)
21:30 (米) 4月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (3月 0.2%、予想 0.1%)
22:35 (米) ウォラーFRB理事、講演
23:00 (米) 5月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 67.4、予想 67.5)
5/27(月)
米国はメモリアルデー、英国はバンクホリデーで休場
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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