トルコリラ円見通し ドル円が上げ渋るもリラ高継続感で高値を切り上げる(24/5/28)

トルコリラ円の5月27日は概ね4.95リラから4.85リラの取引レンジ、28日早朝の終値は4.88円で先週末終値の4.87円から0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円が上げ渋るもリラ高継続感で高値を切り上げる(24/5/28)

トルコリラ円見通し ドル円が上げ渋るもリラ高継続感で高値を切り上げる

〇トルコ円、5/27早朝に一時的な急伸で4.95を付けて4/29高値4.92を超えるも早々に4.86近辺へ失速
〇5/28日未明4.90をつけ、5/28早朝4.85まで反落するも4.90へ戻すなど、高値試しを続けている印象
〇対ドル、5/27は概ね32.32から31.90の取引レンジ、31.90へ上昇したものの終値は32リラ台となる
〇5/31発表のトルコ1−3月期GDP事前予想、5.7%増と見込まれる
〇4.85を上回るうちは上昇余地ありとし、4.91超えからは4.93前後への上昇を想定する
〇4.85割れからは下落期入りとみて、4.83前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の5月27日は概ね4.95リラから4.85リラの取引レンジ、28日早朝の終値は4.88円で先週末終値の4.87円から0.01円の円安リラ高だった。
5月27日早朝に一時的な急伸で4.95円を付けて4月29日にドル円が160円台に到達したところで付けた高値4.92円を超えたものの早々に4.86円近辺へ失速したが、ドル円が上げ渋りで156円台後半での推移に留まる中で28日未明には4.90円をつけ、28日早朝に4.85円まで反落したところを買われて4.90円へ戻すなど、27日早朝高値を一時的なものにとどめずにもう一度試したいとの市場心理を反映して高値試しを続けている印象だ。

ドル円は5月23日深夜に157.19円を付けて5月16日安値153.60円以降の高値を更新して5月3日夜安値151.85円を起点とした上昇が二段目に入ったが、米国市場休場の中で一段高への手掛かりに欠けたこと、FOMC議事要旨公開を挟んだドル高一巡で昨夜はユーロ、豪ドル等が反発してポンドドルが4月後半以降の高値を更新する一段高となるなどドル安感が優勢となったことでやや押され気味の推移となったものの、27日午後に156.65円へ下げた後も156円台後半を維持して確りしている。
トルコリラ円は引き続きドル円の騰落を追いかける展開だが、4月後半からドル/トルコリラでリラ高基調の推移がみられることと、クロス円全般の上昇による押し上げ効果もあり5月27日早朝高値をもう一度試しに向かいやすい状況と思われる。仮に27日早朝高値を超える場合は5円を目指す声も高まると思われる。
本日は午後から日銀主催国際会議にクリーブランド連銀のメスター総裁、ボウマンFRB理事、シュナーベルECB専務理事、氷見野日銀副総裁らが参加するため各氏の発言に注目が集まる。

【ドル/トルコリラは32リラを挟んだ小動きだがリラ高感が徐々に増す】

ドル/トルコリラの5月27日は概ね32.32リラから31.90リラの取引レンジ、28日早朝の終値は32.13リラで先週末終値32.20リラからは0.07リラのドル安リラ高だった。
3月31日のトルコ統一地方選でエルドアン大統領率いる与党が大敗したことをきっかけに一時31.36リラへ急伸してから4月12日に33.03リラへ取引時間中の史上最安値を更新して一段安となったもののその後は安値更新を回避し、4月25日にトルコ中銀が政策金利を据え置いてインフレ抑制のための引き締めを継続すると強調したことからリラの買い戻し優勢へと風向きが変わり、日足の値ベースでは4月24日終値32.54リラを最安値としてリラ高へ進んだ。5月14日に31.89リラまで高値を伸ばすなど繰り返し31リラ台後半を試しているものの終値ベースでは32リラ台を続けており、27日も31.90リラへ上昇したものの終値は32リラ台とした。

5月3日にS&Pがトルコ格付けを引き上げる等、海外からのトルコへの投資意欲が回復していることで歴史的なリラの暴落にブレーキがかかった可能性が指摘されており、インフレが今月をピークに低下へ転じればリラの先安感がまだ残るもののリラ安分を差し引いてもトルコ株高や高利回り国債への投資意欲が高まりトルコ経済の成長促進感が増せばリラ安そのものも落ち着く可能性があると思われる。

【1−3月期GDP事前予想 5.7%増】

5月31日に発表されるトルコ1-3月期GDP成長率についての事前予想がまとまっており、予想中央値では前年同期比が10-12月期の4.0%から5.7%へ上昇すると見込まれた。予想レンジは5.0%から7.0%と広い。賃金上昇と家計支出の拡大が1-3月期の成長を伸ばしたためとみられるが、高金利状態が続いていることと増税や緊縮財政の影響で年後半は成長が鈍化するとみられており、年間ベースのGDP成長率は2023年の4.5%から今年は3%前後(予想レンジは2.8%から3.5%)に鈍化するとみられている。
5月27日に発表されたトルコ中銀による5月製造業景況指数は105.4となり4月の106.1から鈍化し、設備稼働率は76.3%で4月の76.7%から鈍化した。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、5月23日早朝への上昇で21日午後高値を超えたために23日午前時点では22日朝安値4.84円を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして24日午前から28日午前にかけての間への上昇を想定したが、27日朝の一時的な急伸から反落したために27日午前時点では27日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を27日朝から29日朝にかけての間とし、連続的な上昇で4.89円を超えるところからは次の強気サイクル入りとした。
27日午前の下落から持ち直して28日未明には4.90円へ上昇したため、27日午前安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。次のサイクルトップ形成期は30日朝から6月3日朝にかけての間とするが、4.85円割れからは弱気サイクル入りとして30日午前から6月3日午前にかけての間へ下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月27日午前の反落で遅行スパンが一時悪化したものの再び好転している。27日早朝の急伸時を反映して先行スパンが切り上がったために28日午前時点では先行スパンを下回っているものの、先行スパンを上抜き返すところからは上昇が勢い付くとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし、4.85円を割り込むところからは下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は5月27日朝の上昇で70ポイントを付けてから27日午前に40ポイントまでいったん低下したがその後に繰り返し60ポイントを超えるなど持ち直しているので、50ポイント以上での推移中は70ポイントを目指す上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下向きとし、45ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.85円を下値支持線、4.91円を上値抵抗線とする。
(2)4.85円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.91円超えからは4.93円前後への上昇を想定する。4.93円以上は反落注意としるが、4.87円を上回っての推移なら29日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.85円割れからは下落期入りとみて4.83円前後への下落を想定する。4.83円以下は反騰注意とするうちは一段安余地ありとし、4.86円割れからは4.84円前後への下落を想定する。4.84円以下は反騰注意とするが、4.85円を割り込んだ後も4.87円以下での推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月30日
 16:00 4月 貿易収支確報 (3月 -73.4億ドル、予想 -99.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 5月24日時点 (5月17日時点 785.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 5月24日時点 (5月17日時点 338.4億ドル)
5月31日
 16:00 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月 1.0%)
 16:00 1-3月期 GDP 前年同期比 (10-12月 4.0%)
6月3日
 16:00 5月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (4月 3.18%)
 16:00 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 69.8%)
 16:00 5月 コアCPI 前月比 (4月 3.6%)
 16:00 5月 コアCPI 前年同月比 (4月 75.8%)
 16:00 5月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (4月 3.60%)
 16:00 5月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (4月 55.66%)



注:ポイント要約は編集部

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