ドル円見通し 5月3日からの上昇一服するも156円台後半でしっかり(24/5/28)

昼過ぎに156.65円まで下げたもののその後は安値更新へ進まずに156円台後半でしっかりした。

ドル円見通し 5月3日からの上昇一服するも156円台後半でしっかり(24/5/28)

ドル円見通し 5月3日からの上昇一服するも156円台後半でしっかり

〇ドル円、5/27昼過ぎに156.65まで下げたものの、その後は安値更新へ進まず156円台後半でしっかり
〇5/3夜からの上昇が一服しているが、今週後半の経済指標を機に一段高へ進む可能性も
〇国内10年債利回りが1.025%へ上昇、12年振りの高水準となる
〇5/27の米国債券・株式市場は休場、今週後半の米経済指標を受けた動きが注目される
〇157.19を超えないうちは一段安余地ありとし、156.65割れからは156.00前後への下落を想定する
〇157.19超えからは、157円台中盤(157.35から157.65)への上昇を想定する
〇今週の経済指標を強気で通過して三度目の市場介入がなければ、158円台へ進む可能性もあると考える

【概況】

5月27日は米国と英国がともに休場となり手がかりに欠ける中、ドル円は国内10年債利回り上昇とユーロやポンド等の上昇によるドル安感で昼過ぎに156.65円まで下げたもののその後は安値更新へ進まずに156円台後半でしっかりした。
ドル円は5月15日の米4月CPI鈍化をきっかけとした米長期債利回り低下で5月16日午前安値153.60円へ下落したところから反騰に転じ、5月23日未明のFOMC議事要旨が予想よりタカ派姿勢だったことや23日夜の米PMIが予想を上回ったことで23日深夜に157.19円へ高値を伸ばした。その後は市場介入への警戒感と米国市場3連休を控えた利益確定売り、国内長期金利上昇等に圧されて高値更新へ進めずにいるものの156円台後半を維持している。

5月3日夜からの上昇が二段目に入ったところで一服しているが、今週後半の米1-3月期GDP改定値や米4月PCEデフレーター等をきっかけとして米国の利下げ開始先延ばし感がより強まれば三度目の市場介入を警戒しつつあるため、それらを前にいったん仕切り直しで156円台序盤へ下げるケースでも買い拾われつつ上昇基調を維持するのではないかと思われる。

【国内10年債利回り、1.025%つけ12年振り高値】

5月27日の国内債券市場では長期金利指標の新発10年物国債の流通利回りが1.025%へ上昇して2012値4月以来凡そ12年振りの高水準に達した。日銀がマイナス金利解除に続いて長期金利上昇を抑制するための国債大量買入れを見直して買い入れ額を大幅に減額するのではないかとの見方が徐々に強まったことで1%の節目を超えてきた。
米10年債利回りが4%台中盤にあることを踏まえれば日米金利差が大幅に拡大している状況はさほど変わらないものの、今後の日銀会合毎に金融政策正常化へ向けた修正が続く場合には国内長期金利上昇による円高圧力が現状よりも増す可能性があると注意したい。

日銀の植田総裁は先週のG7財務相・中銀総裁会合において「長期金利は金融市場で形成されることが基本だと考えている」「市場の動向を丁寧にモニタリングしていく」と述べており、長期金利上昇への強い牽制感は見られないものの長期金利上昇を容認する姿勢と思われ、6月の日銀金融政策決定会合(6月13-14日開催)で国債買い入れ減額が示されれば長期金利はさらに上昇する可能性があると思われる。
植田総裁は27日の日銀主催会合でのあいさつにおいても「期待インフレ率を0%から押し上げることには成功した」とマイナス金利解除の正当性を主張し、内田副総裁も「インフレ予想を2%にアンカーしていくという大きな課題は残っているがデフレとゼロ金利制約との闘いの終焉は視野に入った」と述べている。
本日は日銀主催会合においてクリーブランド連銀のメスター総裁、ボウマンFRB理事、シュナーベルECB専務理事、氷見野日銀副総裁らが討論するので日米の金融政策姿勢を見定めたいところだ。

【米債券市場、株式市場は休場】

5月27日の米国債券、株式市場は休場だった。
長期金利指標の10年債利回りは5月24日を前日比0.02%低下の4.46%で週を終え、一時4.50%をつけて5月16日の4.31%以降の高値を更新した。週間では5月17日終値4.42%から0.04%上昇だったが、4月25日の4.74%から5月16日までの低下幅に対する半値戻しラインの4.53%には届いていない。5月15日の米4月CPI鈍化による低下幅は解消しているが、今週末にかけての米GDP改定値やPCE統計で5月16日以降の上昇を継続できるか戻り一巡で低下を再開させるか注目される。
30年債利回りは24日に前日比0.01%低下の4.57%で終了し、週間では5月17日終値4.56%から0.01%上昇だった。4月25日の4.85%からの低下幅に対して3分の1も戻せていない。
政策金利動向に敏感な2年債利回りの5月24日は前日比0.01%上昇の4.95%で終了し、週間では5月17日終値4.83%から0.12%上昇して4月30日に付けた5.05%からの低下幅に対して過半を解消しており、10年債等と比較して顕著な上昇再開感を見せている。

一方でNYダウは5月22日に前日比201.95ドル安、23日に同605.78ドル安と大幅続落し、24日は安値を切り下げてから下げ渋って4.33ドル高で終了している。4万ドル到達による高値警戒感と米国利下げ先延ばしを悲観して上値が重くなっているが38000ドル前後から4万ドル前後のレンジで波乱含みの持ち合い期に入る印象だ。ナスダック総合指数は23日に16996.39へ史上最高値を更新してから下落したものの半導体大手エヌビディアの好決算で24日に前日比184.76ポイント高と上昇して取引時間中の最高値更新には至らなかったものの終値ベースの史上最高値を更新した。今週後半の米経済指標を見ながら株高基調を続けられるか試されるところだ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は5月21日深夜安値を起点とした上昇が23日深夜高値157.19円で一巡して下落期に入ったが、27日午後安値156.65円の後はしっかりしている。5月23日深夜高値を超えないうちは27日午後安値割れから156円前後を試す可能性があると思われるが28日深夜以降は反騰注意期とみる。5月23日深夜高値超えからは新たな上昇期入りとして28日夜から30日深夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では5月23日深夜以降のジリ安により遅行スパンが悪化したが27日午後からの底固い動きにより再び好転しつつある。28日未明に先行スパンから一時転落したものの持ち直しているが、先行スパンが狭いレンジのため上下へ抜けやすい状況にある。
5月27日午後安値割れからは一段安に入るため遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが深夜以降は反騰注意とし、23日深夜高値超えからは新たな上昇期入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月27日午後に30ポイント台序盤へ低下し、28日未明へ再び下げた後も50ポイント台を回復して底固さを見せている。60ポイントを超えないうちは45ポイント割れから30ポイント前後を試す下落余地ありとするが、60ポイント超えからは上昇期入りとみて70ポイント台を目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月27日午後安値156.65円を下値支持線、23日深夜高値157.19円を上値抵抗線とする。
(2)157.19円を超えないうちは一段安余地ありとし、156.65円割れからは156.00円前後への下落を想定する。156円前後は反騰注意とするが156.50円を下回っての推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)157.19円超えからは157円台中盤(157.35円から157.65円)への上昇を想定する。157.50円以上は反落警戒とするが157円台を維持しての推移なら29日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(4)5月30日の米GDP改定値や31日の米PCEデフレーター発表前にはいったん修正安が入りやすいと思われるが、それらを強気で通過して三度目の市場介入がなければ158円台へ進む可能性もあると考える。

【当面の予定】

5/28(火)
日銀国際コンファレンス(13:55から)
 メスター・クリーブランド連銀総裁、ボウマンFRB理事、シュナーベルECB専務理事、氷見野日銀副総裁ら参加
14:00 (日) 日銀・基調的なインフレ率を捕捉するための指標
22:00 (米) 3月 FHFA住宅価格指数 前月比 (2月 1.2%、予想 0.5%)
22:00 (米) 3月 ケース・シラー住宅価格指数 前年同月比 (2月 7.3%、予想 7.3%)
22:55 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、スピーチ
23:00 (米) 5月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (4月 97.0、予想 95.9)
24:30 (米) 財務省2年債入札
26:00 (米) 財務省5年債入札
26:05 (米) クックFRB理事、講演

5/29(水)
休場(南ア)
10:00 (NZ) 5月 ANZ企業信頼感 14.9 ―
10:30 (豪) 4月 消費者物価指数(CPI) [前年同月比] 3.5% 3.3%
10:30 (日) 安達日銀審議委員、講演、会見(14:00〜)
14:00 (日) 5月 消費者態度指数・一般世帯 (4月 38.3、予想 39.5)
15:00 (独) 6月 GFK消費者信頼感 (5月 -24.2、予想 -22.4)
21:00 (独) 5月 CPI(消費者物価指数)速報値 前月比 (4月  0.5%、予想 0.2%)
21:00 (独) 5月 CPI(消費者物価指数)速報値 前年同月比 (4月 2.2%、予想 2.4%)
23:00 (米) 5月 リッチモンド連銀製造業指数 (4月 -7)
26:00 (米) 財務省7年債入札
26:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)


注:ポイント要約は編集部

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