南アフリカランドWeekly 2年ぶりの高値圏だが、総選挙が意識されてそろそろ上値重くなるか(24/5/20)

先週のランドは、週後半にかけて、市場予想を上回る経済指標などを材料に買い優勢の展開となり、2022年5月以来の8.58円台まで上昇した。

南アフリカランドWeekly 2年ぶりの高値圏だが、総選挙が意識されてそろそろ上値重くなるか(24/5/20)

2年ぶりの高値圏だが、総選挙が意識されてそろそろ上値重くなるか

【先週の南アフリカ・ランド】

先週のランドは、週後半にかけて、市場予想を上回る経済指標などを材料に買い優勢の展開となり、2022年5月以来の8.58円台まで上昇した。

14日に発表された第1四半期失業率は32.9%と前回及び市場予想との比較ではともに悪化。ランドは8.5円水準で上値の重い展開となった。ただ、15日の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下振れたことなどから米長期金利が低下し、ドルは主要通貨に対して下落。

また、15日に発表された3月小売売上高は、前回、市場予想ともに上回る強い数字となったことも加わり、ランドは上昇。約2年ぶりの8.58円まで上昇するなど強いトレンドが継続している。


ランド・円(東京時間:5月13日―5月17日)※Investing.comの日足を参照

始値:8.4397円
高値:8.5837円
安値:8.4162円
終値:8.5665円 

【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間

5月14日
18時30分、第1四半期失業率、前回:32.1%、市場予想:32.3%、結果:32.9%
5月15日
20時00分、3月小売売上高(前年比)、前回:−0.7%、市場予想:−0.6%、結果:2.3%
20時00分、3月小売売上高(前月比)、前回:1.0%、市場予想:0.2%、結果:1.4%
5月22日
17時00分、4月CPI(前年比)、前回:5.3%、市場予想:5.3%
17時00分、4月CPI(前月比)、前回:0.8%、市場予想:0.4%
17時00分、4月CPIコア(前年比)、前回:4.9%、市場予想:4.7%
17時00分、4月CPIコア(前年比)、前回:0.7%、市場予想:0.3%

※予定は変更することがございます。

【今週の見通し】

今週のランドは、モメンタムの強さなどから上昇が期待される一方、29日に総選挙が間近に迫っていることから政局不安に対する警戒感が上値を抑えるとの見方もある。また、総選挙終了後の30日には政策金利発表も控えていることから積極的な売買は手控えられそうだ。

総選挙に対する懸念は、与党である「アフリカ民族会議(ANC)」が連立政権を樹立するため、どの政党と組むかに絞られてきた。ANCは支持率1位となるが、過半数には届かないため連立パートナーを探す必要があるとの公算だ。白人を主な支持基盤とする「民主同盟(DA)」か、「経済解放の闘士(EFF)」、または、ズマ前大統領が率いる「民族のやり(MK)」が連立パートナー候補だが、EEF、MKはいずれもポピュリズムの色が濃いため、南アフリカの「欧米離れ」がより強まる可能性はある。

今時点で上昇しているランドの状況をみると、「総選挙によって、ANCはDAと連立政権を樹立し、南アフリカ政治の方向性が刷新されて南アフリカ経済へのプラスにつながる」と見ている投資家が多いようだ。仮に、ANCがポピュリズム政党を連立パートナーとして選んだ場合は、南アフリカから欧米投資家が離反する可能性もあるので難しい状況だ。

一方、テクニカルでは、日足の一目均衡表の雲上限を大きく上放れるなど強いトレンドが見られる。4月29日の上影(上ヒゲ)をしっかり吸収したことから、トレンドの強さが読み取れる。長期的にも、22年5月以来となる8.58円台をつけたことから、22年高値8.8153円を意識した動きも期待できよう。テクニカル面は短期、長期ともに強いと考える。

テクニカル面は良好だが、総選挙、そして、中銀政策金利発表を5月末に控えていることで、さすがにランドの上値は重くなろう。今週は22日に4月CPIという重要な経済指標発表を控えているが、5月下旬の重要イベントを前に小動きの反応に留まると想定する。

2年ぶりの高値圏だが、総選挙が意識されてそろそろ上値重くなるか

南アランド円日足

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