南アランド円週報：『米利下げ観測再燃で約１年10カ月ぶり高値圏へと急上昇』（5/18朝）

〇今週の南ア円、南ア指標の不冴え、政局不透明感、ドル円急落に週後半にかけ8.41まで下落
〇売り一巡後は米金利低下、金・プラチナ価格の急騰、ドル円持ち直し等に8.58まで急伸、底堅く推移
〇テクニカルには主要テクニカルポイントの上側で推移、強い買いシグナルも継続、地合い強い
〇米利下げ開始前倒し観測、金・プラチナ価格の堅調推移、円キャリートレード再開等も南ア円を支持
〇引き続き、南アランド円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ（ZARJPY）：8.45ー8.70

今週のレビュー（5/13−5/17）

今週の南アフリカランド円相場（ZARJPY）は、週初8.45円で寄り付いた後、（1）急ピッチな上昇に対する反動売り（戻り売り）や、（2）南ア1ー3月期失業率（結果32.9％、予想32.3％）の冴えない結果、（3）南ア3月鉱業総生産（結果▲5.8％、前回＋10.3％）の前月比悪化、（4）南アフリカの政局不透明感（5/29に実施される総選挙で与党ANCが過半数割れに陥るリスク。連立相手次第では欧米離れが一段と加速する恐れ）、（5）ドル円相場の急反落（米CPIの伸び率鈍化＋米小売売上高の不冴な結果を受けて、ドル円が156.76から153.60まで急反落→南アランド円連れ安）が重石となり、週後半にかけて、週間安値8.41円まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、（6）南ア3月小売売上高（結果＋2.3％、予想▲0.6％）の市場予想を上回る結果や、（7）米金利低下に伴うドル売り圧力（南アフリカから米国への資金流出圧力後退）、（8）金・プラチナ価格の大幅上昇（南アフリカの交易条件改善期待）、（9）ドル円相場の持ち直し（ドル円が153.60から155円台半ばへ反発→南アランド円連れ高）が支援材料となり、週末にかけて、週間高値8.58円（約1年10カ月ぶり高値圏）まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点（日本時間5/18午前0時45分現在）では、8.55円前後で推移しております。

来週の見通し（5/20−5/24）

南アランドの対円相場（ZARJPY）は昨年12/28に記録した安値7.55円をボトムに切り返すと、週末にかけて、約1年10カ月ぶり高値となる8.58円（2022年6月以来の高値圏）まで急伸しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイントを軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合は「極めて強い」と判断できます（対ドル相場も昨年12/15以来、約5カ月ぶり高値圏へと急上昇）。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、（1）米FRBによる利下げ開始時期の前倒し観測（5/3の米雇用統計、5/15の米CPIおよび米小売売上高を受けて、米FRBによる早期利下げ観測再燃→米金利低下→米ドル売り）や、（2）上記1を背景とした南アフリカから米国への資金流出圧力後退、（3）南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の堅調推移（南アフリカの交易条件改善期待）、（4）南アランドと日本円の金利差に着目した円キャリートレードの長期化期待、（5）政府・日銀による介入警戒感の後退（イエレン米財務長官は日本の為替介入を強く牽制）など、南アランド円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は5/22に予定されている南ア4月消費者物価指数に注目が集まりますが、重要イベント（5/29の南ア総選挙、5/30の南ア中銀会合）を翌週に控えているため、余程大きなサプライズが見られない限り、様子見ムードから大きな値動きには繋がらないと考えられます。

来週の予想レンジ（ZARJPY）：8.45ー8.70

注：ポイント要約は編集部