強いモメンタム継続、4月29日高値更新を意識へ
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、9日の経済指標が市場予想を大幅に下回る弱い数字だったにも関わらず、終値ベースでは8.4円台と2022年6月9日以来の高値をつけた。
米国では政府高官の発言や経済指標発表などから年内利下げ観測が再び強まり米国金利は低下。新興国から米国への資金流出観測が弱まったことなどを背景にランドは堅調推移となった。
また、主要株価指数のヨハネスブルグ40が年初来高値を更新し、昨年つけた史上最高値水準に迫っていることなども好材料視されて、リスクオンの地合いに。ランドは8.4717円まで上昇しており、4月29日につけた高値8.5126円を意識した展開となっている。
ランド・円(東京時間:5月6日―5月10日)
※Investing.comの日足を参照
始値:8.2845円
高値:8.4717円
安値:8.2774円
終値:8.4450円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
5月9日
20時00分、3月製造業生産(季調前)(前年比)、前回:4.0%、市場予想:0.3%、結果:−6.4%
20時00分、3月製造業生産(季調済)(前月比)、前回:−1.0%、市場予想:0.4%、結果:−2.2%
5月14日
18時30分、第1四半期失業率、前回:32.1%、市場予想:32.3%
5月15日
20時00分、3月小売売上高(前年比)、前回:−0.8%、市場予想:−1.0%
20時00分、3月小売売上高(前月比)、前回:0.4%、市場予想:0.2%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、モメンタムの強さなどから上昇が期待される一方、総選挙が間近に迫っていることから政局不安に対する警戒感が上値を抑えるとの見方もある。
総選挙に関する見方は既に記載していることで割愛するが、政局混乱への警戒感と新たな政治方針への期待感が拮抗した状況にある。今時点で上昇しているランドの状況をみると、「総選挙によって南アフリカ政治の方向性が刷新されて南アフリカ経済へのプラスにつながる」と見ている投資家が多いようだ。
こればかりは、投資家の捉え方(モメンタム)や地合いが刻一刻と変化することから、ポジティブ、ネガティブどちらの要因にもなる。5月29日まで方向感はつかめにくいと考える。
一方、テクニカルでは、日足の一目均衡表の雲上限を大きく上放れるなど強いトレンドが見られる。4月29日の上影(上ヒゲ)が、当面の重しとなる可能性は十分あるが、短期的なテクニカルは強いことから、一気に上ヒゲを吸収する可能性もある。
長期的にも、22年6月以来となる8.5円台をいったんつけたことから、22年高値8.8153円を意識した動きも期待できよう。テクニカル面は短期、長期ともに強いと考える。
今週は、失業率や小売売上高など重要な経済指標の発表を控えているが、先週の3月製造業生産のように大幅な下振れの影響が限定的だったことを考慮すると、弱い経済指標でもランドの上昇傾向は変わらないと考えておくべきか。日本当局の円買い介入に伴う乱高下に対する警戒感は残るが、強いモメンタムの地合いを想定する。
南アランド円日足
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