『テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも上昇トレンドの継続を示唆』
〇今週の南ア円、週初の安値8.27から週末にかけ8.47まで上昇
〇ドル円の反発、南ア経済指標の好調、米金利低下、金・プラチナの上昇、南ア株の堅調等が背景
〇テクニカルには主要テクニカルポイントの上側で推移、強い買いシグナルも継続、地合い強い
〇米利下げ開始前倒し観測、金・プラチナ価格の堅調推移、南ア政治の改善期待も南アランドをサポート
〇引き続き、南アランド円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.35ー8.60
今週のレビュー(5/6−5/10)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.28円で寄り付いた後、早々に週間安値8.27円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)急ピッチな下落に対する反動買い(先週は政府・日銀による為替介入を受けてドル円急落→南アランド円連れ安の動きが進んだが、今週はドル円相場が155円台後半へと持ち直したことで、ドル円急伸→南アランド円連れ高の動きが再開)や、(2)南ア4月スタンダード銀行PMI(結果50.3、前回48.4)の前月比改善(好不況の分岐点50.0の突破)、(3)米FRBによる利下げ開始時期の前倒し観測(低調な米雇用関連指標→米金利低下→米ドル売り→新興国から米国への資金流出圧力後退)、
(4)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の堅調推移(南アフリカの交易条件改善期待)、(5)南ア株の堅調推移(南アフリカの主要株価指数は約9ヵ月ぶり高値圏へと急上昇)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値8.47円まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/11午前0時45分現在)では、8.45円前後で推移しております。尚、今週発表された南ア3月製造業生産(結果▲6.4%、予想+0.3%)は市場予想を大幅に下回る結果となりましたが、市場の反応は限られました。
来週の見通し(5/13−5/17)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は昨年12/28に記録した安値7.55円をボトムに切り返すと、4/29に一時8.51円(2022年6月以来、約1年10カ月ぶり高値圏)まで上昇しました。その後は、政府・日銀による為替介入の影響を受けて、5/3に一時8.23円まで反落する場面も見られましたが、今週は再び騰勢を取り戻し、週末にかけて8.47円まで急伸しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること、対ドル相場が約4ヶ月半ぶり高値圏へと上昇していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合は強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる利下げ開始時期の前倒し観測(5/3の米雇用統計、5/9の米新規失業保険申請件数が弱かったことで米金利低下→米ドル売りの流れが再開)や、(2)上記1を背景とした南アフリカから米国への資金流出圧力後退、(3)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の堅調推移(南アフリカの交易条件改善期待)、(4)政府・日銀による介入限界論の台頭(介入原資に限度があること+イエレン米財務長官が日本の為替介入を牽制していること)、(5)南ア政治の改善期待(5/29に開催予定の南ア選挙で与党ANCが大幅に議席を失うリスクあり→ANCの議席減少は中長期的に南ア政治の透明化や汚職払拭に繋がるとの期待感あり)など、南アランド円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
こうした中、来週は南アフリカの主要経済指標(南ア第1四半期失業率、南ア3月小売売上高)や、米国のインフレ指標(米4月CPI、米4月PPI)、中国の主要経済指標(中国4月小売売上高、中国4月固定資産投資、中国4月鉱工業生産)に注目が集まります。南ア経済指標が市場予想を上回る場合や、米国のインフレ指標が市場予想を下回る場合、中国経済指標が力強さを示す場合には、南アフリカ経済の回復期待(南ア株上昇→南アランド上昇)+米利下げ開始時期の前倒し観測(米金利低下→南アランド上昇)+中国経済の回復期待(南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の景気回復期待→南アランド買い)の組み合わせで、南アランド円相場にもう一段強い上昇圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、南アランド円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.35ー8.60
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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