『S&Pによる格上げ決定とカラハン総裁によるタカ派発言で反発』
〇今週のトルコ円、週明け4.74まで軟化後週後半に4.84まで上昇
〇ドル円の反発、トルコの格付け引き上げ決定、トルコ中銀のタカ派姿勢、トルコ指標の改善等が背景
〇主要テクニカルポイントの上で推移、21日線と50日線のゴールデンクロスも実現、地合い強い
〇ファンダメンタルズもトルコ経済復調期待、中銀の追加利上げ観測等がサポート
〇トルコリラ円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00
今週のレビュー(5/6−5/10)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.75円で寄り付いた後、早々に週間安値4.74円まで軟化しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)急ピッチな下落に対する反動買い(先週は政府・日銀による為替介入を受けてドル円急落→トルコリラ円連れ安の動きが進んだが、今週はドル円相場が155円台後半へと持ち直したことで、ドル円急伸→トルコリラ円連れ高の動きが再開)や、(2)大手格付会社S&Pによるトルコ信用格付けの引き上げ決定(BからBプラス)、(3)トルコ中銀による四半期インフレ報告での2024年末時点のインフレ率見通しの上方修正(36%から38%へ上方修正)、
(4)トルコ中銀カラハン総裁による「インフレ見通しの永続的な悪化は絶対に認めない」「追加引き締めを行う用意がある」とのタカ派的な発言、(5)米FRBによる利下げ開始時期の前倒し観測(低調な米雇用関連指標→米金利低下→米ドル売り→新興国から米国への資金流出圧力後退)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値4.84円まで上昇しました。その後も、(6)トルコ3月失業率(結果8.6%、前回8.7%)の前月比改善が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間5/11午前1時00分現在)においても、4.83円前後での底堅い動きが続いております。
来週の見通し(5/13−5/17)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は3/13に記録した史上最安値4.52円をボトムに切り返すと、4/29に約2カ月半ぶり高値4.92円(本年2/16以来の高値圏)まで急伸しました。その後は、政府・日銀による為替介入(ドル円急落→トルコリラ円連れ安)の影響を受けて、一時4.69円まで下げ幅を広げる場面も見られましたが、今週は再び騰勢を取り戻し、週後半にかけて4.84円まで反発しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること、21日移動平均線と50日移動平均線のゴールデンクロスが実現したこと、対ドル相場の史上最安値更新の流れが約1ヵ月間に亘り止まっていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合は強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の回復期待や、(2)トルコ中銀による追加利上げ観測(トルコ中銀カラハン総裁はインフレ悪化を絶対に認めない姿勢を改めて示すと共に、追加引き締めを行う用意があることについて強調)、(3)トルコアセットに対する市場プレゼンス改善(格付会社S&Pはトルコ信用格付けの引き上げを決定→外国人投資家によるトルコアセットへの更なる資金流入期待)、(4)米FRBによる利下げ開始時期の前倒し観測(5/3の米雇用統計、5/9の米新規失業保険申請件数が弱かったことで米金利低下→米ドル売りの流れが再開)、(5)上記4を背景としたトルコ国内から米国への資金流出圧力減退、(6)日本政府・日銀による介入限界論の台頭(ドル売り介入の原資に限りがあること+イエレン米財務長官より追加介入に対して牽制されたこと)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
こうした中、来週はトルコの主要経済指標(トルコ3月経常収支、トルコ3月小売売上高、トルコ4月財政収支)と、米国のインフレ指標(米4月CPI、米4月PPI)に注目が集まります。トルコ経済指標が良好な結果を示す場合(外国人投資家による資金流入期待)や、米インフレ指標が市場予想を下回る場合(米金利低下→新興国通貨上昇)には、トルコリラ円相場にもう一段強い上昇圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(目先は心理的節目5.00円の突破を試すシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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