『トルコ政府は財政緊縮策を発表。来週はトルコ中銀会合に注目』
〇今週のトルコ円、週前半トルコ政府の財政緊縮策、中銀総裁のタカ派姿勢に4.88まで上昇
〇買い一巡後は、ドル円急反落に一時4.75まで反落するも持ち直し、4.82前後で越週
〇テクニカルには、21日線と90日線のゴールデンクロスも実現する等、地合い極めて強い
〇対ドル相場の史上最安値更新の流れは1ヵ月以上ストップ
〇ファンダメンタルズもトルコ経済復調期待、中銀の追加利上げ観測等がサポート
〇トルコリラ円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00
今週のレビュー(5/13−5/17)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.83円で寄り付いた後、(1)トルコ政府による包括的な財政緊縮策の発表(ユルマズ副大統領とシムシェキ財務相は5/13に財政緊縮策を発表→高インフレ抑制を目的に公共投資を15%削減するほか、政府支出も10%削減見通し)や、(2)トルコ中央銀行カラハン総裁による「インフレ率を引き下げるために必要なことは何でもする」とのタカ派的な発言、(3)上記1、2を好感したトルコアセットへの資金流入期待が支えとなり、翌5/14にかけて、週間高値4.88円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)ドル円相場の急反落(米CPIの伸び率鈍化+米小売売上高の不冴な結果を受けて、ドル円が156.76から153.60まで急反落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週後半にかけて、週間安値4.75円まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(5)一目均衡表雲上限を背にした押し目買い圧力や、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力(トルコから米国への資金流出圧力後退)、(7)ドル円相場の急反発(ドル円が153.60から155円台半ばへ急反発→トルコリラ円連れ高)、(8)ユルマズ副大統領による「予算削減規模は市場予想を遥かに上回る」との前向きな発言が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間5/18午前0時55分現在)においては、4.82円前後まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(5/20−5/24)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は3/13に記録した史上最安値4.52円をボトムに切り返すと、4/29に一時4.92円まで急伸しましたが、その後は、4.70ー4.90を中心としたレンジ相場が続いています。但し、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、90日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」「21日線と90日線のゴールデンクロス」が成立していること、対ドル相場の史上最安値更新の流れが1ヵ月以上ストップしていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合は「極めて強い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の復調期待や、(2)トルコ中銀による追加利上げ観測(トルコ中銀カラハン総裁は5/14に「インフレ率を引き下げるために必要なことは何でもする」と発言)、(3)トルコアセットに対する市場プレゼンス改善(格付大手フィッチは3/8にトルコの格上げを決定→格付大手S&Pは5/3に格上げ決定→トルコ政府は5/13に包括的な財政緊縮策を発表→外国人投資家によるトルコアセットへの資金流入期待)、(4)米FRBによる利下げ観測再燃(5/3の米雇用統計、5/15の米CPIおよび米小売売上高を受けて、米FRBによる利下げ観測再燃→米金利低下→米ドル売り)、(5)上記4を背景としたトルコから米国への資金流出圧力後退、(6)トルコリラと日本円の金利差に着目した円キャリートレードの長期化期待、(7)政府・日銀による介入警戒感の後退(イエレン米財務長官は日本の為替介入を強く牽制)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は5/23に予定されているトルコ中銀の金融政策決定会合に注目が集まります。市場予想は政策金利の据え置きとなっていますが、トルコ中銀カラハン総裁による直近の発言を見る限り、サプライズ的な利上げ(※トルコ中銀は3月会合時に市場の据え置き予想に反して500bpのサプライズ利上げを決定)の可能性も残されているため、念のため警戒が必要でしょう(目先は心理的節目5.00円突破を試すシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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