トルコリラ円見通し ドル円の反騰を追いかけて16日午前安値からV字反発
〇トルコリラ円、ドル円の続落により5/16午前4.76まで安値を切り下げる
〇ドル売りが一巡して買い戻し優勢の流れとなり、トルコリラ円もドル円を追いかけて4.84まで切り返す
〇5/3夜安値から5/16午前安値へ底上げしており、一段高へ進めるか反騰続かず一段安へ進むか試される
〇対ドル、5/16は概ね32.29から31.95の取引レンジ、32リラ以下を繰り返し試すも終値は32リラ台維持
〇外貨準備高が大幅増、急増の詳細は不明だが大手格付け機関による評価向上の材料となる可能性も
〇4.79を上回るうちは一段高余地ありとし、4.83超えからは4.86を目指す上昇を想定する
〇4.79割れからは4.76試しとし、下げ足が速まる場合は4.73前後へ下値目途を引き下げる
【概況】
トルコリラ円の5月16日は概ね4.84円から4.76円の取引レンジ、17日早朝の終値は4.81円で前日と変わらなかった。
5月15日夜の米4月CPIが鈍化して4月小売売上高が前月から大幅に悪化したことにより米国の9月利下げ開始期待度が高まったとしてドル円が急落したため、トルコリラ円はドル円の下落を追いかけて5月15日夜に4.80円を割り込み、いったん4.83円まで戻してから一段安に入っていたが、ドル円の続落により5月16日午前には4.76円まで安値を切り下げた。しかし、ドル売りが一巡して買い戻し優勢の流れとなったためにトルコリラ円もドル円を追いかけて4.84円まで切り返した。ドル円の反騰一服で17日早朝にかけてトルコリラ円はやや下げたものの、17日未明に4.80円を割り込んだところを買われて確りしている。
【5月3日安値から底上げをして一段高へ進めるか反騰続かず一段安へ進むか試される】
ドル円は5月3日夜安値151.85円から5月14日夜高値156.75円まで上昇したところから16日午前安値153.60円へ急落し、16日夜へのV字反騰で155.52円まで切り返した。5月3日安値からの上昇幅の凡そ3分の2を削ったものの5月3日安値から底上げをして切り返したことにより、5月14日高値を超えて一段高へ進む可能性を示している。ただし5月14日高値を超えずに5月16日午前安値を割り込めば5月3日安値を割り込んで行く流れへと進みかねないところであり、当面は米長期債利回り動向や経済指標を見ながら方向性を探る展開と思われる。
トルコリラ円も5月3日夜安値4.69円から5月16日午前安値4.76円へ底上げをして切り返しに入っているため、5月14日午後高値4.86円を超えて一段高へ進む可能性を試しつつ、戻り高値切り下がりに終わって5月16日午前安値を割り込んで一段安へ向かう可能性も抱えているところだ。ドル/トルコリラの値動きが落ち着いているため当面はドル円の大きな騰落を追いかけながら一段高へ進めるのかどうかを試す展開と思われる。
【ドル/トルコリラは32リラ以下を繰り返し試しているが終値は32リラ台を維持】
ドル/トルコリラの5月16日は概ね32.29リラから31.95リラの取引レンジ、17日早朝の終値は32.27リラで前日終値の32.16リラから0.11リラのドル高リラ安だった。
4月12日に取引時間中の史上最安値を33.03リラへ更新し、終値ベースでは4月24日終値32.54リラへ史上最安値を更新したが、4月25日のトルコ中銀による政策金利据え置きや5月3日の大手格付け機関S&Pによるトルコ格付けの引き上げによりリラ買い優勢の流れにとなり、5月14日に31.89リラの高値をつけ、終値ベースでは15日終値32.16リラで4月24日終値以降の最高値を更新した。
5月15日夜発表の米4月CPIが鈍化したことによるドル売りが一巡してユーロやポンド等が反落したことで16日は総じてドル高に風向きが変わったためにトルコリラもドル高リラ安がやや優勢の流れとなったが、高値で31リラ台を付けて32リラ台前半では底固さを見せている。
【外貨準備高が大幅増】
5月16日夜に発表されたトルコ中銀の外貨準備高は5月10日時点のグロスで742億ドルとなり5月3日時点の691.5億ドルから大幅に増加し、ネットでは308.7億ドルとなり5月3日時点の210.8億ドルから100億ドル近い大幅増加となった。
グロスの外貨準備高は2023年6月の565.2億ドルから2023年12月に975.6億ドルまで大幅増加したところをピークとして減少に転じ、ネットの外貨準備高も2023年6月にマイナス57億ドルまで悪化したところから2023年12月の400.9億ドルへ増加したところをピークとして低下してきたが、5月10日時点でグロスとネットがともに大幅増加したことにより、中銀の外貨準備高増加政策が健在であることが示された印象だ。急増の詳細は不明だが来週も増加傾向を示せば外資の投資意欲を助長し、大手格付け機関による評価も向上する材料となるのではないかと思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、5月5月14日午後へ続伸してから反落したために15日朝時点ではすでにサイクルトップを付けた可能性があるとして4.83円割れからは弱気サイクル入りとし、5月15日午後からの下落で4.83円を割り込んだため16日午前時点では14日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。ボトム形成期を16日午前から17日午前にかけての間とし、4.82円超えから強気サイクル入りとしたが、16日夜の上昇で4.82円を超えたため16日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして17日午後から21日午後にかけての間への上昇を想定する。
ただし戻りは短命の可能性もあるので4.79円割れを弱気転換注意とし、16日午前安値4.76円割れからは弱気サイクル入りとして21日から23日にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では5月16日午前安値からの反騰により遅行スパンが好転しつつあり、先行スパンも突破しつつあるので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下落再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は5月15日夜から16日午前にかけての一段安に際して指数のボトムがフラットとなる強気逆行を見せてから60ポイント台へ反騰した。その後も50ポイント以上を維持しているので70ポイントを試す上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下落再開とみて20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.79円を下値支持線、4.83円を上値抵抗線とする。
(2)4.79円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.83円超えからは4.86円を目指す上昇を想定する。4.85円以上は反落警戒とするが、4.80円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.79円割れからは4.76円試しとし、下げ足が速まる場合は4.73円前後へ下値目途を引き下げ、週明けも続落しやすいとみる。
【当面の主な予定】
5月17日
16:00 中銀調査 年末CPI・金利・為替レート予想
23:30 4月 中央政府債務残高
5月23日
16:00 5月 消費者信頼感指数 (4月 80.5)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 50.00%)
20:30 週次 外貨準備高 グロス 5月17日時点 (5月10日時点 742.0億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 ネット 5月17日時点 (5月10日時点 308.7億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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