ユーロドルは蚊帳の外だが抜けるならば上か
〇先週のユーロドル、引きつづき連日動意薄、週間レンジはわずか66pips
〇為替市場の中心は米国の金利と円相場、ユーロドルは長らく動きが鈍い
〇6月のECB理事会、利下げに転じる可能性高く底に向けての材料少ない、当面は新たな材料待ちの状態
〇テクニカルには、短期的にはサポートが1.06台後半、レジスタンスが1.07台後半
〇レジスタンスを上抜けして4月高値1.08台後半を目指す動きが出る可能性も
〇ドイツ株の強さがユーロ買いにつながる材料となるか
〇1.0700レベルをサポートに、1.0825レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週もユーロドルは連日動意薄の状況で、週間レンジはわずか66pipsと一日のレンジですか、というくらい狭い値幅での取引が続きました。現状は米国の金利と円相場が為替市場の中心でユーロもユーロ円では動くもののユーロドルでは動きが鈍いという流れが長らく続いています。その円相場もだいぶ動きが落ち着いてきて、次はユーロかと思う参加者も多そうですが、実際にはドル円以上に大人しくなってしまいました。
材料的にも6月のECB理事会待ちではあるものの、ECBは6月から利下げに転じる可能性が高く、底に向けての材料も少ないということになると、今週もユーロドルは蚊帳の外状態、米国CPIの数字次第では米金利が動き、その場合はドル円での動きからユーロ円はその動きに追随するかもしれない、といった程度でしょうか。当面は新たな材料待ちという状態が続かざるを得ません。
今週は少しテクニカルに重点を置いてユーロドルの分析を進めて行きましょう。まず週足チャートです。
2021年初の高値と2022年安値との61.8%戻しで戻り高値をつけていますが、2023年初以降はラインを引いて示したようなダイヤモンド型のもみあいパターンを形成していることがわかります。直近のサポートラインを下抜けるか、レジスタンスラインを上抜けるかしないと動きが出にくいと同時に、抜ける時には大きめの動きを期待できるパターンでもあります。
この部分、ダイヤモンドの右半分に注目して日足チャートを見てみましょう。
日足チャートで見ると、最近のユーロドルの動きが狭いだけに上下ともかなり距離があるように見えます。現時点で1.0600〜1.1025と約425pipsあり、最近のレンジからすると結構遠い感じです。ごく直近では紫のラインがサポートとレジスタンスとなっていて、まずはどちらかに抜けないと動きが出ないという感じです。
ここまでではレジスタンスラインのほうが強いのですが、これまでECBの早期緩和思惑に反して4月中旬以降買われていることを考えると、抜ける可能性としては上抜けの方がより動きが出やすいのではないかと考えています。
短期的には下のサポートが1.06台後半、上のレジスタンスが1.07台後半となっていますが、上抜けして4月高値1.08台後半を目指す動きが出てくるかもしれません。このあたりは今週のトピックスで扱うドイツ株の強さがユーロ買いにつながる材料となるかもしれないと見ています。
今週のところは1.0700レベルをサポートに、1.0825レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週はドイツ株価指数DAXの週足チャートをご覧ください。
DAXは先週史上最高値を更新しましたが、2022年9月以降は平行上昇チャンネル中での推移を続けていると見ることが出来ます。先週から今週にかけてはいったん上側のラインで抑えられそうではありますが、ここを抜けてくると2022年9月安値を起点とした上昇N波動の100%エクスパンションとなる19464.60をターゲットとする動きにつながりそうな値動きをしているように思えます。
そうであるとすると、ユーロ買い材料となりますので、しばらくは欧州株の中でもDAXの動きに注目しておきたいですね。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
5月13日(月)
(特になし)
5月14日(火)
15:00 ドイツ4月CPI
15:00 英国4月失業率
18:00 ドイツ5月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏5月ZEW景況感
5月15日(水)
15:45 フランス4月CPI
18:00 フランス中銀総裁講演 ☆
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP改定値 ☆
18:00 ユーロ圏3月鉱工業生産
21:30 米国4月CPI ☆
5月16日(木)
18:00 イタリア中銀総裁講演 ☆
5月17日(金)
18:00 ユーロ圏4月CPI
21:30 オーストリア中銀総裁講演
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
5月6日(月)
ドル円は金曜雇用統計後に目先の安値をつけた動きとなり、東京が休場となった週明けの東京市場においてもドル買いが先行する動きとなりました。東京時間の昼過ぎには一時154.01レベルの高値をつけましたが、154円台では戻り売りを考える向きも多かった様子で、その後は153円台後半の狭いレンジでの取引に終始しました。
ユーロドルはNY市場までじり高、その後引けにかけてはじり安となりましたが、LDN市場も休場だったこともあって、終日のレンジはわずか36pipsに留まり静かな一日でした。
5月7日(火)
ドル円は動きが止まれば日米金利差によるドル買いが出やすくなってくるという動きになってきました。前日のイエレン財務長官による介入牽制発言も多少は効いていると見られ153円台後半から154円台後半へと終日じり高の動きとなりました。
ユーロドルもドル高の動きから若干下げる動きとなりましたが、終日のレンジは39pipsに留まり、相変わらずの鈍い動きでした。
5月8日(水)
ドル円は前日と同様に材料がなく落ち着いているとじりじりと円安になる流れとなりました。東京朝方の154円台半ばからNY引けの155円台半ばまで終日ゆっくりとした円安となっています。
いっぽうでユーロドルは全く動かず終日レンジはわずか22pips、ユーロ円はドル円のじり高の動きから167円台前半へと水準を上げてきました。
5月9日(木)
ドル円は今週は目立った材料が無いことからじり高の動きを続けています。欧州市場前場には155.95レベルまで上昇しましたが、ユーロドルが欧州市場で上昇した動きからドル円は東京朝方の水準に押して引けました。
ユーロドルは欧州市場まではドル円と同様にドル買い・ユーロ売りとなっていましたが、DAXが史上最高値を更新するなど欧州株が強い動きを見せていたことからユーロドルにも買い戻しが入り、1.0784レベルまで上げて高値引けとなりました。
5月10日(金)
連日特に目立った材料が無いことでドル円はじり高、155円台前半から後半へと水準を上げたものの、一日の値幅は64銭にとどまりました。
ユーロドルはさらに同意薄、NY市場に入って多少の上下はあったものの、それでも終日レンジは30pips。次の材料待ちという展開です。
注:ポイント要約は編集部
ディスクレーマー
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