期待インフレの伸び率加速とイエレン氏の牽制発言を受けてフィボナッチ半値戻しを達成
〇ドル円、米国時間にかけ156.29まで上昇
〇FRB関係者のタカ派発言、イエレン米財務長官の介入牽制、NY連銀期待インフレの伸び率加速が背景
〇ユーロドル米金利低下に一時1.0807まで上昇後、米金利反発で1.07台に反落
〇ドル円、4/29高値160.24と5/3安値151.87を起点としたフィボナッチ半値戻し(156.05)を達成
〇ファンダメンタルズも円キャリートレードの継続期待、米政府のドル高容認姿勢等がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:155.50ー157.00
海外時間のレビュー
週明け13日(月)のドル円相場は堅調な値動き。(1)日銀による「国債買い入れオペ・期間5ー10年オファー額」の減額発表や、(2)上記1を背景とした本邦10年債利回りの急上昇(昨年11月以来の高水準)が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値155.52まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)日米金利差に着目した円キャリートレードの再開や、(4)ジェファーソンFRB副議長による「インフレの緩和が明らかとなるまで政策金利を据え置くことを支持する」とのタカ派的な発言、(5)米4月ニューヨーク連銀1年先期待インフレ(結果3.3%、前回3.0%)および、同5年先期待インフレ(結果2.8%、前回2.6%)の伸び率加速、(6)イエレン米財務長官による「為替介入はまれな行為であるべき」「G7国の通貨は市場で決定されるべき」との牽制発言が支えとなり、米国時間午後にかけて、高値156.29まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/14午前5時15分現在)では、156.22前後で推移しております。
週明け13日(月)のユーロドル相場は上昇後に伸び悩む展開。アジア時間朝方にかけて、安値1.0766まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、(3)クロス円相場の堅調推移(ユーロ円上昇→ユーロドル連れ高)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0807まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)ジェファーソンFRB副議長による「インフレ圧力の緩和が明らかとなるまで政策金利を据え置くことを支持する」とのタカ派的な発言や、(5)米4月ニューヨーク連銀1年先期待インフレおよび、同5年先期待インフレの伸び率加速、(6)米長期金利の低下幅縮小が重石となり、本稿執筆時点(日本時間5/14午前5時15分現在)では、1.0789前後まで値を崩す動きとなっております。
本日の見通し
ドル円は節目156.00を突破し、一時156.22まで急伸しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントを軒並み上抜けしたことや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること、4/29高値160.24と5/3安値151.87を起点としたフィボナッチ半値戻し(156.05)を達成したことと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます(4時間足などの下位足でも強い買いシグナルが点灯済み)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日米金利差に着目した円キャリートレードの継続期待(日米金利差は当面縮まらないとの見方が市場コンセンサス→少しでも下がると押し目買いが出てくる状況)や、(2)政府・日銀による介入限界論の台頭(介入原資が有限であるため、介入だけで通貨安を抑え込むことは困難との見方が拡大)、(3)米政府によるドル高容認姿勢(米国はインフレ抑制に繋がるドル高を容認する公算大→イエレン米財務長官は昨日も「為替介入に否定的な立ち位置」を強調)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
本日予定されている米4月生産者物価指数が市場予想を上回る場合や、パウエルFRB議長よりタカ派的な発言が見られる場合には、米FRBによる利下げ観測後退→米金利上昇→米ドル買いの経路でドル円に再び強い上昇圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:155.50ー157.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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