トルコリラ円見通し ドル高リラ安一服、ドル円を追いかける展開
〇トルコ円、ドル円を追いかける展開、4/25朝4.74近辺から夕刻4.795へ上昇、その後4.78前後を維持
〇対ドル、4/25は概ね32.61から32.30の取引レンジ、ドル高リラ安が一服して小動き
〇トルコ中銀は政策金利据え置きを決定、引き締め継続姿勢示す、市場への影響は限定的
〇昨日発表の純外貨準備高は減少、昨年末以降の最低となる
〇4.80超えからは、4.82前後への上昇を想定する
〇4.74割れからは、4.72、4.70前後を順次試す下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の4月25日は概ね4.79円から4.74円の取引レンジ、26日早朝の終値は4.79円で前日終値の4.77円から0.02円の円安リラ高だった。
ドル高リラ安基調がやや一服する中でドル円が155円台後半へ上昇したことに押し上げられて25日は朝の4.74円近辺から夕刻に4.795円へ上昇し、その後も4.78円前後の水準を維持した。
トルコ中銀は政策金利を据え置き金融引き締め姿勢を続けるとしたものの市場予想通りだったために反応は限定的だった。
米国の1-3月期GDP速報では成長率が予想以上に鈍化したもののインフレ指標の四半期ベースPCEデフレーターが前期から跳ね上がったためにインフレ高止まりないし再燃への懸念を強めたことで米長期債利回りが上昇してドル円は155.74円まで高値を更新したが、本日の日銀金融政策決定会合と今夜の米3月PCE統計を控えているために26日午前は慎重な動きに留まっている。
トルコリラ円はドル/トルコリラが小動きの中でドル円を追いかける展開であり、日銀会合結果や植田総裁会見をきっかけにドル円が一段高へ進むケースと、逆に急激な円高へ向かうケース、夜の米PCE統計後にドル円が大きく動くケースを想定して臨機応変な姿勢で対処してゆきたいところだ。
【ドル/トルコリラはリラ安一服で小動き】
ドル/トルコリラの4月25日は概ね32.61リラから32.30リラの取引レンジ、26日早朝の終値は32.52リラで前日終値の32.54リラからは0.02リラのドル安リラ高だった。
3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとしたリラ買いで4月1日に一時31.36リラへドル安リラ高となったが、その後は高値更新へ進めずリラ買い反応が一巡して4月5日からドル高リラ安が再燃し、4月12日に一時33.03リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新した。4月19日に一時32.85リラを付ける等最安値に迫る動きも見られ。日足終値ベースでは4月15日終値32.40リラで終値ベースの最安値を更新し、4月24日も終値ベースの史上最安値を更新したが、25日はリラ安が一服して小動きだった。
トルコ中銀は予想通りに政策金利を据え置いたためサプライズ感なく市場の反応は限定的だったが、ネットの外貨準備高が昨年末以降の最低へ減少したことが重石となった。
為替市場全般としては今夜の米3月PCE統計からドル高が加速するか注目される。トルコリラとしては来週5月3日の4月消費者物価指数上昇率に関心が向いている。
【トルコ中銀、政策金利を現状維持、引き締め継続姿勢】
トルコ中銀は4月25日の金融政策委員会で政策金利の週間レポレートを50.0%で据え置いた。前回3月会合では現状維持予想のところで5.0%利上げに踏み切ったことによるサプライズ反応で一時リラ買い反応となったものの、その後にドル/トルコリラは史上最安値を更新している。
中銀は声明においてインフレ圧力が依然強いため「必要な限り金融引き締めを維持する」としたが、高金利による経済への影響を注視するとし、すでに異常な高金利状態にあることがトルコ経済への負担になっていることを踏まえて追加利上げには慎重姿勢とした。
トルコの4月消費者物価指数は5月3日に発表されるが、3月消費者物価指数は全体の前年比が68.5%で2月の67.07%から伸びが加速し、コア指数の前年比は75.2%で2月の72.9%からさらに上昇した。中銀は年前半に70%台でピークを付けて年末には30%台へ低下すると見込んでいるが、米国のインフレ高止まりの影響や原油相場が高騰する場合及びリラ安が一段と進行する場合にはトルコの高インフレも継続しかねない状況だ。しかし高金利が住宅ローン等の借り入れや耐久財消費及び企業の設備投資にも悪影響を与えているため、これ以上の利上げも難しいと思われる。
【純外貨準備高は昨年末以降の最低に減少】
4月25日に週次の外貨準備高が発表されたが、ネットの外貨準備高については4月18日に発表された4月12日時点で209.3億ドルまで増加していたが、4月25日に発表された4月19日時点では150.5億ドルへ再び減少して3月末の152.1億ドルを割り込んで昨年末以降の最低となった。
トルコ中銀はエルカン前総裁時代に外貨準備高を取り崩してリラ安抑制のための市場介入を止めて昨年6月時点でマイナス57億ドルまで悪化したところから増加方針を採り昨年末には400.9億ドルまで拡大したが、そこをピークに減少傾向に陥っている。中銀による市場介入動向は不明だが、リラ安抑制のために外貨準備高を使って為替市場等で介入的な動きを再開していることも考えられる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、4月19日昼に急落してから下げ幅を解消する反騰となり20日早朝には4月1日高値を一時超えたため、22日午前時点では19日昼安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を20日早朝から23日にかけての間と想定した。
すでにサイクルトップ形成の想定を超えて延長に入っているところだが、日銀会合や夜の米経済指標発表から大きく変動する可能性もあるため、4.80円を超えて一段高値へ進む場合は26日夜から5月1日にかけての間への上昇を想定する。4.74円割れからはいったん弱気サイクル入りするとみて26日夜から29日にかけての間への下落を想定するが、ボトム形成期が30日朝から5月2日朝にかけて延びる可能性もあると注意する。
60分足の一目均衡表では4月25日未明への一段高により遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。ただし、先行スパンからいったん転落してから急反騰により上抜き返す場合は新たな上昇期入りと考えて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は4月25日早朝から26日未明への上昇時に指数のピークがフラットとなる弱気逆行がみられるため、60ポイント超えからは上昇再開とするが、45ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.74円を下値支持線、4.80円を上値抵抗線とする。
(2)4.80円超えからは4.82円前後への上昇を想定する。4.82円以上は反落注意とするが、4.78円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が急伸する場合は4.85円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)4.74円割れからは4.72円、4.70円前後を順次試す下落を想定する。4.70円前後は買われやすいとみるが、4.74円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が急落する場合は4.60円台後半へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
4月29日
16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 100.0)
4月30日
16:00 3月 貿易収支確報 (2月 −67.7億ドル)
16:00 1-3月 海外観光収入 (10-12月期 122.7億ドル)
17:00 3月 海外観光客数 前年同月比 (2月 22.68%)
5月2日
16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 50)
5月3日
16:00 4月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (3月 3.16%)
16:00 4月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (3月 68.50%)
16:00 4月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (3月 3.29%)
16:00 4月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (3月 51.47%)
注:ポイント要約は編集部
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