ドル円の一段高に支えられるもドル高リラ安継続で円安への反応は鈍い
〇トルコ円、ドル円の上昇追いかけ本日未明に4.77へ上昇
〇ドル高リラ安による圧迫続くも、日足の終値ベースでは3/12以降の高値を更新
〇ドル円が、市場介入なく急伸、市場介入で急落のどちらでも対処できるよう臨機応変に臨みたい
〇対ドル、4/24は概ね32.58から32.30の取引レンジ、本日早朝終値は32.54
〇ドル/トルコリラ、小動きだが4/5以降のリラ安基調続く、昨日は終値ベースで史上最安値更新
〇トルコ製造業景況指数、設備稼働率は改善するも、力強さ示す勢いには欠ける印象
〇今夜、トルコ中銀政策金利発表、事前予想は50%で据え置き
〇4.78超えからは4.79、4.80を順次試す上昇を想定
〇4.73割れからは4.70前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の4月24日は概ね4.77円から4.75円の取引レンジ、25日早朝の終値は4.77円で前日終値の4.74円からは0.03円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラは4月24日終値で終値ベースでの史上最安値を更新しておりトルコ統一地方選後のリラ買いが一巡してからはドル高リラ安基調が再開しているためにトルコリラ円にはドル高リラ安による圧迫が続いているが、ドル円の上昇により3月12日安値を起点として戻り高値を切り上げてきた。
ドル円は4月24日夜に155円に到達し、いったん小反落してから25日未明に155.37円へ一段高したため、
トルコリラ円はドル円の上昇を追いかけて25日未明に4.77円へ上昇し、ドル高リラ安に抑えられていることで勢いに欠け、4月22日早朝の一時的上昇で付けた4.79円には届かなかったものの日足の終値ベースでは3月12日以降の高値を更新している。
【ドル円の市場介入警戒感と先高期待が交錯、155円超えで市場介入は見られず】
先週のG20財務相・中銀総裁会合の持たれたワシントンで日米韓の財務相会談で日本の円安懸念を共有して市場介入への地ならしが進んだ印象だったが、ドル円が155円に到達した段階での市場介入がみられなかった。3月に昨年11月13日高値151.90円と2022年10月21日高値151.94円を超えて152円に迫った後、4月10日の米CPI上昇率が予想を上回ったことをきっかけとして152円を突破した際にも市場介入はなかったため、155円前後での市場介入警戒感は大きかったのだが、25日夜の米1-3月期GDP速報、26日の日銀金融政策決定会合、26日夜の米3月PCEデフレーターと重要イベントが続くために市場介入のきっかけをつかみづらいのかもしれない。逆にそれら重要イベントを通過して円安が加速する場合には156円、157円、、と高値を切り上げて市場介入姿勢を挑発してゆく流れへ進むことも考えられる。
トルコリラ円としてはドル円の上昇を追いかけつつ、市場介入なく急伸するケースと、市場介入で急落するケースのいずれにも対処できるように臨機応変な姿勢で臨みたいところだ。
【ドル/トルコリラは小動きだが4月5日以降のリラ安基調続く】
ドル/トルコリラの4月24日は概ね32.58リラから32.30リラの取引レンジ、25日早朝の終値は32.54リラで前日終値の32.49リラから0.05リラのドル高リラ安だった。
3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとしたリラ買いで4月1日に一時31.36リラへドル安リラ高となり、その後は高値更新へ進めなかったものの4月4日にかけて4営業日連続でドル安リラ高が続いた。しかしリラ買いが一巡するとリラの先安感が再認識されてドル高リラ安が再燃し、4月12日に一時33.03リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新した。
4月12日以降は新たな取引時間中の最安値更新を回避しているものの日足終値ベースではドル高リラ安が続いており、4月24日は4月15日終値32.40リラを超えて終値ベースで史上最安値を更新している。
4月25日午前は32.50リラを挟んで推移しており、今夜のトルコ中銀金融政策決定会合及びカラハン総裁発言内容次第ではリラ安がさらに進む可能性もあると注意する。
【トルコ製造業景況指数は改善】
4月24日にトルコ中銀が発表した4月の製造業景況指数は106.1となり3月の104.4から改善した。2023年5月の108.3をピークとして12月の99.1まで悪化していたが、その後は4か月連続で改善している。
100を上回れば好調であり100を下回れば不調という判断基準であり、設備稼働率が3月の76.2%から76.7%へ改善したことも含めて製造業の景況感が改善しつつある印象だが、2021年7月に114.8まで上昇した時の好調さと比較すればまだ低い印象だ。
欧米中の景気が強さを見せればトルコの製造業関連輸出も伸びると思われるが、欧州と中国の景気は低迷しており、ロシア・ウクライナ戦争に加えて中東情勢の悪化による地政学的リスクの拡大もあるために110を超えて力強さを示す勢いには欠けている印象だ。
【今夜、トルコ中銀政策金利発表】
トルコ中銀は本日20時に金融政策委員会の結果を公表、政策金利を発表するが、市場の事前予想は週間レポレートを50%で据え置くと見込まれている。一部には2.5%利上げないし5.0%利上げの可能性を指摘する声もあるが、4月16日にカラハン中銀総裁が利下げサイクル終了と年後半へのインフレ鈍化見通しを示したこともあり、据え置かれると思われる。
中銀は年前半に70%台でインフレがピークアウトして年末には30%台へ低下するとしており、現状の政策金利50%を維持していればいずれはインフレ率が政策金利を下回るマイナス金利状態へ改善し、利下げ余地も出てくるのではないかと楽観的な見通しを示している。
直近6か月のコアCPI前月比は2.0%から7.6%のレンジで推移しており3月は3.5%だった。ここまでの平均値ペースで推移するならば年率換算で45%前後となり今年3月の前年比75.2%低下する可能性があるが、欧米のインフレ率が高止まりする場合や中東情勢の悪化等で原油が高騰する場合及びリラ売りがさらに加速する場合には外部要因と通貨インフレにより期待通りには低下しない可能性も十分にあると思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、4月19日昼に急落してから下げ幅を解消する反騰となり20日早朝には4月1日高値を一時超えたため、22日午前時点では19日昼安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を20日早朝から23日にかけての間と想定した。
4月22日早朝高値からいったん下げたものの25日未明に一段高しているため、サイクルトップ形成の延長期に入っている印象だ。このため25日の日中から27日早朝にかけての一段高余地ありとするが、4.73円割れからは弱気サイクル入りとして25日の日中から26日の日中にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では4月25日未明への一段高により遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いているため遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4月23日午前に40ポイント弱へ低下してから持ち直して25日未明に60ポイント台後半へ上昇したため70ポイント台への上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台へ低下するとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.73円を下値支持線、4.78円を上値抵抗線とする。
(2)4.78円超えからは4.79円、4.80円を順次試す上昇を想定する。4.80円以上は反落注意とするが、4.76円を上回っての推移なら26日も高値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が急伸する場合は4.83円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)4.73円割れからは4.70円前後への下落を想定する。4.70円前後は買われやすいとみるが、4.73円を下回っての推移なら26日も安値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が急落する場合は4.60円台後半(4.68円から4.65円)へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
4月25日
20:00 トルコ中銀MPC 政策金利 (現行 50.0%、予想 50.0%)
20:30 週次 外貨準備高
4月29日
16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 100.0)
4月30日
16:00 3月 貿易収支確報 (2月 −67.7億ドル)
16:00 1-3月 海外観光収入 (10-12月期 122.7億ドル)
17:00 3月 海外観光客数 前年同月比 (2月 22.68%)
5月2日
16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 50)
5月3日
16:00 4月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (3月 3.16%)
16:00 4月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (3月 68.50%)
16:00 4月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (3月 3.29%)
16:00 4月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (3月 51.47%)
注:ポイント要約は編集部
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