トルコリラ円見通し ドル高リラ安の再開続くがドル円の上昇に支えられる(24/4/16)

トルコリラ円の4月15日は概ね4.77円から4.70円の取引レンジ、16日早朝の終値は4.75円で先週末終値の4.74円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安の再開続くがドル円の上昇に支えられる(24/4/16)

トルコリラ円見通し ドル高リラ安の再開続くがドル円の上昇に支えられる

〇トルコリラ円、ドル円の一段高により、4/15午後と夜に4.767を付けて4/1の急伸時高値に迫る
〇ドル高リラ安の勢いに勝るドル円の上昇が実現する場合、5円へ迫る可能性もあるか
〇対ドル、4/15は概ね32.55から32.08の取引レンジ、終値は32.40をつけ史上最安値更新
〇取引時間中の最安値更新には至らなかったが、5営業日連続のドル高リラ安
〇昨日発表のトルコ失業率は改善、ネットの外貨準備高は大幅に増加
〇4.73を上回るうちは一段高余地ありとし、4.77超えからは4.78、4.79を順次試す上昇を想定する
〇4.73割れを弱気転換注意とし、4.72割れからは下落期入りとみて4.70前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の4月15日は概ね4.77円から4.70円の取引レンジ、16日早朝の終値は4.75円で先週末終値の4.74円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラは3月31日の統一地方選後のリラ買いが一巡して4月12日に取引時間中の最安値を更新し、15日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの5営業日連続のドル高リラ安となり日足終値ベースでは史上最安値を更新した。しかしドル円が一段高したことによりトルコリラ円は円安の支えで持ち直し、15日午後と夜に4.767円を付けて4月1日の急伸時高値4.772円に迫った。

ドル高リラ安が再開していることでトルコリラ円はドル円のように一段高へは進めずにいるが、ドル高リラ安の勢いに勝るドル円の上昇が実現する場合は4月1日高値を超えて5円へ迫ってゆく可能性もあると思われる。そのためにはドル円が155円に到達した時点でも市場介入がないか、市場介入があっても一時的な急落を切り返して次の介入ターゲットを目指して一段高へ進む展開が欲しいところだ。
ドル円は4月12日夜に152.58円までいったん下げてから反騰入りし、15日夜には154.44円を付けて昨年末以降の最高値を更新している。34年振りの高値水準であり、155円を超える場合は1990年4月2日天井160.36円まで上値目途が切り上がるのではないかとの声も聞かれる。しかし15日夜高値155.44円を超えて155円に迫るところでは実弾介入がなくても警戒感でいったん下落することもあり得るところと思われる。
いずれにせよ、実弾介入があれば大きな円高反応となりトルコリラ円もドル円の波乱に巻き込まれるのではないかと注意する。

【ドル/トルコリラ 終値ベースで史上最安値更新、5営業日連続のドル高リラ安】

ドル/トルコリラの4月15日は概ね32.55リラから32.08リラの取引レンジ、16日早朝の終値は32.40リラで先週末終値32.35リラから0.05リラのドル高リラ安だった。
3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとしたリラ買いにより4月1日に32.48リラから31.36リラへドル安リラ高となり、日足終値ベースでは4月1日から4日まで4営業日連続のドル安リラ高だったが、リラ買いが一巡してリラの先安感が優勢となり4月12日朝に一時32.56リラを付けて3月19日安値32.50リラを超えて史上最安値を更新した。

4月15日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの終値ベースでは4月9日から5営業日連続のドル高リラ安となり終値ベースの史上最安値である3月19日終値32.36リラを超えて史上最安値を更新した。
統一地方選直後はトルコ政治改革への期待感や現政権が民衆支持回復のために適切な経済政策を行うとの期待感がリラ買い反応を招いたのだが、昨年9月からリラが史上最安値更新を続けてきた背景である高インフレと低成長の改善期待はまだ遠いとしてリラ売りが再開している状況だ。史上最安値更新へ進んだことによりリラ売りが徐々に勢いを増して行くのではないかと懸念される。

【トルコ失業率は改善、ネットの外貨準備高回復】

4月15日に発表されたトルコの2月失業率は8.7%となり1月の9.0%(当初の9.1%から下方修正)を下回る改善となった。市場は悪化を予想していたが発表に対する反応は鈍かった。失業率は2019年7月と2020年9月の14.3%をピークとして改善傾向にあるが、昨年12月に8.50%まで低下した後は改善傾向にブレーキがかかっている印象だ。
3月のトルコ財政収支は2090億ドルの赤字で2月の赤字1538億ドルを上回り昨年12月から4か月連続の赤字となった。
トルコ中銀発表の週次の外貨準備高は4月5日時点のネットで209億ドルとなり3月29日時点の154.5億ドルから大幅に増加した。最近の減少傾向に歯止めがかかった可能性もあるが、ラマダン明けの一時的改善に終わる可能性もあると思われる。グロスの外貨準備高はまだ発表されていない。
4月16日は16時に小売売上高、17日は2月経常収支の発表がある。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、4月10日未明安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、4月12日早朝へ続伸してから一時4.70円割れへ急落したために12日午前時点では12日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして13日未明から17日未明にかけての間への下落を想定した。
4月15日午前時点では弱気サイクルの継続としたが、15日午前に一時的な安値で4.70円まで下げてから4.77円に迫る反騰となったため15日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして17日早朝から19日早朝にかけての間への上昇を想定する。
ただし、4.73円割れを弱気転換注意とし連続的な下落で4.72円を割り込む場合は弱気サイクル入りと仮定して18日午前から22日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月15日午後への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンからも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下落期入りを疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月15日午後の上昇時に70ポイントを超えたがその後は指数のピークが切り下がって50ポイント台へ低下している。60ポイント超えからは上昇再開として70ポイント前後への上昇を想定するが、50ポイント割れからは下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.73円を下値支持線、4.77円を上値抵抗線とする。
(2)4.73円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.77円超えからは4.78円、4.79円を順次試す上昇を想定する。4.78円以上は反落注意とするが、4.74円を上回っての推移なら17日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.73円割れを弱気転換注意とし、4.72円割れからは下落期入りとみて4.70円前後への下落を想定する。4.70円前後は買われやすいとみるが、4.73円を下回っての推移なら17日も安値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が市場介入で急落する場合は4.60円台中盤へ急落する可能性もあると注意する。

【当面の主な予定】

4月16日
 16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 2.6%)
 16:00 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 13.3%)
4月17日
 16:00 2月 経常収支 (1月 -25.56億ドル)
4月18日
 20:30 週次 外貨準備高 4月12日時点
4月19日
 16:00 4月 トルコ中銀ビジネスサーベイ

4月25日 トルコ中銀MPC 政策金利 (現行 50.0%)



注:ポイント要約は編集部

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