ドル円見通し 市場介入なく15日夜に154.50円に迫る(24/4/16)

15日夜の米3月小売売上高が予想を上回る堅調さだったことで米長期債利回りが上昇したのを見て15日深夜には154.44円へ大幅続伸した。

ドル円見通し 市場介入なく15日夜に154.50円に迫る(24/4/16)

ドル円見通し 市場介入なく15日夜に154.50円に迫る

〇ドル円、4/15午前153.50を超え、その後米3月小売売上高の結果を受け、深夜に154.44へ大幅続伸
〇4/16早朝にかけては市場介入警戒感からやや下げているものの、154円台を維持
〇ドル円は昨年12/28安値以降の高値を更新中だが、上値抵抗線は1990年高値160.36まで見当たらず
〇米小売売上高は予想を上回る堅調な結果、米国利下げ開始先延ばし感さらに強まる
〇米長期債利回りは総じて上昇、10年債利回りは昨年末以降の最高値更新、NYダウ・ナスダックは続落
〇154円台を維持するうちは一段高余地ありとし、154.44超えからは155円前後を目指す上昇を想定する
〇153.70割れからは下落期入りとして、153.50、153.30を順次試す下落を想定する

【概況】

ドル円は4月10日夜の米3月CPI上昇率が予想を上回ったことをきっかけとして直前の151.70円台から152円を超えて11日午前高値153.22円へ急伸し、12日夕刻に153.38円まで高値を伸ばしてから12日夜の米長期債利回り低下時に152.58円まで下げたところを買われて13日早朝には153.30円台へ切り返していた。
4月14日のイランによるイスラエルへの大規模な空爆報道で15日早朝にいったん153円を割り込んだものの全面戦争へ発展しないとみて早々に切り返し、12日夕高値を超えた時点で市場介入がみられなかったために午前に153.50円を超え、15日夜の米3月小売売上高が予想を上回る堅調さだったことで米長期債利回りが上昇したのを見て15日深夜には154.44円へ大幅続伸した。16日早朝にかけては市場介入警戒感からやや下げているものの154円台を維持している。

ECB(欧州中銀)が6月にも利下げするのではないかとの見方が出ていることと米小売統計が強かったことでユーロドルが2月末以降の安値を更新し、ポンドや豪ドル等も下落してドル全面高の様相のため政府・日銀も現状の円安を根拠のない投機的な動きと断じることに及び腰という印象もある。

【チャート上の上値抵抗線は1990年高値160.36円まで見当たらず】

ドル円は昨年12月28日安値140.24円以降の高値を更新中だが、遡れば2011年10月31日安値75.57円以降の最高値更新中であり、過去の主要高値による上値抵抗線としては1990年4月2日天井160.36円まで見当たらない。
2022年の政府・日銀による市場介入では9月22日に最初の大規模介入を実施して当日高値145.89円から安値140.36円まで5.53円の急落幅となったものの早々に切り返され、10月12日に9月22日高値を超えてから10月21日高値151.94円まで一段高している。二度目の大規模介入で10月21日は当日高値151.94円から安値146.18円まで5.76円の急落幅となり、連休を挟んだ翌営業日の10月24日の三度目の介入で145.50円へ続落し、10月27日に145.11円まで安値を切り下げている。それでも10月31日高値148.84円まで切り返されており、11月10日の「逆CPIショック」で急落するまでは一段高へ進む可能性を残していた。

現状も2022年の介入規模を大きく超えるような衝撃をもたらせば一度の介入で相当程度の下落を招く可能性があるが、2022年と同程度かそれ以下なら2022年の経緯を踏まえていったん急落したところから次の介入ターゲットを目指して一段高する可能性もあると思われる。

【米小売売上高堅調、米国利下げ開始先延ばし感さらに強まる】

4月15日夜に米商務省が発表した3月小売売上高は前月比0.7%増となり市場予想の0.3%増を大幅に上回った。2月分が速報の0.6%増から0.9%増へ上方修正されたことも含めて消費の強さを印象付けて米国の早期利下げ期待を後退させた。
ニューヨーク連銀による4月のニューヨーク州製造業景況指数はマイナス14.3となり3月のマイナス20.9から改善したが市場予想のマイナス7.5を下回った。インフレ指標の支払い価格は28.7から33.7へ上昇、受取価格は17.8から16.9へ若干低下した。雇用はマイナス7.1からマイナス5.1へ改善、6か月後の見通しは21.6から16.7へ悪化した。
NAHB(全米住宅建設業者協会)による4月NAHB住宅市場指数は3月と変わらずに51で市場予想と一致した。4か月連続での上昇は一服しており、政策金利動向が定まらない中での買い控えがみられると指摘された。
米商務省による2月企業在庫は前月比0.4%増で市場予想と一致したが1月の0%から上昇した。GDP算出対象である自動車を除く小売在庫は前月比0.4%増となり1月の0.3%増を上回った。

【米10年債利回りは昨年末以降の最高値更新、ダウは続落】

4月15日の米長期債利回りは米小売売上高が堅調だったことによる利下げ開始先送り感から総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.08%上昇の4.61%となり一時4.66%をつけて昨年12月27日に付けた3.78%以降の最高とした。30年債利回りは前日比0.09%上昇の4.72%となり一時4.75%をつけて12月27日の3.94%以降の最高とした。2年債利回りは0.02%上昇の4.92%だったが、一時4.99%へ上昇したものの4月11日に付けたこの間のピークである5.01%には届かず上げ幅を削った。
金利先物市場における6月利下げ期待度は2割強まで低下しており、利下げ開始は9月ないしさらに先延ばしされるのではないかとの見方が優勢となりつつある。

一方でNYダウは前日比248.13ドル安と下落して4月8日から6営業日続落となった。3月21日に史上最高値を39889.05ドルへ伸ばして4万ドルに迫ったところから下落しており、年初からの上昇幅の大半を解消している。中東情勢の悪化と米国の利下げ先送り感を嫌っている。ナスダック総合指数も290.07ポイント安と下落して4月10日から4営業日続落となった。株安が世界連鎖型となる場合は円高に傾斜しやすいと思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は4月12日夜の反落時安値152.58円を起点として一段高に入った。目先の高値形成期は17日から19日にかけての間と想定されるが、市場介入への警戒感ないし実弾介入発動による反落にも注意がいるところのため、154円割れを買い戻されるうちは一段高余地ありとするが、154円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、153.70円割れからは下落期入りとみて17日夜から19日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、4月12日夜からの一段高で遅行スパンが好転して先行スパンも大幅に上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を続けているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優勢とするが、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は4月15日夜に80ポイント台へ到達してから60ポイント台へ低下しているが弱気逆行はまだ見られないので70ポイント超えからは上昇再開とする。ただし、相場が一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落注意とし、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、153.70円を下値支持線、4月15日夜高値154.44円を上値抵抗線とする。
(2)154円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは一段高余地ありとし、154.44円超えからは155円前後を目指す上昇を想定する。155円手前は反落警戒とするが、154円台を維持しての推移なら17日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)153.70円割れからは下落期入りとして153.50円、153.30円を順次試す下落を想定する。153.50円以下は買われやすい水準とみるが、153.70円を下回っての推移なら17日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

4/16(火)
休場 タイ
IMF世界経済見通し「WEO」公表
11:00 (中) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 5.5%、予想 4.6%)
11:00 (中) 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 7.0%、予想 6.0%)
11:00 (中) 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月 1.0%、予想 1.4%)
11:00 (中) 1-3月期 GDP 前年同期比 (10-12月 5.2%、予想 4.6%)
15:00 (英) 2月 失業率・ILO方式 (1月 3.9%、予想 4.0%)
18:00 (英) ロンバルデリ英中銀副総裁、財務委員会証言
18:00 (独) 4月 ZEW景況感 (3月 31.7、予想 35.0)
18:00 (欧) 4月 ZEW景況感 (3月 33.5)
18:00 (欧) 2月 貿易収支・季調済 (1月 281億ユーロ、予想 218億ユーロ)
18:00 (欧) 2月 貿易収支・季調前 (1月 114億ユーロ )

21:30 (米) 3月 住宅着工件数・年率換算 (2月 152.1万件、予想 148.4万件)
21:30 (米) 3月 住宅着工件数 前月比 (2月 10.7%、予想 -2.4%)
21:30 (米) 3月 建設許可件数・年率換算 (2月 151.8万件、予想 151.0万件)
21:30 (米) 3月 建設許可件数 前月比 (2月 1.9%、予想 -0.9%)
22:00 (米) ジェファーソンFRB理事、基調演説
22:15 (米) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 0.1%、予想 0.4%)
22:15 (米) 3月 設備稼働率 (2月 78.3%、予想 78.5%)
26:00 (英) ベイリー英中銀総裁、講演

4/17(水)
休場 インド
07:45 (NZ) 1-3月期 CPI(消費者物価指数) 前期比 (10-12月 0.5%、予想 0.6%)
07:45 (NZ) 1-3月期 CPI(消費者物価指数) 前年同期比 (10-12月 4.7%、予想 4.0%)
08:50 (日) 3月 通関貿易収支・季調前 (2月 -3794億円、予想 2850億円)
08:50 (日) 3月 通関貿易収支・季調済 (2月 -4516億円、予想 -2800億円)
15:00 (英) 3月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (2月 0.6%、予想 0.4%)
15:00 (英) 3月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (2月 3.4%、予想 3.1%)
15:00 (英) 3月 コアCPI 前年同月比 (2月 4.5%、予想 4.1%)
15:00 (英) 3月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (2月 4.5%、予想 4.2%)
18:00 (欧) 3月 HICP(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 2.4%、予想 2.4%)
18:00 (欧) 3月 コアHICP・改定値 前年同月比 (速報 2.9%、予想 2.9%)

23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:45 (欧) シュナーベルECB理事、講演
25:00 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)



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