トルコ円見通し 4.70円台前半を中心とした持ち合い、中東情勢緊迫化の影響も懸念(24/4/15)

トルコリラ円の4月12日は概ね4.77円から4.63円の取引レンジ、13日早朝の終値は4.74円で11日、12日と変わらず。

トルコ円見通し 4.70円台前半を中心とした持ち合い、中東情勢緊迫化の影響も懸念(24/4/15)

4.70円台前半を中心とした持ち合い、中東情勢緊迫化の影響も懸念

〇トルコリラ円、4/13早朝終値は4.74。4.70台前半を中心の持ち合い
〇対ドル、4/12取引レンジは概ね33.03から32.06。取引時間中の史上最安値更新
〇イラン・イスラエルの戦争状態激化なら、トルコ含めた中東全域の地政学的リスク高まりかねない
〇金融市場がリスク回避的な動き優先で、円高バイアスかかりやすくなる可能性も
〇原油価格高騰でトルコの高インフレ継続懸念高まり、安全資産へ資金シフト進みリラ安招くことも警戒
〇4.75下回るうちは一段安警戒、4.71割れから4.68、4.67を順次試す下落想定
〇4.74から4.75手前にかけては戻り売り有利、その後に4.71を割り込むところから下げ再開とみる

【概況】

トルコリラ円の4月12日は概ね4.77円から4.63円の取引レンジ、13日早朝の終値は4.74円で11日、12日と変わらず。週間では4月5日終値4.73円から0.01円の円安リラ高だった。
3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとしたドル安リラ高により4月1日高値4.77円へ急伸した後は4.76円前後を繰り返し付けながらも高値更新へ進めず、12日は朝と午前にドル/トルコリラが史上最安値を更新するリラ安を繰り返したために4.63円まで一時的に下げたものの、ドル/トルコリラが落ち着いたことで早々に戻し、12日夜にドル円が下落した際に4.71円まで下げたもののその後はドル円とともに持ち直している。

【イラン・イスラエル戦争化への懸念】

4月14日にイスラエルによるシリア首都イラン大使館への空爆に対する報復としてイランがドローンや巡航ミサイル・弾道ミサイル等300発以上の攻撃を行った。イスラエルは反撃を示唆し、イランは反撃あれば10倍の報復をすると宣言するなど中東戦争状況の悪化がエスカレートしている。今回のイランによる報復攻撃については想定されていたことのためサプライズ感はなく、米軍が積極的な参戦姿勢を見せていないため4月15日朝の市場はまだ冷静だが、両国の戦争状態が激化すればトルコを含めた中東全域の地政学的リスクが高まりかねない。
ドル円は金融市場全般がリスク回避的な動きを優先し始める場合にはクロス円全般の手仕舞いにより円高となりやすく、安全資産として米国債が買われて米長期債利回りが低下する場合は日米金利差縮小により円高バイアスがかかりやすくなる可能性がある。また、152円突破に際しての市場介入は見送られたものの153円割れを買われながら円安状態が続き高値を切り上げる場合には市場介入もあり得るところと警戒したい。

トルコリラとしてもリスク回避的なリラ売りを助長しかねない。仮にイランがホルムズ海峡の検問強化や封鎖に走る場合や欧米がイラン制裁を強化してイラン原油輸出規制等が進む場合には原油価格高騰によりトルコの高インフレ継続懸念も高まるため、安全資産としてのドルやゴールド等へ資金シフトが進んでリラ安を招くということも警戒される。

【ドル/トルコリラ 取引時間中の史上最安値更新、統一地方選後のリラ高解消】

ドル/トルコリラの4月12日は概ね33.03リラから32.06リラの取引レンジ、13日早朝の終値は32.35リラで前日終値の32.30リラからは0.05リラのドル高リラ安だった。
3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとしたリラ買いにより4月1日に32.48リラから31.36リラへドル安リラ高となり、日足終値ベースでは4月1日から4日まで4営業日連続でドル安リラ高となったが、リラ買いが一巡してリラの先安感が優勢となり4月5日から徐々に安値切り下げを続け、4月12日朝に32.56リラを付けて3月19日安値32.50リラを超えて史上最安値を更新し、午前に33.03リラを付けて初めて1ドル33リラ台に到達した。いずれのリラ安も一時的なものに留まったが、32.10リラ台へ戻した後は再びリラ安基調へ進んでいる。
週間では4月5日終値32.04リラから0.31リラのドル高リラ安。日足終値ベースでは史上最安値の3月19日終値32.36リラに迫った。月間では2022年9月から今月まで20か月連続で史上最安値を更新している。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、4月10日夜の急伸で強気転換目安とした4.72円を超えたために11日午前時点では10日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、4月12日早朝へ続伸してから一時4.70円割れへ急落したために12日午前時点では12日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして13日未明から17日未明にかけての間への下落を想定した。
4月12日午前の一時的な安値とその後の一時的な高値を除いて相場の流れをみれば12日早朝高値を起点とした弱気サイクルを継続している印象のため4.71円割れからは下落継続とするが、4.77円に到達する場合は直前安値をボトムとした強気サイクル入りとして17日早朝から19日早朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では飛び値を除いて4.70円台前半を中心とした持ち合いのため方向感に欠けるところだが、連続的な下落で4.71円を割り込む場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、連続的な上昇で4.75円を超える場合は上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月10日夜以降は指数のピークが切り下がる右肩下がりの展開のため、60ポイントを超えないうちは一段安余地ありとして40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定するが、60ポイント超えからは反騰継続とみて70ポイント台への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.71円を下値支持線、4.75円を上値抵抗線とする。
(2)4.75円を下回るうちは一段安警戒とし、4.71円割れからは4.68円、4.67円を順次試す下落を想定する。4.67円以下は反騰注意とするが、4.71円を下回っての推移なら16日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.74円から4.75円手前にかけては戻り売り有利とし、その後に4.71円を割り込むところから下げ再開とみる。4.75円を超える場合は4.76円、4.77円を順次試す上昇を想定するが、4.77円前後は反落警戒とみる。

【当面の主な予定】

4月15日
 16:00 2月 失業率 (1月 9.1%)
 17:00 3月 財政収支 (2月 -1538億リラ)
4月16日
 16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 2.6%)
 16:00 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 13.3%)
4月17日
 16:00 2月 経常収支 (1月 -25.56億ドル)
4月18日
 20:30 週次 外貨準備高 4月12日時点 グロス (4月5日時点 687.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4月12日時点 ネット (4月5日時点 154.5億ドル)
4月19日
 16:00 4月 トルコ中銀ビジネスサーベイ

4月25日 トルコ中銀MPC 政策金利 (現行 50.0%)


注:ポイント要約は編集部

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