ドル円 ドル高基調継続、実弾介入の実施はあるか!?(週報4月第3週)

先週のドル/円相場はドルが一段高。34年ぶりとなる153円台を示現し、週末もそのまま高値引けしている。

ドル円 ドル高基調継続、実弾介入の実施はあるか!?(週報4月第3週)

ドル高基調継続、実弾介入の実施はあるか!?

〇先週ドル円、151円台のレンジ相場後、152円を超えると一気に153円台へ続伸
〇4/10発表の3月米CPI予想上振れを受け米利下げ期待が後退、ドル高加速
〇週末にかけ当局者らから円安けん制発言あるも実弾介入は見送り、今週も引き続き介入に注意
〇金利差の観点からは、当面ドルの底堅い値動き続きそう
〇中東情勢リスク、マーケット波乱要因となりかねない
〇今週は米3月小売売上高、ベージュブック発表、米決算発表やG20に要注目
〇ドル高・円安方向、先週高値153.39の攻防に注目
〇ドル安・円高方向、下値メドは先週末安値に当たる152.60か
〇予想レンジ:151.50-154.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが一段高。34年ぶりとなる153円台を示現し、週末もそのまま高値引けしている。

前週末は、訪中している米財務長官が李強首相らと会談を実施したうえ、ハマスはガザ停戦交渉に応じる構えをみせ、代表団をエジプト・カイロに派遣するとの声明を出していたと伝えられていた。
そうした状況下、ドル/円は151.60円前後で寄り付いたのち、しばらくは冴えない。151円台の非常に狭いレンジ取引が続いたが、米利下げ時期の後退観測がさらに強まったことでレンジを上抜け。強固な壁となっていた152円を超えると、そのまま一気に153円台へと続伸した。週末などに若干荒っぽい変動が観測されるも下値は堅く、結局週末NYは153円台、153.20-30円という週間高値圏で越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「円安けん制発言など」について。
前者は、10日に発表された3月の米消費者物価が予想よりも強く、「早期利下げ期待」をさらに後退させると、為替市場ではドル高を加速させた。実際、強い米指標を受けブルームバーグによると、金融大手ゴールドマンサックスでは米利下げ予想を「年3回から2回に修正した」とされるほか、サマーズ元米財務長官は次のFRBの動きについて「利下げではなく、利上げであるリスクを真剣に検討する必要がある」との認識を示したとも報じられている。その後はやや弱めの米指標が発表されたりもしたが、基本的な流れは変わらず。ボストン連銀総裁が「金利の引き下げは予想よりも緩やかになるかもしれない」と述べるなど、米当局者からは依然として強気なコメントが目に付く格好だった。

それに対して後者は、一時ブルームバーグが「日銀、25-26日に開く金融政策決定会合で2024年度のインフレ見通しの上方修正を議論する公算が大きい」と報じ物議を醸すも、植田日銀総裁は国会にて答弁し、「当面は緩和的な金融環境が継続すると考えている」などとした従来の見解どおりを示したことですぐに鎮静化した。市場では、日米金利差の縮小はやはり見込みにくいとの見方が取り沙汰されており、ドル買い・円売りの材料になっていたことは間違いない。そうしたなか、ドル/円相場は10日に153円台へと上伸。それを受け、以降は週末にかけ神田財務官や鈴木財務相、林官房長官などから円安けん制発言が聞かれたものの、実弾介入については見送られていたようだ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は、3週間近くドルの上値を強く抑制していた152円の壁を先週ようやく上抜け。さらに長期にわたる保ち合いでエネルギーが蓄積されていたのか、そのまま一気に153円台までの続伸をたどっていた。市場筋に恐怖を植え付けていた「政府・財務省による円買い実弾介入」は、一連の動きのなかで観測されず、結果的には「幽霊の正体見たり枯れ尾花」といった様相。とは言え、本稿執筆段階で依然153円台というドル高値圏で推移しているだけに、今週も引き続き当局の介入姿勢が意識されることになりそうだ。なお、以前にもレポートしたように、ここから上はしばらく明確な抵抗がない。本当に強い抵抗となると1990年の160円台だが、心理的な意味も含め155円レベルが一応ターゲットか。

日米金融政策が引き続き注目されているものの、基本的には前述した通りで日米金利差が簡単に縮小するとも思われないし、仮に縮小しても右肩下がりで急速な低下傾向を示すものではないだろう。つまり、金利差という観点からは、まだ当面のあいだドルの底堅い値動きが続く公算が大きい。ただし、ここにきて急展開、マーケットの波乱要因として取り沙汰されているものが中東情勢リスク。最悪の場合には、米軍も参戦する格好になりかねない状況だけに、関連ニュースなどには十分に注意を払いたいところだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場の基本的なリスクはドル高方向。前述したようにしばらく強い抵抗はなくまずは155円、本当に強い抵抗である160円台を目指す展開か。
しかしながら、当然日本当局の円買い実弾介入には要注意だ。覚えているという方も多いと思うが、前回2022年の円買い介入時には151円台から144円台へと、一気に7円ものドル安・円高が進行していた。仮に実弾介入が観測されれば、ドルは146-147円まで下落しても不思議はない。

そうしたなか今週は、米経済指標として3月小売売上高の発表や米地区連銀経済報告の公表などが予定されている。また、それ以外でも米金融機関を中心とした決算発表、G20財務相・中銀総裁会議といった重要な国際会議も週間を通して数多く予定されている。政治的なファクターにも一応要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、151.50-154.50円。ドル高・円安については、先週高値にあたる153.39円の攻防に注目だ。しっかり超えるとテクニカル的には青天井だが、それでも155円が一応のメドか。
対してドル安・円高方向は、「当局の実弾介入はない」との前提をもとに考えると、最初の下値メドは先週末安値に当たる152.60円か。割り込むと、レベルを急速に切り上げ151円半ばへと達してきた移動平均の21日線がターゲットとなりそう。

ドル高基調継続、実弾介入の実施はあるか!?

ドル円日足



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