政治的な不透明感強いなかトレンドは強い、今週のCPIに注目
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、強い動きが継続したことから、昨年11月16日以来となる8.24円水準まで上昇する場面が見られた。
目立った経済指標の発表が無かった先週は、ランド買いのトレンドの強さが先行し、9日に8.24円まで上昇した。買い一巡後は、10日の米消費者物価指数(CPI)の市場予想上振れに伴う米長期金利上昇に伴うドル買いの反動や利益確定などから下落。
週末は、ドル独歩高の影響などから8.05円台まで下落する動きが見られたが、瞬間的な動きに留まった。結局、週次ベースではほぼ横ばい推移で、強いトレンドは継続となった。
ランド・円(東京時間:4月8日―4月12日)※Investing.comの日足を参照
始値:8.1188円
高値:8.2428円
安値:8.0561円
終値:8.1208円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
4月11日
20時00分、2月製造業生産高、前回:0.4%、市場予想:0.7%、結果:−0.3%
4月17日
17時00分、3月CPI(前年比)、前回:5.6%、市場予想:5.4%
17時00分、3月CPI(前月比)、前回:1.0%、市場予想:0.9%
17時00分、3月CPI(コア)(前年比)、前回:5.0%、市場予想:4.9%
17時00分、3月CPI(コア)(前月比)、前回:1.2%、市場予想:0.8%
20時00分、2月小売売上高(前年比)、前回:−2.1%、市場予想:−1.5%
20時00分、2月小売売上高(前月比)、前回:−3.2%、市場予想:1.2%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、目立った売買材料に乏しいながらも、下値を切り上げる上昇が続いており、昨年11月高値の8.3円台回復が意識されそうだ。懸念材料としては、日本当局による円買い介入実施があるが、これまでの日本当局の動き見る限りでは、介入実施の難しさが窺える。
2月にブレンサースト財団とSABIストラテジー・グループが実施した世論調査によると、5月29日の選挙での投票先の割合は、現政権のANCが39%、白人を支持層とする民主同盟(DA)が27%、ANCを離党したズマ元大統領が創設した「国民の槍(やり、MK)」が13%、「経済解放の闘士(EFF)」が10%などとなっている。
今のところ、ラマポーザ大統領の政党が第一党となりそうだが、過半数を獲得するためにどこかの政党と連立を組む必要がある。袂を分かったズマ元大統領の政党と組むことはないだろうから、第2勢力となりそうなDAと組む可能性はありそうだが、連立政権樹立は難航しそうだ。5月末まで、こうした政治的な不透明感がランド買いの重しとなるのは間違いないだろう。
ファンダメンタルズでは、南アフリカの主要輸出品である金価格が高騰していることが下支え材料となりそうだ。一方、今週発表が予定されている3月CPIは前回よりも鈍化すると見込まれており、予想通りであれば、インフレ鈍化に伴い南アフリカ中央銀行による早期利下げ観測が再び強まる可能性もある。
また、日本当局による円買い介入はいつ入ってもおかしくない水準(ドル・円)であることからランド上昇の重しとなりそうだが、ランドは対円でじりじりとした上昇が継続。上記の通り、5月末の選挙に対する不透明感が強まっているなか、テクニカル面の強さが意識されたランド買いが継続している。
テクニカルでは、3月戻り高値をきれいに更新していることから、短期的なトレンドは強い。日足の一目均衡表でも、転換線をサポートに上を意識した格好。目立った上値抵抗ラインが存在しないことから、ランドは昨年11月16日の戻り高値8.3404円を意識した展開を想定する。
南アフリカランド円日足
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