ECB理事会(4月11日開催)のポイント:「エネルギー価格上昇を受けて6月利下げは後ずれか」(4/9)

今回のECB理事会のポイントは、足元のエネルギー価格上昇を受けて、前回のECB理事会後の記者会見で高まった6月利下げ見通しが後ズレするかどうかだ。

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ECB理事会(4月11日開催)のポイント:「エネルギー価格上昇を受けて6月利下げは後ずれか」(4/9)

エネルギー価格上昇を受けて6月利下げは後ずれか

【今回のポイント】

〇 4.5%の政策金利は現状維持
〇 エネルギー価格上昇が影響し6月利下げ開始は後ずれか
〇 ユーロは対円で小動きか

【市場コンセンサスは何?】

4月11日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。市場コンセンサスは下記の3点と考える。

・政策金利4.50%の据え置き
・6月利下げ開始は後ずれか
・中東情勢におけるエネルギー価格上昇に対する懸念

ECBが設定している政策金利4.50%は、ユーロ誕生以降、過去最高である。足元のユーロは164円台で推移しており、投機筋を中心とした円キャリートレードのポジションは積み上がっており、ユーロ高の流れは根強い。

【前回議事録】

・全メンバーは主要金利を現在の水準に維持するというレーン氏の提案に同意
・今回の会合で利下げを議論するのは時期尚早であるとの意見で一致
・追加的な証拠を積み重ねることが重要であることが確認された
・主要なECB金利が、十分に長い期間維持されれば、インフレ率を2%の中期目標に適時に戻すことに大きく寄与すると改めて表明
・政策が引き続きデータに依存し、既に伝えられた反応関数の要素に基づき続ける必要性を強調
・最新のECBスタッフによる予測などにより、利下げを検討する論拠は強まっている
・新たなスタッフ予想に加え、運営理事会は6月の会合までに特に賃金動態に関するデータや情報を大幅に入手できることが強調された
・4月の会合までに入手できる新たな情報ははるかに限られている
・PEPPポートフォリオで償還期限が到来した債券の再投資に引き続き柔軟性を適用

【何がサプライズになる?】

今回のECB理事会のポイントは、足元のエネルギー価格上昇を受けて、前回のECB理事会後の記者会見で高まった6月利下げ見通しが後ズレするかどうかだ。直近のECB関係者の発言を見ると、6月利下げのコンセンサスに変化は無さそうだが、ナーゲル独連銀総裁の「エネルギー価格、賃金、企業利潤などが不透明感の原因」のほか、ECB関係者の多くが発する「データ次第」などを考慮すると、「不透明感」が強まっているのは間違いなさそうだ。

ラガルドECB総裁の記者会見で、「6月利下げ開始は規程路線ではない」「エネルギー価格の上昇を注視する」といった発言が出る可能性は高いと考える。

【では、ユーロはどう動く?】

〇コンセンサス通りだった場合
市場では、「エネルギー価格上昇に対する懸念が利下げ開始の重しとなっている」程度は織り込んでいると想定。今回のECB理事会で、6月利下げ開始のトーンが低下し、7月会合もしくは9月会合での利下げ開始に後ずれとなっても、さほどネガティブなインパクトは出ないと考える。

基本的に、日銀は断続的な追加的な利上げを行う可能性が非常に低いことから、日欧金利差が一気に縮小する可能性は低く、ユーロ買い円売りのスタンスは大きく変わらないだろう。日本当局による円買い介入への警戒感は引き続き高いが、対ドルでスピード感を伴ったドル買い円売りが進まない限り、日本当局は円買い介入には動けないと見る。ユーロは対円で緩やかな上昇が継続し、2008年8月以来となる165円台を意識した展開となろう。

〇サプライズだった場合
足元のエネルギー価格上昇にも関わらず、「6月利下げ」の可能性に言及した際、いったんユーロ売り円買いが強まると考える。ただ、さすがにエネルギー価格の動向は無視できない重要な要因であるため、ユーロ売りは瞬間的なものに留まると想定。短期的には162円台も視野に入るが、日欧金利差が考慮されて164円台に戻すだろう。

中央銀行は、利下げ開始後、すぐに利上げすることは避けたいため、金融政策を変更する際は驚くほど慎重になる。不透明要因であるエネルギー価格を見極めたいとするムードが強まり、「6月利下げ」を選択する可能性は非常に低いと推測。仮に今会合で「6月利下げ」に対する可能性を強く示唆したとしても、6月会合前に何かしら是正の声明が出るだろう。つまり、サプライズが起こる可能性は非常に低いうえ、起こった際も瞬間的な動きに留まると考える。

【最近のECB関係者の発言は?】

ここ2週間以内でECB関係者の発言を拾った。

4月3日、デコス・スペイン中銀総裁
「中心シナリオは6月の利下げ開始」

4月3日、ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「6月利下げについて、基本的に異論はないが、より裏付けとなるデータを見たい」

3月29日、ビルロワドガロー・フランス中銀総裁
「ECBの利下げ開始が4月か6月かは重要ではない。ECBの利下げは、FRBとは無関係に春に開始すべき。ECBはすべての理事会で利下げを行う選択肢を持っている」

3月28日、パネッタECB理事
「引き締め策が急速なディスインフレに貢献した。政策緩和の条件は整いつつある」

3月27日、チポローネECB理事
「インフレに関する不確実性は低下、25年半ばまでに目標達成の確信強まる」

3月27日、カザークス・ラトビア中銀総裁
「6月利下げとの市場観測に反応せず、我々は慎重かつ段階的に利下げを行う」

3月26日、ミュラー・エストニア中銀総裁
「利下げ開始が可能な地点に近づいており、6月会合に向けて、インフレのトレンドをデータで確認すること可能に」

3月25日、レーンECBチーフエコノミスト
「賃金上昇は想定通りに鈍化してきていると確信」

3月22日、ラガルドECB総裁
「金融政策の効果で域内のインフレ率低下が続く見通しだと説明」

3月22日、ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「6月、新たな情報が利下げ開始のドアを開くだろう」

3月22日、ナーゲル独連銀総裁
「エネルギー価格、賃金、企業利潤などが不透明感の原因」
「ECBは金融政策判断について、米金融当局を考慮に入れているわけではない」

3月20日、ラガルドECB総裁
「4月までにはもう少しの、6月までにはより多くの情報得られるだろう」

【2024年スケジュール】

※米国は現地時間を記載しているので、金利発表及び記者会見は日本時間翌日未明

日銀金融政策決定会合(日銀会合)
1月22日−23日(経済・物価情勢の展望)・・・現状の金融政策を維持
3月18日−19日・・・マイナス金利の解除、YCC終了、ETF等の買い入れ終了
4月25日−26日(経済・物価情勢の展望)
6月13日−14日
7月30日−31日(経済・物価情勢の展望)
9月19日−20日
10月30日−31日(経済・物価情勢の展望)
12月18日−19日

米連邦公開市場委員会(FOMC)
1月30日−31日・・・4会合連続で金利据え置き
3月19日−20日・・・5会合連続で金利据え置き、パウエルFRB議長は、年内利下げの可能性を再表明
4月30日−5月1日
6月11日−12日
7月30日−31日
9月17日−18日
11月 6日− 7日
12月17日−18日

欧州中央銀行理事会(ECB理事会)
1月25日・・・現状の金融政策を維持、利下げの議論は時期尚早
3月 7日・・・現状の金融政策を維持、6月利下げ開始を示唆する発言
☆4月11日・・・現状の金融政策を維持、6月利下げ開始は後ずれか
6月 6日
7月18日
9月12日
10月17日
12月12日

オーダー/ポジション状況

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