152円突破に現実味、そのとき介入はあるのか
〇本日のドル円、151.80-90を中心とした高原推移をたどるも152円にはとどかず
〇当局による円買い介入警戒感が強いが、財務相の口先介入には強い切迫感がうかがえず
〇152円を超えても即介入とならない可能性もあるか
〇明日発表される米消費者物価指数が注視される、明日は他にも注目材料が集中
〇欧米時間の予想レンジは151.20-152.20、ドル高・円安方向は152円をめぐる攻防にまずは注目
〇ドル安・円高方向は、151円半ばが短期的なサポートとして意識され始める
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが強保ち合い。151.80-90円を中心とした高原推移をたどったが、152円にはとどかなかった。
ドル/円は、151.80円前後で寄り付いたのち底堅く推移。レベル的なものもあってか、鈴木財務相から「過度な変動は望ましくない」などとした口先介入が聞かれるも、効果はほとんど見られなかった。米金利先物や日経平均株価の動きを横目ににらみつつ、151.75-95円といった高原推移をたどっている。16時現在では151.90-95円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「日銀金融政策など」と「中国情勢」について。
前者は、岸田首相が渡米し、11日未明に実施される日米首脳会談が開催されることで、様々な思惑が取り沙汰されるなか、前述したようにドル/円が152円に接近する展開をたどっていることで、本日は鈴木財務相から口先介入が聞かれていたようだ。前述発言のほか、「あらゆる手段を排除せず適切に対応」とのコメントも聞かれていたという。一方、それとは別に植田日銀総裁は参院財政金融委員会で答弁し、「当面は緩和的な金融環境が継続すると考えている」と述べたうえで、「基調的物価が予想通りに上昇していけば金融緩和の度合いの縮小が必要になる」などといった見解を示していた。
対して後者は、いわゆる西側諸国と中国の軍事的な鍔迫り合いが一層激しさを増してきた。米国、英国、豪州の3ヵ国が声明を発表し、以前から一部で報じられていた中国を念頭に、安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を通して日本と先端防衛技術分野で協力することを検討することを明らかしている。また、米国家安全保障会議戦略広報調整官からも、「日米フィリピンの3ヵ国による南シナ海などの地域で戦略的目標や利益、懸念がますます合致している」とした発言が聞かれている。しかし、その反面中国サイドは、南シナ海で7-8日に海空合同の軍事演習を実施したとの発表を行った。日米豪比4ヵ国が7日に南シナ海で行った共同訓練への対抗措置とみられるという。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、本日東京時間にも151円台後半で高原推移をたどるも152円にはとどかず。まさに「近くて遠い」という存在にある。当局による円買い介入警戒感が強いことは言うまでもないが、前段で取り上げた鈴木発言には強い切迫感がうかがえず、また以前も指摘したように、その鈴木氏は以前「防衛ラインはない」とも発言していた。それからすると、152円を超えたら即介入ということもないと考えられるが果たして如何に。またブルームバーグは、金融大手スタンダードチャータードのレポートをもとに「153円前後の水準まで当局が介入しないこともあり得る」と報じていたようだ。
引き続き日米を中心とした各国政策金利が注目を集めている。そうしたなか市場では明10日に発表される米消費者物価指数が、とくに注視されているようだ。そして、そんな明10日は日米首脳会談のほか韓国総選挙、さらにはNZ中銀とカナダ中銀による政策金利発表など、米消費者物価指数発表以外にも注目材料が目白押しとなっている。予断を許さないものの、明日に注目材料が集中していることもあり、本日はそれらにらみで思惑の交錯した展開に終始する可能性も。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は完全に152円が射程圏内で、あと数ポイントまで迫るもとどかない。とは言え、さすがに怖いもの見たさもあり、そろそろ上値トライをするといった声も聞かれるようになってきた。上抜けにも一応注意をしておきたい。
とは言え、もちろん当局の実弾介入警戒感にも警戒感を要するだけでなく、上抜けた場合でもある種の達成感からドルが急反落するリスクを懸念する声もあるようだ。
本日は米経済指標として、レッドブック週間小売売上高が発表されるものの、市場の関心は低い。基本は明10日の米消費者物価指数発表待ちか。それ以外でも、先で取り上げたように明日に材料が集中しており、動きにくそうな雰囲気だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは151.20-152.20円。ドル高・円安方向は既に指摘した152円をめぐる攻防にまずは注目。抜ければテクニカル的には青天井で、強い抵抗はしばらく見当たらない。
対するドル安・円高方向は、151円半ばが短期的なサポートとして意識され始めているようだ。下回っても基本的には底堅く、先週安値である150.81円ではさすがに下げ止まりそう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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