トルコリラ円見通し ドル安リラ高一服する中、円高に押されて5日早朝から下落(24/4/5)

トルコリラ円の4月4日は概ね4.76円から4.73円の取引レンジ、5日早朝の終値は4.74円で前日終値の4.75円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル安リラ高一服する中、円高に押されて5日早朝から下落(24/4/5)

ドル安リラ高一服する中、円高に押されて5日早朝から下落

〇トルコ円、対ドルでのリラ高一服とドル円の続落により、4/5午前に4.72へ下落
〇本日午前の日銀総裁国会答弁、夜の米雇用統計を受けたドル円騰落を追いかけやすい局面
〇対ドル、4/4は概ね31.99から31.67の取引レンジ、4/5早朝の終値は31.87
〇ドル/トルコリラ、統一地方選後のリラ買いに一服感、インフレや地政学的リスク等が重石に
〇歴史的リラ安がこれで終了したというのは時期尚早と考える
〇外貨準備高が減少継続の場合、格付け会社による信用判断に影響出かねない
〇4.76超えからは4.77、4.78を順次試す上昇を想定
〇4.70割れからは4.68前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の4月4日は概ね4.76円から4.73円の取引レンジ、5日早朝の終値は4.74円で前日終値の4.75円からは0.01円の円高リラ安だった。
3月31日のトルコ統一地方選挙で与党が大敗したことをきっかけにエルドアン政権によるインフレ抑制と民衆支持獲得のための政策を期待したリラ買い反応となり、トルコリラ円は4月1日夜高値4.77円へ急騰し、当初のリラ買い一巡で2日午前に4.69円まで反落したところから再上昇して3日夜には4.76円まで切り返した。しかしその後は伸びず、ドル/トルコリラでのリラ高が落ち着き始め、ドル円が5日早朝に151.70円前後の水準から151.11円へ急落したために5日早朝には安値で4.73円まで反落し、ドル円の続落により5日午前には4.72円へ続落している。

ドル円は4月5日午前に151円を一時割り込んで151円台の持ち合いから下放れつつある。本日は午前に日銀の植田総裁による国会答弁、夜には米雇用統計の発表があり、151円割れを買われて反騰へ進むのか151円割れからの続落で下落継続感が強まるのか試されるところであり、ドル/トルコリラにおけるドル安リラ高がやや落ち着き始めているため、トルコリラ円としてはドル円の騰落を追いかけやすい局面と思われる。

【ドル/トルコリラ 統一地方選後のリラ買いに一服感】

ドル/トルコリラの4月4日は概ね31.99リラから31.67リラの取引レンジ、5日早朝の終値は31.87リラで前日終値の31.95リラから0.08リラのドル安リラ高だった。
3月31日のトルコ統一地方選挙でエルドアン政権の与党AKPが大敗し、最大都市イスタンブールや首都アンカラ等の首長選で野党CHPが圧勝したことをきっかけとしてエルドアン政権がインフレ抑制のため金融・経済政策の正常化を継続するとの期待感からリラ買い反応となった。
4月1日に一時31.36リラまでドル安リラ高となった後はリラの高値更新には至らずにいるものの、4営業日連続で終値ベースでのリラ高を続けた。しかし4月5日午前は32リラ台を付けるなどリラ買いの勢いは徐々に減速している印象がある。

4月3日のトルコ3月CPIで前年比が2月から加速したこと、インフレ抑制のために追加利上げをしても実質マイナス金利状態の解消にはすぐに至らないこと、外貨準備高の減少傾向、イランとイスラエルの軍事緊張が切迫し始めたことでの地政学的リスク等がリラ買いを継続する上での重石となりつつある、3月21日のトルコ中銀5%利上げによるリラ高と地方選での与党敗北によるリラ高でドル/トルコリラはドルから見てダブル天井、リラから見てダブル底型を形成してリラ安にはブレーキがかかっているものの、歴史的リラ安がこれで終了したというのは時期尚早と考える。

【3月のトルコ貿易収支速報では赤字拡大】

4月4日に発表された貿易省による貿易統計速報では、3月貿易収支が75.2億ドルとなり2月の70.0億ドルから拡大した。3月の輸出は225.8億ドルで2月の218.6億ドルから拡大したが、輸入は301億ドルとなり2月の288.7億ドルから拡大して輸出拡大幅を上回ったことで赤字拡大となった。
速報ベースの貿易赤字は昨年10月に5.0億ドルまで縮小したがその後は再び拡大傾向にある。2023年1月に144億ドルの赤字となり過去最大赤字としたところからは変動も大きかったものの徐々に赤字縮小基調がみられたのだが、景気低調とリラ安により改善傾向が一巡している可能性がある。

【外貨準備高は減少】

4月4日にトルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は3月29日時点のグロスで687.5億ドルとなり3月22日時点の706.8億ドルから減少し、ネットでは154.5億ドルとなり3月22日時点の152.1億ドルから若干増加した。
トルコ中銀はエルカン前総裁就任後に外貨準備高を取り崩してリラ防衛のための市場介入を止めて外貨準備高の増加に取り組んできたが、グロスでは2023年6月の565.2億ドルから12月末には975.6億ドルまで大幅増加してから低下傾向に入りエルカン総裁辞任後も減少が続いており3月29日時点でこの間の最低となった。ネットではエルカン前総裁就任時の6月にマイナス57億ドルまで悪化したところから昨年12月末に400.9億ドルまで改善したがその後は低下傾向にある。外貨準備高が取り崩される傾向が続く場合には格付け会社による信用判断にも影響が出かねないと注目したい。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月30日早朝へ続落したところから戻し、統一地方選での与党敗北をきっかけに4月1日夜へ急伸したことにより、4月2日朝時点では3月30日早朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。
4月5日未明にかけて上昇したものの5日早朝の円高で下落しており、ドル安リラ高が落ち着いているため、5日未明高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたと思われる。ボトム形成期は5日午前から8日朝にかけての間とするが、4月3日夜と5日未明の両高値をダブルトップとする場合はボトム形成期が9日午前から11日午前にかけての間へ延びる可能性もある。

60分足の一目均衡表では4月5日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンに潜り込んでいるため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。ただし、連続的な上昇で先行スパンを上抜き返す場合は反騰入りの可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は4月3日夜と5日未明の両高値がダブルトップ型となっており、その間に指数のピークが切り下がって30ポイント台へ低下しているので下落継続中と思われる。強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.70円を下値支持線、4.76円を上値抵抗線とする。
(2)4.73円超えからは上昇再開の可能性ありとし4.76円超えからは4.77円、4.78円を順次試す上昇を想定する。4.77円以上は反落警戒とするが、4.72円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.72円割れからは下向きとし、4.70円割れからは4.68円前後への下落を想定する。4.68円以下は反騰注意とするが、4.72円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月8日
 16:00 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 0.0%)
 16:00 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 1.1%)
4月15日
 16:00 2月 失業率 (1月 9.1%)
 17:00 3月 財政収支 (2月 -1538億リラ)
 20:30 週次 外貨準備高 4月5日時点 グロス (3月29日時点 687.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4月5日時点 ネット (3月29日時点 154.5億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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