ドル円見通し リスク回避的円高で5日早朝に下落、151円台の持ち合い下限を試す(24/4/5)

ドル円は4月3日夜に151.95円まで上昇したものの高値更新には至らず、4日夜にかけては151.70円を挟んだ小動きだったが、5日早朝に151.11円まで急落した。

ドル円見通し リスク回避的円高で5日早朝に下落、151円台の持ち合い下限を試す(24/4/5)

リスク回避的円高で5日早朝に下落、151円台の持ち合い下限を試す

〇ドル円、4/4夜にかけて151.70を挟んだ小動き、本日早朝に151.11まで急落
〇中東情勢緊迫化によるリスク回避で、円高バイアスがかかった印象
〇イランの出方を見守りつつ、本日午前の日銀総裁国会答弁、夜の米雇用統計等による変動に要注意
〇米経済指標は弱め、カシュカリ総裁など地区連銀総裁らの利下げ慎重姿勢目立つ
〇米10年債利回りは続落、ダウは4営業日続落
〇151.00割れから続落する場合は150.70前後への下落を想定
〇151.70超えからは反騰継続とみて152円に迫る上昇を想定

ドル円は3月27日午前に151.96円を付けて2022年10月21日高値151.94円を超えてから市場介入への警戒感で27日夜に151.02円まで下げた後はこの高安レンジ内での持ち合いを続けている。4月3日夜に151.95円まで上昇したものの高値更新には至らず、4日夜にかけては151.70円を挟んだ小動きだったが、5日早朝に151.11円まで急落した。
中東情勢の深刻化でリスク回避優勢となりNYダウが大幅続落する一方で米長期債利回りが低下し、ドル円もリスク回避的な円高バイアスがかかった印象だが、151円割れには至らずにいる。
中東情勢を巡ってはイスラエルがシリアのイラン大使館を空爆してイラン軍高官らが死亡し、イランが報復を宣言、UAEがイスラエルと断交、イスラエルはイランからの報復攻撃を回避するために航空機を移動させるするなど緊張感が高まっている。

第1四半期に大上昇して史上最高値を更新したNYダウが4月に入ってから下落に転じていることもあり、金融市場全般でリスク回避的な動きが強まりつつある印象だが、本日はイランの出方を見守りつつ午前の植田日銀総裁の国会答弁(9:30〜10:10、10:55〜11:40)、夜の米雇用統計等で大きく動く可能性もあると注意したい。

【米経済指標は弱め、地区連銀総裁らの利下げ慎重姿勢目立つ】

4月4日に米商務省が発表した2月貿易赤字はモノとサービスを合わせた全体で前月比1.9%増の689億100万ドルで3か月連続赤字となった。
米労働省による新規失業保険申請件数は3月30日までの週間で前週比9000件増の22万1000件となり市場予想の21万4000件を上回った。2か月振りの多さで労働市場のひっ迫感が緩和してきている印象を与えた。失業保険受給者総数は3月23日までの週間で179万1000人となり前週から1万9000人減少し、市場予想の181万3000人を下回った。

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は4日、自身は3月FOMCでは2024年2回利下げを想定したとし、1、2月のインフレ統計が若干懸念されるものだったとして暫く物価統計を見守る必要があると述べ、インフレ鈍化が停滞し続ければ「利下げ自体が必要かどうか疑問が生じる」と述べた。利下げそのものの是非に言及したことは市場にとってかなりタカ派的な印象をもたらした。
シカゴ連銀のグールズビー総裁は4日、住居費が通常の水準へ減速し始めればインフレ鈍化へより確信が得られるとし、新たな家賃契約の動向を踏まえれば、より速やかな鈍化を予想するとハト派的姿勢を示した。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は4日、利下げまでにはインフレ鈍化をはっきり確認するために時間をかけることが賢明と述べ、判断へ慎重な姿勢を示した。
3月FOMCでは19人中10人が3回利下げ、9人が2回以下の利下げを想定したが、パウエルFRB議長は3回利下げを肯定する姿勢を継続し、4月3日には「大半のFOMCメンバーは今年のある時点での利下げ開始が適切と見込んでいる」とし、利下げを急ぐリスクと躊躇するリスクが均衡している状況で会合毎に判断すると述べている。

【米10年債利回りは続落、ダウは4営業日続落】

4月4日の米長期債利回りは総じて低下した。米国の利下げ開始に対する慎重発言も見られたもののイランとイスラエルの軍事的緊張が高まっていることでリスク回避的な株売り・債券買い=利回り低下反応がみられたようだ。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%低下の4.31%となった。4月1日と2日に急伸して3日は一時4.43%をつけて12月以降の最高としてから反落したが、4日の低下で2日と3日の上昇幅を解消した。
30年債利回りは前日比0.03%低下の4.48%、2年債利回りは0.03%低下の4.65%とそれぞれ低下した。
一方でNYダウは前日比530.16ドル安と大幅下落して4月1日から4営業日続落した。中東情勢の緊迫化を嫌い、年内利下げ開始へのやや楽観的な期待感による大上昇にブレーキがかかり、第1四半期の大上昇が一巡して修正安局面に入ってきた印象を強めている。ナスダック総合指数も228.38ポイント安だった。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は4月3日夜に151.95円を付けて3月27日高値151.96円に迫ってから反落したために4月4日午前時点では目先のピークを付けて下落期に入っているとし、3月29日夜安値を基準として安値形成期を5日夜にかけての間と想定した。5日早朝に急落した後は下げ渋っているものの、今夜の米雇用統計次第では一段安もあり得ると注意し、6日日早朝から8日朝にかけての間まで安値試しが続く可能性があるとみる。強気転換は151.70円超えるところからとし、その際は8日夜から10日夜にかけての間への上昇で152円台到達を試すとみる。

60分足の一目均衡表では、4月5日早朝への急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月3日夜に一段高したところでは1日深夜のピーク時に届かずに40ポイント台へ反落しているため4日午前時点では30ポイント前後への低下を想定したが、5日早朝に30ポイントを割り込んでからも40ポイント以下にとどまっているのでまだ下落余地ありとみる。相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、50ポイント超えからは反騰期入りとみて70ポイント超えを目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、151.00円を下値支持線、151.70円をを上値抵抗線とする。
(2)151.70円を下回るうちは下落継続の可能性を優先する。151円前後は買われやすいとみるが、151.00円割れから続落する場合は150.70円前後への下落を想定し、米雇用統計後に下落する場合は150.00円台(150.25円から150.00円)へ下値目途を引き下げる。
(3)151.70円超えからは反騰継続とみて152円に迫る上昇を想定する。152円手前は戻り売り有利とみるが、152円を超える場合は153円を目指して行く上昇期に入る可能性もあるのではないかと考える。

【当面の予定】

4/5(金)
休場 中国
09:30 (豪) 2月 貿易収支 (1月 110.27億豪ドル、予想 105.00億豪ドル)
14:00 (日) 2月 景気先行指数CI・速報値 (1月 109.5、予想 111.6)
14:00 (日) 2月 景気一致指数CI・速報値 (1月 112.1、予想 110.9)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 -11.3%、予想 0.5%)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前年同月比 (1月 -6.0%、予想 -10.1%)
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前月比 (1月 0.1%、予想 -0.4%)
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 -1.0%、予想 -1.3%)
21:30 (米) 3月 非農業部門就業者数 前月比 (2月 27.5万人、予想 20.0万人)
21:30 (米) 3月 失業率 (2月 3.9%、予想 3.9%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前月比 (2月 0.1%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前年同月比 (2月 4.3%、予想 4.1%)
22:15 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
28:00 (米) 2月 消費者信用残 前月比 (1月 195.0億ドル、予想 150.0億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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