トルコリラ円見通し ドル安リラ高が落ち着きドル円も持ち合い継続で方向感探る(24/4/8)

トルコリラ円の4月5日は概ね4.75円から4.71円の取引レンジ、6日早朝の終値は4.73円で前日終値の4.74円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル安リラ高が落ち着きドル円も持ち合い継続で方向感探る(24/4/8)

ドル安リラ高が落ち着きドル円も持ち合い継続で方向感探る

〇先週のトルコ円、地方選挙与党敗北とドル円上昇を受け、4/1夜に4.77へ急騰
〇4/5午前ドル円の150.80への失速局面で4.71まで反落
〇4/5夜の米雇用統計好調を受けたドル円上昇で4.75まで戻すも、ドル円上昇落ち着くと4.73へ下げる
〇トルコ円は4.76〜4.77の壁、ドル円は152円の壁
〇ドル円が151円台中心の持ち合いを上下いずれへ放れるのか、対ドルでのリラ安再開となるか見定めたい
〇対ドル、4/5は概ね32.06から31.61の取引レンジ、4/6早朝終値は32.04
〇対ドルでトルコリラはダブル底形成に成功できるか、リラ安再開か試される
〇エルドアン政権、民衆の支持回復のためのインフレ抑制、リラ安阻止など政策かじ取り困難に
〇4.73を上回るうちは上昇再開余地ありとし、5日夜高値超えからは4.77前後への上昇を想定
〇4.70割れからは4.67前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の4月5日は概ね4.75円から4.71円の取引レンジ、6日早朝の終値は4.73円で前日終値の4.74円からは0.01円の円高リラ安だった。週間では3月29日終値4.66円から0.07円の円安リラ高だった。
3月31日のトルコ統一地方選挙で与党が大敗したことをきっかけとしたドル安リラ高と、ドル円が前週末の151円台序盤から1日深夜に151.75円へ上昇したことにより、トルコリラ円は4月1日夜高値4.77円へ急騰し、当初のリラ買い一巡で2日午前に4.69円まで反落したところを買われて3日夜と5日未明に4.76円まで戻したものの4月1日夜高値超えへ進めず、ドル円が5日午前に150.80円へ失速した局面で4.71円まで反落した。
4月5日夜の米雇用統計が予想を超える就業者数で失業率も改善したために米長期債利回りが上昇してドル円も151.70円台へ戻したため、トルコリラ円もドル円の上昇局面で4.75円まで戻したが、ドル円の上昇が落ち着くと6日早朝には4.73円へ下げて上げ幅を削った。
4月8日早朝には4.71円を付けて5日午前安値を割り込んだがその後は持ち直しつつある。

【トルコリラ円は4.76〜4.77円の壁、ドル円は152円の壁】

3月21日にトルコ中銀が予想外に5%利上げを決定したところで4.77円をつけ、トルコ統一地方選での与党敗北をきっかけとしたリラ高で4.76円を付けたものの、4.77円から4.76円にかけての水準では戻り売りにつかまり上値抵抗帯を形成している。
ドル円は4月5日午前に151円を割り込んだものの切り返したことで151円台を中心とした持ち合いを継続しているが、持ち合い上放れに入るか下放れから崩れるのかによりクロス円全般及びトルコリラ円の動向も大きく左右される。
ドル円が152円を超えて一段高に入り、ドル安リラ高がまだしばらく続くとすればトルコリラ円は4.77円の上値抵抗線を超えて5円台回復へ向かう可能性も浮上すると思われる。しかし、ドル円が4月5日午前安値を割り込んで持ち合いを下放れする場合は暫く円高が続きトルコリラ円も円高に引きずられて下落する可能性が高まる。その際に対ドルでのリラ安が再開すればトルコリラ円の下落規模も拡大して史上最安値更新へ向かってゆくことも考えられる。
ドル円が持ち合いを上下いずれへ放れるのか、ドル/トルコリラにおける歴史的なリラ安が一服しているもののリラ安を再開するのか、しっかり見定めたいところだ。

【ドル/トルコリラ 統一地方選の与党敗北によるリラ安に一服感】

ドル/トルコリラの4月5日は概ね32.06リラから31.61リラの取引レンジ、6日早朝の終値は32.04リラで前日終値の31.87リラからは0.17リラのドル高リラ安だった。週間では3月29日終値32.35リラから0.31リラのドル安リラ高だった。
3月19日に1ドル32.50リラを付けて取引時間中の史上最安値としたが3月21日にトルコ中銀が予想外に5.0%の追加利上げを決定したことをきっかけとしたリラ買いで3月22日には31.53リラまでドル安リラ高となった。利上げに対する反応が一巡した後はリラ安基調は続くとして3月29日には32.49リラを付けて最安値に迫っていたが、3月31日のトルコ統一地方選で与党AKPが大敗したことで4月1日は31.48リラから31.36リラへドル安リラ高となり、1日終値32.08リラへ戻した後も4月2日、3日、4日と4営業日連続のドル安リラ高で推移した。4月5日は31.61リラへ高値を切り上げたものの当面のリラ買い一巡として32リラ台へ押し返された。

【対ドルでトルコリラはダブル底形成に成功できるか、リラ安再開か試される】

ドル/トルコルラは4月1日の高安レンジ内での推移が続いており、トルコ中銀の利上げをサプライズとした上昇時の32.53リラも含めて31.0リラ台中盤ではリラ買いも薄まっている印象だが、3月19日の史上最安値32.50リラと3月29日安値32.49リラはドルから見ればダブル天井であり、リラから見ればダブル底の様相となっている。
昨年9月から加速してきたリラの歴史的な下落基調にはブレーキがかかった印象だが、これでリラ安が収束したというのは時期尚早であり、1ドル30.0リラ台へリラが高値を切り上げればリラから見てダブル底形成による上昇期入りとなる可能性が高まるものの、32リラ台での推移で徐々にドル高リラ安がぶり返して史上最安値に迫るようだと、リラからみればダブル底破れによる一段安に入り歴史的な暴落基調がさらに進んで行く展開となりかねない。

野党勝利によりエルドアン政権は民衆の支持を回復するために高インフレとリラ安及び低成長から脱却する必要があるが、インフレ抑制のために政策金利を現行の50%から60%まで引き上げれば高金利による景気への打撃感も強まりかねず、リラ安阻止のための非公式な市場介入再開が外貨準備高を減らせば大手格付け機関や外資の評価を下げることにもなりかねないため、政策のかじ取りは難しいものとなってゆく。
トルコ中銀が毎月実施しているエコノミストや企業トップに対する3月調査では年末のインフレ率が44.19%へ低下、2024年末の為替レート予想は1ドル40.5344リラ、政策金利は3か月後の46.85%から12か月後の36.96%へ低下するというものだった。次回調査は4月19日に発表される。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月30日早朝安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしてきたが、4月5日未明高値からの反落により5日午前時点では5日未明高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたとし、ボトム形成期を5日午前から8日朝にかけての間とした。
4月5日午前安値から5日夜へ戻してから8日朝に5日午前安値を一時的に割り込んでいるため、5日夜高値を超えないうちは5日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして5日午前安値を基準に10日午前から12日午前にかけての間への下落を想定する。ただし、5日夜高値を上抜く場合は8日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして9日深夜から12日未明にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では4月8日朝に安値を切り下げてから戻しているため、5日夜高値を上抜く場合は反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、5日夜高値を超えずに8日朝安値を割り込む場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月5日午前に30ポイントを割り込んでから60ポイント手前へ戻し、その後も40ポイント以上を維持しているので次に60ポイントを超えるところからは上昇継続とみて70ポイント前後への上昇を想定するが、次に40ポイントを割り込む場合は下落継続とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.70円を下値支持線、4月5日夜高値4.75円を上値抵抗線とする。
(2)4.73円を上回るうちは上昇再開余地ありとし、5日夜高値超えからは4.77円前後への上昇を想定する。4.77円以上は反落警戒とするが、4.74円を上回っての推移なら9日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.72円以下を下向きとし、4.70円割れからは4.67円前後への下落を想定する。4.67円以下は反騰注意とするが、4.72円を下回っての推移なら9日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月8日
 16:00 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 0.0%)
 16:00 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 1.1%)
4月10日 休場(断食明け大祭)
4月11日 休場(断食明け大祭)
 20:30 週次 外貨準備高 4月5日時点 グロス (3月29日時点 687.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4月5日時点 ネット (3月29日時点 154.5億ドル)
4月12日 休場(断食明け大祭)
4月15日
 16:00 2月 失業率 (1月 9.1%)
 17:00 3月 財政収支 (2月 -1538億リラ)
4月16日
 16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 2.6%)
 16:00 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 13.3%)
4月17日
 16:00 2月 経常収支 (1月 -25.56億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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