ドル高基調継続、ただ米指標次第で乱高下も
〇先週のドル円、介入警戒感を背景に上値重い状況続くが、早期の米利下げ観測の後退によりドルが小高い
〇週末の米雇用統計NFPが大幅改善、週末NYのドル買戻しに大いに寄与
〇先週一時的に151円台での推移を下放れたことで、150.80-152.00にレンジ広げる
〇小動き続き、レンジ放れのエネルギー蓄積。保ち合い放れに要注意
〇今週、3月消費者物価や4月ミシガン大学消費者信頼感指数などの重要な米経済指標が発表予定
〇ドル高円安方向、152円レベルの攻防に注目。しっかり超えるとテクニカル的には青天井
〇ドル安円高方向、先週安値150.81が最初のサポート。下回っても底堅そうで150円割れ予想しにくい
〇今週のドル円予想レンジ:150.00-153.00
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが小高い。年初来高値151.97円を更新することは出来なかったが、「早期の米利下げ後退」観測などによりドル買いは根強い。
前週末に発表された2つの中国経済指標、3月製造業PMIなどはともに予想を上回る好数字に。一方、3月31日に実施されたトルコ統一地方選は即日開票されたが、最大都市イスタンブールと首都アンカラの両市長選で、ともに野党候補から勝利宣言が聞かれていた。
そうした状況下、ドル/円は151.30-35円で寄り付いたものの、基本的には動意薄。151円台での値動きをたどるなか、年初来高値151.97円にほぼ面合わせする局面も観測されていた。しかし、円買い介入警戒感などもあり152円にはとどかず失速すると、逆に下値追いとなり一時は3月21日以来の151円割れも。ただ、大きく崩れるには至らないなか、週末には再びドルが買い戻されると151.60-65円の高値圏で越週している。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「円安けん制発言など」について。
前者は、発表される米経済指標において好悪が混在したことで、連日のように相場の波乱要因に。とくに1日に発表された製造業PMIに続き、3日発表されたISM非製造業指数も予想外の低下で、ドル売りに寄与していた。しかし、伝えられる米通貨当局者の発言は総じて強気。たとえば、ミネアポリス連銀総裁からは「インフレ率が横ばいで推移し続けるなら、利下げを行う必要があるのか疑問」、パウエルFRB議長による「利下げ検討に時間がかけられる」とのコメントも聞かれていたようだ。また、週内でもっとも注視されていた経済指標の米雇用統計が週末発表されたが、このうち非農業部門雇用者数が大幅に改善したこともあり、週末NYのドル買戻しに大いに寄与していたことは間違いない。
それに対して後者は、週末5日に朝日新聞が植田日銀総裁のインタビューとして「2%の物価目標達成確度が高まれば追加利上げ検討」と報道。またIMF報道官からも「日銀の追加利上げは経済指標次第とするべき」との発言が聞かれ、市場の調整的な動きを促進させていた。前述したように、ドル/円が一時151円割れを示現した一因に。一方、それとは別にドル/円が週間を通しておおむね151円以上で推移したこともあり、本邦要人からの口先介入も相次いだ。鈴木財務相が「行き過ぎた動きに対してあらゆる手段排除せず適切に対応」などと述べていたほか、週末には岸田首相から「為替の過度な動きに対しては適切に対応」−−とのコメントが発せられていたようだ。
<< 今週の見通し >>
ドル/円相場は、先週一時151円割れを示現した際には、基調転換とは言わないまでもドル上値機運は一旦仕切り直しになるかもと考えていた。しかし米雇用統計の好数字もあり、驚異の粘り腰から週末NYクローズは151.60円台まで持ち直している。もちろん、今週も当局の介入警戒感などを背景としてドル上値が重い状況に変化はないものの、基本的なリスクは依然としてドル高方向にバイアスがかかりそう。怖いもの見たさなどもあり、岩盤のように固い152円トライがいよいよあっても不思議はない気がしている。
日米金融政策が引き続き注目されるなか、日本については「日銀が追加利上げに消極的」といった見方が依然として優勢か。先で取り上げた植田発言も、よくよく考えればごく当たり前のことを言ったに過ぎず、積極的な利上げを示すものではないだろう。対して米国は早期利下げに否定的な見解を示す向きが少なくないものの、先週発表された米指標が好悪マチマチだったこともあり、若干の気迷いもうかがえる。今週も引き続き重要とされる米指標が発表されることから、それらの内容如何では一喜一憂。乱高下する展開などには注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場はここ最近推移していた151円台での推移を先週一時的に下放れるも、結果として失敗に終わる。問題は単に形成レンジを広げただけ、つまり150.80-152.00円といった値動きをしばらくたどるのか、それとも再びドル高が進行し152円を超えていくのか、果たしてどちらの様相を呈するのかに注目だ。前者であるレンジ継続ももちろん否定できないが、小動き続きでレンジ放れのエネルギーは相当蓄積されているだけに、保ち合い放れについても十分な注意が必要という気がしている。
そうしたなか今週は、先週に続き3月の消費者物価や4月ミシガン大学消費者信頼感指数といった非常に重要な米経済指標が発表される予定だ。また、3月に開催されたFOMCの議事要旨も公開予定で、こちらにも注意を払いたい。そのほか予定されている日米首脳会談や、米金融機関などの決算発表も一応要注意。
そんな今週のドル/円予想レンジは、150.00-153.00円。ドル高・円安については、先週も超えられなかった152円レベルの攻防に引き続き注目だ。しっかり超えるとテクニカル的には青天井だが、当局の実弾介入を頭に置いておいて損はないだろう。
対してドル安・円高方向は、まず先週安値に当たる150.81円が最初のサポート。下回っても基本的には底堅そうなイメージだ。よほどのことがない限り150円割れは予想しにくい。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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