利上げによるリラ買い一巡、ドル円のジリ高を支えに4.70円中心の揉み合い
〇トルコリラ円、3/25午前安値4.69以降は安値更新を回避、4.70挟んだ揉み合いで推移
〇対ドル、3/26は概ね32.21から31.96の取引レンジ。3/26終値32.17で2日連続のドル高リラ安
〇利上げに対するリラ買い一巡でリラ安再開。円安による押し上げが薄れ上値重い
〇今週末の米PCEの結果、ドル全面高でドル円が持ち合い上放れならトルコ円への大きな押し上げ要因に
〇3/28の外貨準備高、3/29の貿易収支、4/3の3月CPI等の指標を注視
〇4.70上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地あり、4.73超えからは4.75試し
〇4.69割れからは下落期入りとみて4.65前後への下落を想定。4.65以下は反騰注意
【概況】
トルコリラ円の3月26日は概ね4.71円から4.69円の取引レンジ、27日早朝の終値は4.71円で前日終値と変わらなかった。
3月19日の日銀会合後にドル円が急伸したこと、21日未明のFOMC後にドル円がいったん150.26円まで反落してから22日午前に151.86円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の高値を更新したこと、21日夜にトルコ中銀が予想外の5%利上げを決定したことによるドル安リラ高等を反映してトルコリラ円は3月13日安値4.51円からの上昇を継続して21日夜に4.77円まで高値を切り上げた。
ドル円が市場介入警戒感で上値が抑えられて151円台での持ち合いに入り、トルコ中銀利上げに対するリラ買いが一巡してリラ安が再開し始めたため、トルコリラ円は円安による押し上げが薄れて上値が重くなっているが、25日午前に4.69円まで下げた後は安値更新を回避して4.70円を挟んだ揉み合いで推移している。ドル円が151円割れを回避して持ち合い範囲ながらややジリ高で推移していることが下支えとなっているようだ。
【ドル/トルコリラ、中銀利上げによるリラ買い一巡、リラ安再開気配】
ドル/トルコリラの3月26日は概ね32.21リラから31.96リラの取引レンジ、27日早朝の終値は32.17リラで前日終値の32.11リラからは0.06リラのドル高リラ安だった。
3月21日にトルコ中銀が予想外に5.0%追加利上げを決定したことをサプライズとして3月21日は当日安値32.46リラから31.57リラへドル安リラ高となり、22日にも31.53リラを付けたものの、31.50リラ台ではドル買いリラ売りが繰り返されたことで中銀ショックによるリラ買いに一巡感がみられ、終値ベースでは22日終値32.01リラから25日終値32.11リラ、26日終値32.17リラと2日連続でドル高リラ安となった。3月27日午前も32.23リラを付けてドル高リラ安が継続している。
昨年8月24日の7.5%利上げによるドル安リラ高局面と比較すれば今回のリラ高は小幅であり、歴史的なリラ安基調に対して小休止が入った程度の印象だ。3月19日の史上最安値32.50リラを超えないうちはリラ買い再開ヘ進むチャンスもあると思われるが、そのためには新たなリラ買い材料ないし政策が欲しいところであり、現状のままインフレ進行となれば史上最安値更新へ進むのではないかと危惧される。
【ドル円の持ち合い放れ、ドル高リラ安再開の勢いを見極める】
トルコリラ円にとってはドル/トルコリラが中銀利上げによるリラ買い一巡により史上最安値更新へ進むのかどうか、151円台での持ち合いを続けているドル円が持ち合いから上下いずれへ抜けるのかを見極めて次の方向を探る局面と思われる。
ドル円は2022年10月21日高値151.94円と2023年11月13日高値151.90円により152円手前に抵抗感があり、2022年10月21日高値からの下落が大規模な政府・日銀による市場介入をきっかけとしたものだったことを踏まえて152円突破にはかなり慎重となっている。しかし日銀のマイナス金利・YCCの解除でも金融緩和状態は続き円安基調もさらに継続するのではないかとの見方も根強いために持ち合い状態にとどまっているともいえる。今週末の米PCE統計次第ではドル全面高により持ち合い上放れへ進む場合にはトルコリラ円への大きな押し上げ要因となるが、PCEデフレーターが顕著に鈍化してドル全面安となる場合はドル円が持ち合い下放れに入りトルコリラ円も下落再開感を強めかねない。
ドル/トルコリラは中銀利上げショックを消化して再びリラ安で推移し始めているが、3月28日の外貨準備高、3月29日の貿易収支、4月3日の3月CPI等と続く中で史上最安値を更新する場合はトルコリラ円も再び史上最安値更新を目指して行く流れへ進みやすくなると思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、トルコ中銀利上げとドル円の反騰により21日夜へ一段高したため、22日午前時点では21日午前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、その後は4.70円前後で下支えられているものの戻り高値が切り下がってきたため21日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして26日の日中から28日午前にかけての間への下落を想定した。
26日夜から27日午前序盤にかけても4.70円前後で支えられているものの上値の重い展開のためまだ一段安余地ありとするが、4.73円超えからは右肩下がりの展開から上抜けるので強気サイクル入りとして27日の日中から28日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では4.70円前後で下げ渋っているものの先行スパンから転落しているため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、連続的な上昇で先行スパンを上抜くところからは上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は40ポイント前後を買われて60ポイント台に届かない範囲で推移しており方向感に欠けるため、60ポイント超えからは上昇期入りとして70ポイント前後への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落継続とみて30ポイント以下への低下へ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.69円を下値支持線、4.73円を上値抵抗線とする。
(2)4.70円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、4.73円超えからは4.75円試しとする。4.75円前後は反落注意とするが、4.72円を上回っての推移なら28日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.69円割れからは下落期入りとみて4.65円前後への下落を想定する。4.65円以下は反騰注意とするが、4.69円を割り込んだ後も4.70円を下回っての推移なら28日も安値試しへ進みやすいとみる。
【当面の主な予定】
3月28日
16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 99)
20:30 週次 外貨準備高 3月22日時点 グロス (3月15日時点 748.9億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 3月22日時点 ネット (3月15日時点 196.2億ドル)
3月29日
16:00 2月 貿易収支 (1月 -62.3億ドル)
4月1日
16:00 3月 イスタンブール製造業PMI (2月 50.2)
4月3日
16:00 3月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (2月 4.53%)
16:00 3月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (2月 67.07%)
16:00 3月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (2月 3.74%)
16:00 3月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (2月 47.29%)
注:ポイント要約は編集部
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