ドル円見通し 円安けん制発言続くも151円台維持でややジリ高の推移(24/3/27)

ドル円は、26日未明高値151.54円から夕刻安値151.18円まで下げたところを買われて27日未明には151.60円を付けている。

ドル円見通し 円安けん制発言続くも151円台維持でややジリ高の推移(24/3/27)

円安けん制発言続くも151円台維持でややジリ高の推移

〇ドル円、ややジリ高で推移、3/27未明には151.60つける
〇市場介入の警戒感で152円手前の上値抵抗感払拭しきれずも、円安加速する可能性へ期待感
〇3/26夜の米経済指標はまちまち。耐久財受注は予想上回り、消費者信頼感は予想下回る
〇米長期債利回り、総じて低下。NYダウ・ナスダックともに続落。グッドフライデー控え利食い優勢か
〇151.18以上での推移中は上昇余地あり、151.86超えからは152円突破へ挑戦するとみる
〇152円へ迫ってから市場介入ないし警戒感で151.50割り込む場合は下落再開とする
〇151.18割れからは151円試し、151円割れからは3/21午前安値150.26を試しに向かうとみる

【概況】

ドル円は3月19日の日銀金融政策決定会合後の円安により3月20日夜高値151.79円へ上昇し、21日未明の米FOMC直後のドル安により21日午前安値150.26円まで反落したが、FOMC直後のドル安が一巡してドル高がぶり返したことと円安継続感で22日午前には151.86円を付けて20日夜高値を上抜き昨年12月28日安値140.24円以降の最高値を更新した。
3月25日には神田財務官が市場介入をちらつかせ、26日も鈴木財務相が「行き過ぎた動きに対してあらゆる手段を排除せずに適切に対応を取る」と述べて円安をけん制したが、ドル円は3月22日夜安値151.00円からややジリ高で推移しており、26日未明高値151.54円から夕刻安値151.18円まで下げたところを買われて27日未明には151.60円を付けている。

【市場介入への警戒感と円安継続感の交錯で持ち合い】

3月26日に 鈴木財務相は「円安にはプラスとマイナスの両面があるが過度な変動は経済の不確実性を高め望ましくない」とし、日銀会合後の円安については「いろいろな見方があるの耳に入っているが、マーケットトークもある」としてコメントしなかったが、政府としては「高い緊張感を持って注視し過度な変動にはあらゆる手段を排除せず適切に対応する」と述べた。
3月25日には財務省の神田財務官が「経済のファンダメンタルズに沿っておらず明らかに投機的」とし、市場介入については「常に準備はできている」と強い姿勢を示した。

2022年10月21日高値151.94円からの下落は政府・日銀の大規模市場介入をきっかけとしたものであり、2023年11月13日高値151.90円も介入警戒による反落から始まったため、市場は152円手前の上値抵抗感を払拭しきれずにいるが、3月21日にFOMC後のドル安局面で下落したところから切り返し、その後も151円台を維持している状況は売り買いが拮抗しつつも一段高=円安が加速する可能性への期待感を背景としているためと思われる。152円に迫ったところで大規模な実弾介入がなければ市場は152円突破からさらに円売りを加速させてゆく展開となりえるところと注目したい。

【米耐久財受注は予想上回り、消費者信頼感は予想を下回る】

3月26日夜の米経済指標はまちまちだった。
米商務省による2月耐久財受注は前月比1.4%増となり1月の6.9%減から改善して市場予想の1.1%増も上回った。設備投資の先行指標である航空機を除く非国防資本財受注は0.7%増で市場予想の0.1%増を大幅に上回った。
米コンファレンス・ボードによる3月の消費者景気信頼感指数は104.7となり2月の104.8から若干低下して市場予想の107.0への改善期待を裏切った。現況指数は2月の147.6から151.0へ上昇、期待指数は76.3から73.8へ低下した。向こう半年間の景気見通しは「改善する」が14.3%(2月は14.0%)、「悪化する」は17.6%(2月は16.9%)だった。

米連邦住宅金融局(FHFA)による1月住宅価格指数は前年同月比6.3%上昇となり12月の6.7%上昇から鈍化したが、鈍化は昨年5月以来だった。前月比は0.1%低下で12月の0.1%上昇から鈍化したが、鈍化したのは1年5か月振りだった。
米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズによる1月ケース・シラー全米住宅価格指数は前年同月比6.0%上昇となり12月の5.6%を上回り7か月連続で過去最高を更新した。米20都市価格指数は6.6%上昇で12月の6.2%を上回り市場予想と一致した。

【米長期債利回りは総じて低下、ダウは続落】

3月26日の米長期債利回りは総じて低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%低下の4.23%となった。3月19日から22日まで4営業日連続低下となり、3月18日に付けた直近のピークである4.35%から3月22日には4.20%まで下げたが、25日は前日比0.05%上昇と反発、26日は米耐久財受注が強かったことで一時4.28%へ上昇したものの米消費者信頼感指数の低下や5年債入札が堅調だったことでマイナス圏まで下げた。
30年債利回りは前日比0.02%低下の4.40%、2年債利回りは前日比0.03%低下の4.60%だった。
一方でNYダウは前日比31.31ドル安と下落して3月22日から3営業日続落となった。3月21日に史上最高値を更新したところから修正安に入っている印象だ。ナスダック総合指数も68.77ポイント安で25日から続落した。週末のグッドフライデーを控えて利食い優勢の動きと思われる。米国株高が再開すれば日経平均の連動高でドル円も上昇しやすくなるが、逆に米国株安から日経平均が連動安になる場合は円高要因となる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は3月22日に151.86円を付けた後は151円割れを回避しつつややジリ高の推移だが高値更新には至らずにいる。3月26日夕安値151.18円からの上昇で26日未明高値を超えてきているため、目先は3月22日高値超えを試すところとみて27日の日中から29日午前にかけての間への上昇を想定するが、26日夕安値を割り込む場合は151円台の持ち合いから転落しやすくなると注意し、151円割れからはいったん仕切り直しの下落期に入るとみて29日から4月2日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、3月22日夜に151.00円を付けた後はややジリ高で推移して先行スパンからの転落を回避しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は3月27日未明への上昇で60ポイント台に到達してその後も50ポイント以上を維持しているので70ポイントに迫る上昇余地ありとみるが、50ポイント割れからは下落再開とみて30ポイント台後半への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月26日夕安値151.18円を下値支持線、3月22日午前高値151.86円を上値抵抗線とする。
(2)151.18円以上での推移中は上昇余地ありとし、151.86円超えからは152円突破へ挑戦するとみる。152円へ迫ってから市場介入ないし警戒感で151.50円を割り込む場合は下落再開とするが、152円を超える場合は152円台前半への上昇を想定し、151.50円を上回っての推移なら28日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)151.18円割れからは151円試しとし、151円割れからは3月21日午前安値150.26円を試しに向かうとみる。150.35円以下は反騰注意とするが151円以下での推移なら28日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の予定】

3/27(水)
10:00 (日) 田村日銀審議委員、青森で講演、14:00から記者会見
19:00 (欧) 3月 消費者信頼感・確定値 (速報 -14.9、予想 -14.9)
19:00 (欧) 3月 経済信頼感 (2月 95.4、予想 96.2)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:30 (米) 2年物変動利付債(FRN)入札
26:00 (米) 7年債入札

3/28(木)
休場、ノルウェー、メキシコ、米国債券市場は短縮取引
07:00 (米) ウォラーFRB理事、経済見通しについて講演

08:50 (日) 日銀金融政策決定会合・主な意見(3月18-19日分)
09:00 (NZ) 3月 ANZ企業信頼感 (2月 34.7)
09:30 (豪) 2月 小売売上高 前月比 (1月 1.1%、予想 0.4%)
16:00 (英) 10-12月期 GDP・改定値 前期比 (速報 -0.3%、予想 -0.3%)
16:00 (英) 10-12月期 GDP・改定値 前年同期比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
16:00 (英) 10-12月期 経常収支 (7‐9月 -172億ポンド、予想 -214億ドル)
16:00 (独) 2月 小売売上高 前月比 (1月 -0.4%、予想 0.4%)
16:00 (独) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 -1.6%、予想 -0.8%)
17:55 (独) 3月 失業者数 前月比 (2月 1.10万人、予想 1.00万人)
17:55 (独) 3月 失業率 (2月 5.9%、予想 5.9%)

21:30 (米) 10-12月期 GDP・確定値 前期比年率 (改定値 3.2%、予想 3.2%)
21:30 (米) 10-12月期 GDP個人消費・確定値 前期比年率 (改定値 3.0%、予想 3.0%)
21:30 (米) 10-12月期 コアPCE・確定値 前期比年率 (改定値 2.1%、予想 2.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件、予想 21.2万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 180.7万人、予想 181.6万人)
22:45 (米) 3月 シカゴ購買部協会景況指数 (2月 44.0、予想 46.0)
23:00 (米) 3月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 76.5、予想 76.5)
23:00 (米) 2月 NAR住宅販売保留指数 前月比 (1月 -4.9%、予想 1.5%)
23:00 (米) 2月 NAR住宅販売保留指数 前年同月比 (1月 -6.8%)



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