トルコリラ円見通し 利上げによるリラ高続かずドル円の上昇も頭打ちで上値の重い展開
〇トルコ円、3/25は概ね4.74から4.68の取引レンジ、ドル高リラ安ぶり返しがみられ右肩下がりの展開
〇対ドル、3/25は31.67を付けるも終値は32リラ台へ戻し、3/26午前32.10台後半で推移、リラ続落気配
〇歴史的なリラ安基調、後手の利上げでは変わらず
〇4.70を上回るうちは上昇余地ありとし、4.74超えからは4.77試しとする
〇4.69割れからは下落期入りとみて、4.65前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の3月25日は概ね4.74円から4.68円の取引レンジ、26日早朝の終値は4.71円で先週末終値4.73円からは0.02円の円高リラ安だった。
ドル円は3月11日からの反騰を続けて3月19日の日銀会合後の円安反応で20日夜に151.79円へ上昇し、米FOMC直後のドル安によりいったん150.26円まで下げたもののドル高が早々にぶり返したことで22日午前には151.86円まで高値を伸ばしたが、その後は152円手前での市場介入警戒感から頭打ちとなり、25日は151円台前半中心の揉み合いとなった。
トルコリラ円はドル円の反騰を見ながら3月13日安値4.51円から上昇に転じ、20日夜から21日午前にかけてドル円が下落した場面で4.62円まで下げたところを買われ、21日夜のトルコ中銀利上げによるドル安リラ高を見て21日には4.77円まで高値を切り上げた。しかし中銀利上げをサプライズとしたリラ買いは限定的なものに留まり26日午前序盤にかけてはドル高リラ安のぶり返しがみられ、ドル円の上昇も頭打ちとなったことで21日夜高値以降は戻り高値を徐々に切り下げる右肩下がりの展開となっている。
トルコリラ円は4.70円前後での下支えが見られるもののドル円が152円手前の壁を超えて一段高へ進めないうちはドル高リラ安のぶり返しによる圧迫感が勝ること、ドル円が151円割れから下落に転じる場合は円高とリラ安の両面から圧される可能性があることに注意し、4.70円割れから続落する場合は3月13日以降の上昇一巡による下落期入りを警戒する。
【ドル/トルコリラ、予想外の中銀利上げによるリラ買いは限定的で32リラ台序盤】
ドル/トルコリラの3月25日は概ね32.27リラから31.67リラの取引レンジ、26日早朝の終値は32.11リラで先週末終値の32.01リラからは0.10リラのドル高リラ安だった。
3月21日にトルコ中銀が予想外の5.0%追加利上げを決定したことをサプライズとして3月21日は当日安値32.46リラから31.57リラへドル安リラ高となったものの22日早朝の終値は32.03リラへ持ち直し、22日も午前に31.53リラまで再びドル安リラ高となったものの終値を32.01リラとして31.50リラ台でのリラ売りドル買い圧力が大きいことが示された。
週明けの3月25日も一時31.67リラを付けたものの終値としては32リラ台へ戻し4営業日ぶりにドル高リラ安に終わり、26日午前は32.10リラ台後半で推移してリラの続落気配となっている。
昨年8月24日にトルコ中銀が7.5%の超大幅利上げを決定したことによるサプライズで当日に27.27リラから25.02リラへ2.25リラのドル安リラ高となったものの市場の反応は当日で終了して翌日からドル高リラ安が再開して9月から史上最安値を更新してゆく歴史的なリラ安期に入ったが、今回のサプライズ利上げに対する反応もすでに一巡している印象だ。
【歴史的なリラ安基調は後手の利上げでは変わらず】
トルコリラの歴史的な下落背景は(1)高インフレに利上げが追い付かずに実質大幅マイナス金利状態の解消目途が立たず、まだインフレのピークが見えないこと、(2)2021年末に導入されたリラ建て預金の為替差損補填口座の縮小誘導で外貨預金への流出がみられること、(3)高金利と増税による景気への悪影響が解消されていないこと、(4)貿易収支や経常収支の構造的な赤字体質から脱却できていないことと中央政府債務が鰻登りとなっていること、(5)トルコ中銀のエルカン前総裁時代の外貨準備高増強が続かずに減少傾向に陥り始めていること、(6)中東情勢の悪化、ウクライナ・ロシア戦争情勢の悪化による地政学的リスクの増大等である。
大手格付け会社は外貨準備高増加と昨年6月以降の金融政策正常化を評価して格付け判断を引き上げてきたものの、高インフレ・高金利・リラ安が収まらないことにはより積極的な外資による投資呼び込みに至らず、景気低迷の兆しを見せ始める場合は格付け機関の評価も再び下がりかねないと思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、トルコ中銀利上げとドル円の反騰により21日夜へ一段高したため、22日午前時点では21日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして25日夜から27日夜にかけての間への上昇を想定した。
3月21日深夜へ高値を伸ばした後は上げ渋りとなり4.70円前後で下支えられているものの戻り高値が切り下がってきているので、21日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして26日の日中から28日午前にかけての間への下落を想定するが、連続的な上昇で21日深夜高値を超えるところからは新たな強気サイクル入りとして26日夜から28日深夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では3月21日夜高値からの反落により先行スパンから転落しつつあるため、連続的な上昇で先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開から一段高へ進む可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落後に続落し始める場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は40ポイント台へ低下した後は下げ渋っているため、55ポイント超えからは上昇再開とみて60ポイント台中盤への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.69円を下値支持線、4.74円を上値抵抗線とする。
(2)4.70円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、4.74円超えからは4.77円試しとする。4.77円前後は反落注意とするが、4.72円を上回っての推移なら27日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.69円割れからは下落期入りとみて4.65円前後への下落を想定する。4.65円以下は反騰注意とするが、4.69円を下回っての推移なら27日も安値試しへ進みやすいとみる。
【当面の主な予定】
3月28日
16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 99)
20:30 週次 外貨準備高 3月22日時点 グロス (3月15日時点 748.9億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 3月22日時点 ネット (3月15日時点 196.2億ドル)
3月29日
16:00 2月 貿易収支 (1月 -62.3億ドル)
4月1日
16:00 3月 イスタンブール製造業PMI (2月 50.2)
4月3日
16:00 3月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (2月 4.53%)
16:00 3月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (2月 67.07%)
16:00 3月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (2月 3.74%)
16:00 3月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (2月 47.29%)
注:ポイント要約は編集部
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