トルコリラ円見通し トルコ中銀の利上げと円安で戻すが4.70円台後半に抵抗感(24/3/25)

トルコリラ円の3月22日は概ね4.75円から4.70円の取引レンジ、23日早朝の終値は4.73円で前日と同じだった。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の利上げと円安で戻すが4.70円台後半に抵抗感(24/3/25)

トルコ中銀の利上げと円安で戻すが4.70円台後半に抵抗感

〇トルコ円、3/22は前日からのドル安リラ高の勢い鈍化で4.70まで下落後、4.74手前で小動き
〇対ドル、3/22は概ね32.24から31.53の取引レンジ
〇トルコ中銀利上げ決定(3/21)をサプライズにリラ安一服
〇5%利上げ、歴史的リラ安止めるにはインパクト不足、4/3トルコCPIが予想上回ればリラ売り再開か
〇ドル円が152円手前の壁を超えて一段高へ進めるか試される
〇4.77を超える場合は4.80を目指す上昇を想定
〇4.68割れからは4.65前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の3月22日は概ね4.75円から4.70円の取引レンジ、23日早朝の終値は4.73円で前日と同じだった。
3月21日にトルコ中銀が予想外の追加利上げに踏み切ったことをサプライズとしたドル安リラ高に加え、3月21日未明の米FOMCを通過した後のドル安が一巡して21日午前からドル円が反騰したことにより、トルコリラ円は3月21日を前日比0.03円の円安リラ高として高値では4.77円を付けた。
3月22日はドル円が午前高値151.86円で昨年12月28日以降の高値を更新してから夜安値151.00円まで反落したことで円安が頭打ちとなったものの151円台を維持して確りし、ドル/トルコリラは前日からのドル安リラ高を続けたものの勢いが鈍ったため、トルコリラ円は夕刻に4.70円まで下げた後は下げ渋ったものの4.74円手前での小動きに留まった。
週間では3月15日終値4.64円から0.09円の円安リラ高となったが、4.80円には届かず、21日と22日の日足は上ヒゲが目立った。

【ドル/トルコリラは中銀利上げでリラ安一服】

ドル/トルコリラの3月22日は概ね32.24リラから31.53リラの取引レンジ、23日早朝の終値は32.01リラで前日終値の32.03リラからは0.02リラのドル安リラ高だった。
3月21日にトルコ中銀が現状維持予想に反して5.0%利上げを決定したことをサプライズとして3月21日当日安値32.46リラから31.57リラへドル安リラ高となったが、22日も午前に一時マイナス圏までリラが反落したものの勢いが続かずに午後には31.53リラを付けて21日から安値を切り下げ、終盤も32リラを挟んだ揉み合いで前日からの連騰とした。
週間では3月15日終値32.11リラから0.10リラのドル安リラ高となり、週足としては1月26日の週から9週連続で取引時間中の史上最安値を更新したが、12月15日の週から続いてきたドル高リラ安が14週で途切れて15週ぶりのドル安リラ高となった。

昨年8月24日にトルコ中銀が7.5%の超大幅利上げを決定したことをサプライズとして当日は27.27リラから25.02リラへ2.25リラのドル安リラ高となったが、市場の反応は当日で終了し、翌日からはドル高リラ安が再開して9月には史上最安値を更新し、歴史的なリラ安が進行した経緯がある。
今回は2日連続でドル安リラ高となったものの値幅としては3月21日の32.46リラから22日の31.52リラまで0.94リラのドル安リラ高に過ぎず、両日ともの31.50リラ台では売られている。歴史的なリラ安をストップさせるにはインパクトが不足しており、4月3日の3月トルコCPIが予想を上回る場合には追加利上げ催促的なリラ売りが再び優勢となりかねないと考える。

【ドル円が152円手前の壁を超えて一段高へ進めるか試される】

ドル円は3月22日高値で151.86円を付けて2023年11月13日高値151.90円及び2022年10月21日高値151.94円に迫った。2022年10月21日高値からは政府日銀による大規模市場介入で下落に転じ、2023年11月13日高値も市場介入への警戒感で上昇が頭打ちとなった。再び152円手前の市場介入警戒水準に達しているため、152円台へ乗せて一段高へ進めるのかどうか当局の市場介入への姿勢を試すこととなる。
ドル円が152円手前の壁を超えて一段高へ進めば円安への歯止めが効かなくなり、日米株高が続けばリスクオン優勢で円安が加速し、クロス円全般の上昇に乗ってトルコリラ円も4.80円手前の抵抗感を払拭して5円台を目指して行く可能性が開けると思われる。しかし、昨年11月と同様に壁を超えることに失敗すれば昨年12月28日からの上昇一巡により揺れ返しの円高へと進みかねないところでもある。

ドル円が下落に転じ、利上げサプライズによるドル安リラ高が終了して歴史的なリラ安再開ヘ進むなら、トルコリラ円としては円高とリラ安が重なることで下落再開となり史上最安値更新へ向かうことも懸念される。
トルコリラ円は3月13日安値4.52円から戻しているが、1月3日安値4.74円を割り込んで史上最安値を更新したことによる中期的な下落基調を払拭したとまでは言えない。2022年12月のリラ暴落以降、主要な安値は5か月から6か月周期で到来しており、1月3日安値を割り込んだことで6月にかけて下落基調が続きやすい状況にあると思われる。中期的な強気転換のためには2月13日高値4.99円を超える必要があり、4.80円手前までにとどまるうちは戻り一巡後の下落期入り注意とし、4.63円割れからは下落再開とみて史上最安値更新へ進む可能性が高まるのではないかと注意する。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月20日夜高値から21日午前へ反落したものの、中銀利上げとドル円の反騰により21日夜へ一段高したため、22日午前時点では21日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして25日夜から27日夜にかけての間への上昇を想定した。
3月21日深夜へ高値を伸ばした後は上げ渋りとなり4.70円前後で下支えられてるため、4.70円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは一段高余地ありとするが、4.70円割れから続落の場合は下落再開を疑い、連続的な下落で4.68円を割り込むところからは弱気サイクル入りとして26日午前から28日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月21日夜への急伸で遅行スパンが好転して先行スパンからも上抜け、その後も先行スパンからの転落を回避しているため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月21日夜に80ポイントへ迫ってから低下したが、50ポイント前後で踏みとどまっているので60ポイント超えからは上昇再開とするが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.68円を下値支持線、4.77円を上値抵抗線とする。
(2)4.70円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、4.77円を超える場合は4.80円を目指す上昇を想定する。4.77円以上は反落警戒とするが、4.70円を上回っての推移なら26日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.70円割れから続落の場合は下落期入りを疑い、4.68円割れからは4.65円前後への下落を想定する。4.65円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は4.63円前後へ下値目途を引き下げ、4.68円を割り込んだ後も4.70円以下での推移が続く場合は26日も安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月28日
 16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 99)
 20:30 週次 外貨準備高 3月22日時点 グロス (3月15日時点 748.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月22日時点 ネット (3月15日時点 196.2億ドル)
3月29日
 16:00 2月 貿易収支 (1月 -62.3億ドル) 
4月1日
 16:00 3月 イスタンブール製造業PMI (2月 50.2)
4月3日
 16:00 3月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (2月 4.53%)
 16:00 3月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (2月 67.07%)
 16:00 3月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (2月 3.74%)
 16:00 3月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (2月 47.29%)


注:ポイント要約は編集部

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