ドル底堅い、90年7月以来の152円台乗せも
〇ドル円、3/19日銀会合結果発表後から概ねドル高の動き。週末、高値151.86つけ151円半ばで越週
〇日銀、FOMCともに事前予想通りの結果、早期の金利差縮小見込みにくく、ドル高円安基調が続くか
〇今週発表予定の米経済指標、3月消費者信頼感指数、10-12月期GDP統計確報値、2月PCEデフレーター等
〇ドル高円安方向、先週高値含めた152円レベルの攻防注目。確り超えるとテクニカル的には青天井の様相
〇ドル安円高方向、3/19欧米時間以降、一度も下回ってない150円レベルが強いサポート
〇円買い介入でもなければ、149円半ばの21日線レベルでは取り敢えず下げ止まるか
〇今週のドル円予想レンジ:149.50-153.00
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドルが続伸し一段高。ザラ場ベースでは151.80円台まで値を上げ、2022年や2023年高値に一時接近する局面も。
前週末は、中国海警局船が台湾の「進入禁止水域」に初めて入ったとして話題に。しかも、2日連続で侵入していたようだ。一方、投開票されたロシア大統領選は、事前予想通りプーチン氏が圧勝し、「勝利宣言」も聞かれていた。
そうした状況下、ドル/円は149.10-15円で寄り付いたのち、週明け18日こそ冴えずに揉み合いをたどったものの、翌19日の日銀会合の結果発表後、週末にかけてはおおむねドル高・円安の動き。これまで数回上げ渋った150.80円レベルも、それほど強い抵抗なく超えると一気に151円台へ。週末には高値151.86円を付け、NYクローズもそのまま高値圏の151円半ばをキープし越週している。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の金融政策」と「米金融政策」について。
前者は、事前に複数メディアが報じていた通り、19日に日銀は決定会合の結果として、17年ぶりとなる「マイナス金利解除を決定」と発表。しかし、同時に「当面緩和的な金融環境が継続すると考えている」とした見解を示すなど、全体的なトーンはかなり弱めだった。また、岸田首相から「緩和的な金融環境が維持されることになったことは適切であると考えている」とのコメントが聞かれるなど、政府サイドからの「アシスト」も観測されていた。その後、21日付の日経新聞が「日銀追加利上げ、7月or10月観測浮上」−−などと報じ、市場で物議を醸したが、参議院財政金融委に出席した植田日銀総裁は「当面、緩和的な金融環境継続で経済・物価を支える」と発言。従来のスタンスを崩さず、事実上日経報道を否定したことで、結果的に影響は限られている。
それに対して後者は、現地20日に注目の米FOMCの結果として予想通りの「金利据え置き」と発表されたほか、金利見通しについては「年内3回の利下げ」が示されていた。ともに事前にほぼ予想されていた通りの内容で、それほど目新しい要因はなし。また、マーケットで指摘されていた関心事項のひとつ、6月説が取り沙汰される「具体的な利下げ開始時期」については、言及が見送られた。いずれにしても、日米両者の考えをまとめると、早期の金利差縮小は見込みにくく、ドル高・円安基調はまだしばらく続く可能性も否定できない。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円相場は一時151.86円まで上昇。2022年と23年高値(ともに151.95円レベル)が完全に視界内に捉えられている。今週はまず同レベルの攻防が注目されるところで、抜ければ1990年7月以来の152円台乗せもありそうだ。ただ、さすがにレベル的には日本の通貨当局が強く警戒するレベルに達していると考えられ、実際、先週末の151円台では鈴木財務相から「為替市場の動向に高い緊張感もって注視している」との口先介入が発せられていた。ここから先のドル高進行は基本的に牛歩。非常に歩みの遅いものとなる可能性もある。
注目を集める日米金融政策だが、先で記したように先週発表された日米中銀の考えをまとめると、早期の金利差縮小は見込みにくいと言ってよいだろう。そのため、金利差の観点から考えると、ドル高・円安基調がまだしばらく続く公算が大きいと言えそうだ。とは言え、日本はともかく米国については「基本ハト派で利下げを急ぐ必要はないと判断しているだけ」−−との見方もあり、発表される米経済指標の内容如何では再び早期利下げ観測が強まる展開を見込む声も聞かれていた。いずれにしても、今週も発表される米経済指標には注意を要したいところだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円の基本的なリスクは間違いなくドル高方向。時間足など短期のチャートを見ると19日の欧米時間以降、一度も150円を下回ったことがなく、レベル的には150円台もだいぶ見慣れてきた。
今週は2022年と23年の高値、おおよそ152円の攻防がまずは注目されるが、仮に上抜けるとなると明確なテクニカルポイントが当面存在しないことは気掛かりだ。1990年4月高値の160.20円では、短期の上値メドとしてさすがに遠すぎるだろう。
それに対するサポートは先で記した150円レベル。そして移動平均の21日線が位置する149円半ばなどが意識されそうだ。
そうしたなか今週は、3月の消費者信頼感指数や10-12月期のGDP統計確報値、2月のPCEデフレーターなどの米経済指標が発表される予定だ。米金融政策については、先で指摘したような状況だが、弱めの内容となった場合には素直にドル売りが進展するとの見方も取り沙汰されていた。
そんな今週のドル/円予想レンジは、149.50-153.00円。ドル高・円安については、先週高値をふくめた152円レベルの攻防にまずは注目。しっかり超えるとテクニカル的には青天井の様相も。
対してドル安・円高方向は、19日の欧米時間以降、一度も下回ったことのない150円レベルはかなり強いサポートか。下回っても円買い介入でもなければ、21日線レベルでは取り敢えず下げ止まりそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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