ドル円週間見通し FOMC後の下落解消で年初来高値更新、152円手前の壁に挑戦

3月22日は米国の主要経済発表はなく、152円手前に対する市場介入警戒感からポジション調整的に下落したが、151.00円を付けたところから戻して週を終えた。

ドル円週間見通し FOMC後の下落解消で年初来高値更新、152円手前の壁に挑戦

FOMC後の下落解消で年初来高値更新、152円手前の壁に挑戦

〇先週のドル円、日銀政策転換決定後も緩和状態が続くとの観測より3/20夜151.79へ上昇
〇その後FOMCでの年内3回利下げ想定を維持から150.26まで下げたものの、ドル安は一時的
〇円安基調の継続と株高期待による円売りで22日午前には151.86の高値をつけ151円台で越週
〇今週は日銀金融政策決定会合・主な意見(3月18-19日分)、2月米PCEデフレーターに注目
〇テクニカルには二重のダブル天井か、三角持ち合い上放れか、151円台での攻防続く
〇151.86超えから22年高値151.94、152.00を順次試し、152円超えからは152円台中盤への上昇想定
〇151円割れから続落の場合は150.26試しへ向かうとみる
〇150.26割れを回避して151円台へ戻す場合は151円を中心としたボックスないし三角持ち合いへ進むか
〇150.26割れからはいったん仕切り直しの下落期に入るとみて149円台前半へ向けた下落を想定

【概況】

ドル円は日銀のマイナス金利解除等政策修正への関係者による地ならし的発言や報道を背景に2月13日高値150.88円から3月11日安値146.46円まで下落したが、3月11日までの下落でこの問題をある程度織り込み済とし、3月12日からは米国の早期利下げ期待後退によるドル高を優先して上昇した。
3月19日に日銀がマイナス金利とYCC等の解除を決定、ETF等の買い入れも終了したものの当面は金融緩和状態が続くと市場は受け止めて円安反応となり、3月20日夜には151.79円へ上昇した。21日未明にFOMCが年内3回利下げ想定を維持したことによるドル安で21日午前には150.26円まで下げたものの、米国のみならず欧英等も年内利下げを想定していることでドル安反応も一時的なものに留まり、それよりも円安基調の継続と株高期待によるリスク選好感による円売りで22日午前には151.86円へ上昇して3月20日夜高値を超えて昨年12月28日安値140.24円以降の最高値を更新した。

3月22日は米国の主要経済発表はなく、152円手前に対する市場介入警戒感からポジション調整的に下落したが、151.00円を付けたところから戻して週を終えた。
今週は3月28日午前の日銀金融政策決定会合・主な意見(3月18-19日分)、3月29日夜の2月米PCEデフレーターが注目される。

【米10年債利回りは4営業日続落】

3月22日の米長期債利回りは総じて低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.07%低下の4.20%で週を終えた。3月18日に4.35%をつけて直近のピークである2月22日と同値としたが、翌日から4営業日続落している。21日から22日にかけては欧州長期債利回りも低下したことでドル高だったが、FOMCを通過して年内3回利下げ想定を踏まえて長期債利回り上昇も一巡の様相だ。
30年債利回りは0.06%低下の4.38%。2年債利回りも0.04%低下の4.60%となった。
一方でNYダウの3月22日は前日比305.47ドル安と下落、5日ぶりの反落だが前日までの史上最高値更新に対する利益確定売りの様相。ナスダック総合指数は26.98ポイント高と上昇、3月18日から4連騰で史上最高値を更新した。
ドル円にとっては短期の騰落はともかく中長期的なバブルがかった日米株高の継続性が円安要因となり、株高が崩れれば円高要因となってくる。そろそろ株高への警鐘も増え始めるところではないかと注目したい。


【二重のダブル天井か、三角持ち合い上放れか、151円台での攻防続く】

【二重のダブル天井か、三角持ち合い上放れか、151円台での攻防続く】

ドル円は3月22日高値151.86円で2022年10月21日高値151.94円、2023年11月13日高値150.90円に迫った。昨年12月28日安値140.24円へ下落した段階では両高値によるダブル天井形成の可能性が高まったが、151円台まで切り返してきたことにより、ダブル天井ラインの突破へ向かう可能性も出てきているところだ。
昨年11月13日高値を超えないかわずかに超えても早々に下落する場合は、ダブル天井の右側として昨年11月13日高値と今年3月22日ないしは直近の高値でミニ・ダブル天井を形成することで、二重のダブル天井形成に終わるケースが考えられる。2022年10月21日からの下落は政府・日銀による大規模市場介入をきっかけとし、米国のインフレ率鈍化による利上げペース減速と日銀の政策修正への警戒感を背景としたものであり、2023年11月13日からの下落も市場介入への警戒感とともに米国の早期利下げ開始期待及び日銀の政策修正への警戒感が再び強まったことを背景としたものだった。

(1)二重のダブル天井で終わるケース
日銀の政策修正については織り込み済として発表後に円安反応となっているため、現状から下落に転じるためには市場介入へのかなり強い姿勢によるけん制や、マイナス金利解除後の円安を良しとしない日銀側による連続的な利上げへ姿勢による市場へのけん制、米国の6月利下げ開始と連続利下げへの期待が現状よりも高まることが必要と思われる。あるいは、ややバブル的に史上最高値を更新してきた日米株高が頭打ちから下落に転じて株安ショックによるリスクオフ型の円高が発生することがトリガーとなることも考えられる。
このケースにおけるテクニカルな判断目安は3月11日安値146.46円を割り込み昨年12月28日からの上昇トレンドが崩れるところと思われる。その場合は二重のダブル天井完成目安となる昨年12月28日安値140.24円を試しに向かう下落期に入ってゆくと思われる。

(2)ダブル天井ラインを突破して円安が加速するケース
しかし、政府日銀による市場介入へのけん制が緩く、日銀の金融緩和状態はまだ続くとの姿勢が繰り返されて市場が安心しきり、日米株高がさらに続き、米FRBも6月利下げを開始した後は暫く様子を見るような緩やかな利下げ姿勢を強調する場合には米長期債利回りの上昇とともにドル高優勢となり、株高円安のセットによる円売りにより152円を突破してゆくこともあり得るだろう。
昨年11月13日高値と今年2月13日高値を結ぶ上値抵抗線はやや右肩下がりだったが3月22日への上昇でこれを突破している。昨年12月28日安値から今年2月13日高値までの上昇幅10.64円に対して3月11日安値への下げ幅4.42円は半値押しラインの上で踏みとどまってから一段高しているため、昨年12月28日安値を起点とした上昇が2月13日までを一段目とし、3月11日安値を押し目として二段目に入っており、さらに三段上げへと発展してゆくテクニカルな可能性が残っている。

このケースでは政府・日銀が市場介入を行うかどうかが最大の焦点となるが、市場介入で一時的に急落しても円安基調そのものは継続すると市場が判断すれば急落反応は長続きせずに介入当日ないし翌日にはバーゲンハント買いで上昇に転じて一段高を目指して行くと思われ、テクニカル的な上値目途は@2月13日から3月11日への下げ幅4.42円の倍返しとなる155.30円、A昨年12月28日から今年2月13日への上昇幅と同値規模のN字型上昇として157.10円、円安に歯止めがかからず長期化する場合の先行きとしてはB昨年11月13日から12月28日への下げ幅11.66円の倍返しとなる163.56円等が考えられる。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)当初、151.00円を下値支持線、3月22日午前高値151.86円を上値抵抗線とする。
(2)151円台を維持するかわずかに割り込んでも回復するうちは一段高余地ありとし、151.86円超えからは2022年10月高値151.94円、152.00円を順次試し、152円超えからは152円台中盤(152.35円から152.65円)への上昇を想定する。
(3)151円割れから続落の場合は3月21日安値150.26円試しへ向かうとみる。150.26円割れを回避して151円台へ戻す場合は151円を中心としたボックス型ないし三角型の持ち合いへ進む可能性があり、持ち合い放れの決着は週末の米PCE統計までずれ込む可能性があると思われる。
(4)150.26円割れからはいったん仕切り直しの下落期に入るとみて149円台前半へ向けた下落を想定する。

【当面の予定】

3/25(月)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨(1月22-23日分)
14:00 (日) 1月 景気一致指数CI・改定値 (速報 110.2)
14:00 (日) 1月 景気先行指数CI・改定値 (速報 109.9)
21:25 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
23:00 (米) 2月 新築住宅販売件数・年率換算 (1月 66.1万件、予想 67.5万件)
23:00 (米) 2月 新築住宅販売件数 前月比 (1月 1.5%、予想 2.1%)
23:15 (英) マン英中銀委員、講演
23:30 (米) クックFRB理事、講演
26:00 (米) 財務省2年債入札

3/26(火)
08:30 (豪) 3月 ウエストパック消費者信頼感指数 (2月 86.0)
08:50 (日) 2月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (1月 2.1%、予想 2.0%)
16:00 (独) 4月 GFK消費者信頼感 (3月 -29.0、予想 -27.3)
21:30 (米) 2月 耐久財受注 前月比 (1月 -6.1%、予想 1.4%)
21:30 (米) 2月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (1月 -0.3%、予想 0.3%)
22:00 (米) 1月 連邦住宅金融局FHFA住宅価格指数 前月比 (12月 0.1%)
22:00 (米) 1月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (12月 6.1%)
23:00 (米) 3月 リッチモンド連銀製造業景況指数 (2月 -5)
23:00 (米) 3月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (2月 106.7、予想 107.0)
26:00 (米) 財務省5年債入札

3/27(水)
09:30 (豪) 2月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (1月 3.4%、予想 3.5%)
10:00 (日) 田村日銀審議委員、青森で講演
19:00 (欧) 3月 消費者信頼感・確定値 (速報 -14.9)
19:00 (欧) 3月 経済信頼感 (2月 95.4、予想 96.1)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計

3/28(木)
休場、ノルウェー、メキシコ、米国債券市場は短縮取引
07:00 (米) ウォラーFRB理事、経済見通しについて講演
08:50 (日) 日銀金融政策決定会合・主な意見(3月18-19日分)
09:00 (NZ) 3月 ANZ企業信頼感 (2月 34.7)
09:30 (豪) 2月 小売売上高 前月比 (1月 1.1%、予想 0.4%)
未 定 (日) 田村日銀審議委員、記者会見 (3月27日分)
16:00 (英) 10-12月期 GDP・改定値 前期比 (速報 -0.3%、予想 -0.3%)
16:00 (英) 10-12月期 GDP・改定値 前年同期比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
16:00 (英) 10-12月期 経常収支 (7‐9月 -172億ポンド、予想 -214億ドル)
16:00 (独) 2月 小売売上高 前月比 (1月 -0.4%、予想 0.4%)
16:00 (独) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 -1.6%、予想 -0.8%)
17:55 (独) 3月 失業者数 前月比 (2月 1.10万人、予想 1.00万人)
17:55 (独) 3月 失業率 (2月 5.9%、予想 5.9%)

21:30 (米) 10-12月期 GDP・確定値 前期比年率 (改定値 3.2%、予想 3.2%)
21:30 (米) 10-12月期 GDP個人消費・確定値 前期比年率 (改定値 3.0%)
21:30 (米) 10-12月期 コアPCE・確定値 前期比年率 (改定値 2.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 180.7万人)
22:45 (米) 3月 シカゴ購買部協会景況指数 (2月 44.0、予想 46.0)
23:00 (米) 3月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 76.5、予想 76.6)
23:00 (米) 2月 NAR住宅販売保留指数 前月比 (1月 -4.9%)
23:00 (米) 2月 NAR住宅販売保留指数 前年同月比 (1月 -6.8%)

3/29(金)
休場、米国、ドイツ、スイス、フランス、英国、カナダ、メキシコ、南ア、ニュージーランド、
オーストラリア、香港、シンガポール
08:30 (日) 3月 東京CPI・生鮮食料品除く 前年同月比 (2月 2.5%、予想 2.4%)
08:30 (日) 2月 失業率 (1月 2.4%、予想 2.4%)
08:50 (日) 2月 小売業販売額 前年同月比 (1月 2.3%、予想 2.7%)
08:50 (日) 2月 鉱工業生産・速報値 前月比 (1月 -6.7%、予想 1.3%)
08:50 (日) 2月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (1月 -1.5%、予想 -2.5%)
14:00 (日) 2月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (1月 -7.5%、予想 -5.5%)

21:30 (米) 2月 個人所得 前月比 (1月 1.0%、予想 0.4%)
21:30 (米) 2月 PCE(個人消費支出) 前月比 (1月 0.2%、予想 0.5%)
21:30 (米) 2月 PCEデフレーター 前年同月比 (1月 2.4%、予想 2.5%)
21:30 (米) 2月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前月比 (1月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 2月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前年同月比 (1月 2.8%、予想 2.8%)
21:30 (米) 2月 卸売在庫 前月比 (1月 -0.1%)
24:30 (米) パウエルFRB議長、討論会参加

注:ポイント要約は編集部

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