24年利下げ回数据え置くも、25年利下げ回数を「4回」から「3回」に減少
【今回のポイント】
〇 政策金利は5会合連続で下限5.25%、上限5.5%を据え置き
〇 2024年金利引き下げ回数は「3回」のまま
〇 2025年金利引き下げ回数は「4回」から「3回」に減少
【FOMCの結果】
米連邦準備制度理事会(FRB)は、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利を下限5.25%、上限5.5%と5会合連続で据え置いた。
2024年の利下げについては0.25ポイントを3回(合計0.75%)という昨年12月の従来予想を据え置いた。一方、25年については、足元のインフレの上振れを踏まえて予想する利下げの回数を4回から3回に減らした。
FOMC声明では、「最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大していることを示唆しており、雇用の増加は力強く、失業率は低水準にとどまっている。インフレ率はこの1年で緩和したが、依然として高止まりしている」とし、「FOMCはインフレが持続的に2%に向かっているとの確信が深まるまで、目標レンジを引き下げることは適切ではない」と指摘。
さらに、「以前発表した計画に示されているように、国債、機関債、住宅ローン担保証券の保有額を引き続き削減」と、毎月最大950億ドル(約14兆4000億円)のバランスシートの縮小を継続する方針を改めて示した。
パウエルFRB議長は、記者会見にて、バランスシートについては、「ランオフ(償還に伴う保有証券減少)のペースを減速させるという判断は最終的なバランスシート縮小の規模が減少することを意味しないが、より漸進的に最終的な水準へ近づくことが可能になる」と指摘。「特にランオフのペース減速で円滑な移行が確実になり、短期金融市場がストレスを抱える可能性が低下する」と述べた。
【市場の反応】
注目のドットチャートは、2024年利下げ見通しが3回のままだったことで、米国株高、ドル安の展開となった。発表直後、ドルは対円で151円70銭水準から150円70銭水準まで下落し、東京時間21日10時頃には150円27銭まで下げた。その後は、151円台で推移している。
一方、ドルインデックスも、発表前は104水準で推移していたが、発表後は103.1水準まで下落。その後は、対円同様、値を戻しており104.40水準で推移している。
今回の予測では、長期における金利水準の予想が若干上向きに修正され、中央値は2.6%と従来の2.5%から引き上げられた。また、24年のインフレと経済成長に関する予測に関しては、基調的インフレ率について2.6%と従来予想(2.4%)から引き上げ、成長率についても2.1%と従来予測(1.4%)から引き上げられた。
【今後、ドルはどう動く?】
ドルは発表後にFOMC声明やパウエルFRB議長のややハト派な発言などを受けて、下落したが、売り一巡後は値を戻している。24年のインフレと経済成長に関する予測の上方修正や、25年の利下げ回数の引き下げなどを見直す動きが強まったと推測する。
20日以降、ドルは対円で151円80銭台を3営業日連続(20日:151円88銭、21日:151円80銭、22日:151円87銭)でつけており、1990年7月以来となる152円台乗せを試す展開を迎えている。
151円90銭台は、2022年の政府・日銀による為替介入を実施したゾーンで、昨年11月の投機筋の円売り加速の時も押し返された水準だ。政府・日銀による為替介入が意識されることで上値が重くなっているが、為替介入を実施するのは非常に難しいと考える。
3月の春闘にて物価上昇率を上回る異次元の賃上げがなされたことから、物価上昇に対する批判の声は過去に比べれば減少している様子だ。2022年や23年のような円安加速に伴う物価高騰を抑えるという「大義名分」が失われつつあることが挙げられる。
そして、今回の円が主要通貨に対して弱含む「円全面安」が、日銀による「マイナス金利の解除」後に発生していることも大きい。ここで為替介入を行い、日経平均が1000円超下落した場合、せっかく「脱デフレ」宣言間近まで来ているムードに水を差す格好となるので、介入は難しいというロジックだ。期末に株安という地合いを回避したいと、支持率が低迷している政府が考えても不思議ではない。
ドルが151円台後半で推移しているにも関わらず、「急激な円安」「投機的」「断固たる」といった強い表現の口先介入は見られないことで、じりじりと上値を試すような動きで152円台につけた後、ドル高円安が加速する可能性もあろう。さすがに円全面安のスピードが速ければ為替介入実施もありそうだが、152円台に乗せるまでは、強めの口先介入は入りにくいと考える。円安ドル高の地合いが4月以降も続くと想定する。
【2024年スケジュール】
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