トルコリラ円見通し 日銀会合通過後のドル円急伸一巡でトルコリラ円も反落(24/3/21)

トルコリラ円の3月19日は概ね4.67円から4.59円の取引レンジ、20日早朝の終値は4.66円で前日終値の4.60円から0.06円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 日銀会合通過後のドル円急伸一巡でトルコリラ円も反落(24/3/21)

日銀会合通過後のドル円急伸一巡でトルコリラ円も反落

〇トルコ円、FOMC後のドル円反落の流れ受け3/21午前に4.64まで下げる、下落再開か
〇今夜のトルコ中銀金融政策委員会、タカ派姿勢を示さなければ追加利上げ催促によるリラ安に
〇ドル円反落続く場合、リラ安と円高の両面から押し下げられる可能性も
〇対ドル、3/19に史上最安値更新、3/21午前もリラ安基調続く
〇4.63割れから4.60、4.57を順次試して行く下落を想定
〇4.67から4.68にかけての水準は戻り売り有利とする

【概況】

トルコリラ円の3月19日は概ね4.67円から4.59円の取引レンジ、20日早朝の終値は4.66円で前日終値の4.60円から0.06円の円安リラ高だった。3月20日は概ね4.71円から4.64円の取引レンジ、21日早朝の終値は4.65円で前日終値から0.01円の円高リラ安だった。
日銀のマイナス金利解除等への地ならし的な動きによりドル円は2月13日高値150.88円をピークとして3月11日安値146.46円まで下げてきたが、日銀動向をある程度織り込み済とし、3月19日の日銀金融政策決定会合でマイナス金利等の解除が決まったものの今後も金融緩和状態がしばらく続くとして発表前の149円台序盤から20日未明には151円に迫り、20日夜には151.79円まで大幅続伸した。しかし152円手前での市場介入への警戒感から上昇一巡となり、21日未明の米FOMCが政策金利を据え置いたものの年内3回利下げ想定を維持したことによるドル安で151円を割り込んでおり、3月11日安値を起点とした上昇一巡により下落期に入っている印象だ。

トルコリラ円はドル高リラ安に圧迫されて1月3日安値4.74円を割り込み史上最安値更新に入り、3月11日までは円高にも圧迫されてきたが、3月13日に一時的な安値で4.52円まで史上最安値を更新した後はドル円の上昇に押し上げられて3月20日未明には4.71円まで戻り高値を切り上げてきた。
しかしドル円が米FOMC後に反落した流れで21日午前には4.64円まで下げており、円安による押し上げが途切れて下落再開に入りつつある印象だ。
今夜はトルコ中銀金融政策委員会があり、市場の事前予想は政策金利の週間レポレートは45%で据え置かれると見込まれており、中銀が追加利上げも辞さずとするタカ派姿勢を示さなければ追加利上げ催促によるリラ安となり、ドル円の反落も続く場合にはトルコリラ円にとってリラ安と円高の両面から押し下げられる可能性もあると注意する。

【ドル/トルコリラは3月19日に史上最安値を更新、21日午前もリラ安基調続く】

ドル/トルコリラの3月19日は概ね32.50リラから32.15リラの取引レンジ、20日早朝の終値は32.36リラで前日終値の32.25リラから0.11リラのドル高リラ安となり、取引時間中及び終値ベースの史上最安値を更新した。
3月20日は概ね32.45リラから32.14リラの取引レンジ、21日早朝の終値は32.16リラで前日からは0.20リラのドル安リラ高だった。
3月20日早朝に32.50リラを付けて史上最高値を更新した後は上げ渋り、米FOMCが年内3回利下げ想定を維持したことによるドル全面安で21日早朝には32.14リラまで下げたが、21日午前序盤には32.40リラ台へ戻しており、ドル高リラ安基調の趨勢には変化がみられない。

先週まで週足は1月26日の週から8週連続で取引時間中の史上最安値を更新、週末値ベースでは12月15日の週から14週連続のドル高リラ安だったが、今週も現時点で9週連続で取引時間中の最安値を更新しており、先週末終値32.11リラを超えた推移を続けており、15週連続のドル高リラ安となる可能性が高い印象だ。
今夜のトルコ中銀金融政策委員会では政策金利据え置きが予想されているものの、一部には2.5%追加利上げを予想する向きもある。3月末のトルコ統一地方選挙を控えているために追加利上げは控えられると思われるが、4月会合以降の追加利上げへ積極姿勢を示すような内容がなければ利上げ催促的なリラ安が続きやすいと思われる。

【トルコ中央政府債務過去最大を更新】

3月20日に発表されたトルコの3月消費者信頼感指数は79.4となり2月の79.3からわずかに上昇したが1月の80.4を下回った状況が続いた。同指数は昨年の5月に91.1まで改善したところをピークとして8月の68.0まで悪化し、その後は徐々に改善傾向にあったものの頭打ちの様相となっている。3月末のトルコ統一地方選挙を控えていること、高インフレとリラ安、高金利が続いていることで消費者の心理改善も今一つ盛り上がりに欠ける。
内訳では家計の12か月後見通しは2月の78.2から78.9へ改善、経済情勢についての12か月後見通しは74.6から74.9へ改善したが、耐久財購入姿勢の12か月後見通しは97.5から97.0へ悪化した。
3月20日発表の2月のトルコ中央政府債務残は7兆2380億リラとなり1月の6兆9650億リラから拡大、過去最大となった。2017年7月に1兆リラを超えてから加速的な拡大を続けており、昨年5月に5兆リラを超えてからも伸びが止まらない。歴史的なリラ安を反映しているものであり、リラ安に歯止めがかかれば改善するものの、自国通貨安に歯止めがかからないと過大な債務に経済政策が圧迫されかねない問題だ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月19日の日銀会合通過後の円安で急伸したため、3月19日午前安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、21日未明の米FOMC通過後の円高に圧迫されて失速しているため、すでにサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしていると思われる。3月21日未明高値4.71円を上抜き返せないうちは22日午前から26日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月21日午前序盤への下落で遅行スパンが悪化しているため遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンからの転落状態が続く場合は下げ足が速まる可能性もあると注意する。強気転換は3月21日未明高値超えからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月19日午後から20日夜にかけての一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せてから40ポイント割れへ低下してるためすでに下落期に入っているとみて20ポイント前後への低下を想定する。強気転換には55ポイントを超えてからも50ポイント以上を維持して指数のピークを切り上げるような反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.63円を下値支持線、4.67円を上値抵抗線とする。
(2)4.67円を下回るうちは一段安余地ありとし、4.63円割れから4.60円、4.57円を順次試して行く下落を想定する。4.57円以下は反騰注意とするが、4.64円を下回っての推移なら22日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.67円から4.68円にかけての水準は戻り売り有利とし、その後に4.65円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

3月21日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 45.0%、予想 45.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 3月15日時点 グロス (3月8日時点 777.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月15日時点 ネット (3月8日時点 208.4億ドル)
3月22日
 16:00 3月 製造業景況感 (2月 101.5)
 16:00 3月 設備稼働率 (2月 76.4%)
 17:00 2月 海外観光客数 前年同月比 (1月 2.1%)
3月28日
 16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 99)
 20:30 週次 外貨準備高 3月22日時点
3月29日
 16:00 2月 貿易収支 (1月 -62.3億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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