トルコリラ円見通し トルコ中銀のサプライズ利上げとドル円の反騰で4.70円台前半
〇トルコ円、トルコ中銀の利上げ、ドル安リラ高とドル円の反騰で3/21深夜高値4.77へ上昇
〇その後はドル円がやや下げ、対ドルもリラ安がややぶり返したことで、3/22早朝4.71近辺まで下げる
〇対ドル、3/21は一時32.46へ下げるも、トルコ中銀の利上げ発表後はリラ買い優勢で31.57まで上昇
〇3/22午前は32.13近辺へ切り返す、サプライズ反応一巡で再びリラ安基調へ進むのか試すところ
〇トルコ中銀、5%追加利上げを決定、市場にとってサプライズとなる
〇4.70を上回るうちは上昇余地ありとし、4.77を超える場合は4.80を目指す上昇を想定する
〇4.70割れから続落の場合は下落期入りを疑い、4.65前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の3月21日は概ね4.77円から4.62円の取引レンジ、22日早朝の終値は4.73円で前日終値の4.70円から0.03円の円安リラ高だった。
トルコ中銀が予想外に5%追加利上げを決定したことでドル/トルコリラにおいてリラが反騰したことに加え、FOMC後に下落していたドル円が反騰して3月19日の日銀会合後の円安で付けた3月20日夜高値151.79円に迫ったため、トルコリラ円はドル安リラ高とドル円の反騰により21日午前安値4.62円から21日深夜高値4.77円へ反騰した。その後はドル円が20日夜高値に迫ってからやや下げ、ドル/トルコリラも22日早朝へのリラ買い一巡でリラ安がややぶり返していることで4.71円近辺まで下げてる。
トルコ中銀が予想外に利上げを決定したことはサプライズだったが、昨年8月24日にトルコ中銀が予想外に7.5%利上げを決定した際にトルコリラ円は当日安値5.29円から高値5.80円へ急伸し、ドル/トルコリラも当日に27.28リラから25.03リラへ大幅なリラ高となったが、反応は当日だけで終わり翌日から再び歴史的なリラ安を再開している。今回の利上げ決定についてもさらに連続利上げをしてゆく強固な姿勢は見られず、これ以上の利上げがトルコ経済に及ぼす悪影響を懸念すれば、4月以降の追加利上げ判断も難しくなるため、3月21日のトルコリラ円及びドル/トルコリラにおけるリラ高反応が早朝に解消されてしまうようだとリラ安がかえって勢いを付けてしまうことも懸念される。
【ドル/トルコリラは中銀利上げサプライズでリラ高反応】
ドル/トルコリラの3月21日は概ね32.46リラから31.57リラの取引レンジ、22日早朝の終値は32.03リラで前日終値の32.36リラからは0.33リラのドル安リラ高だった。
高インフレが続く中でトルコ中銀が2月会合で政策金利を据え置いて利上げ終了としたことを不服としてドル高リラ安が勢いを増し、3月21日のトルコ中銀金融政策委員会が迫る中で3月19日には32.50リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、終値32.36リラで終値としての史上最安値を更新したが、20日は中銀会合前日でリラ売りが手控えられたことと21日未明の米FOMC後にドル全面安となったことで最安値更新へ進まずに前日比0.20リラのドル安リラ高となっていた。
3月21日は一時32.46リラへリラ安が進行していたが、トルコ中銀が予想外に5.0%利上げに踏み切ったことをサプライズとして発表後はリラ買いが優勢となり31.57リラまでドル安リラ高となった。
3月22日午前は32.13リラ近辺へ切り返しており、サプライズ反応が一巡して再びリラ安基調へ進むのか試しているところだ。
【トルコ中銀、予想外に5%追加利上げを決定】
トルコ中銀は3月21日のMPC(金融政策委員会)で政策金利の週間レポレートを45.0%から5%引き上げて50.0%とした。主要金利では翌日物貸出金利は46.5%から53.0%へ、翌日物借入金利が43.5%から47.0%へ、後期流動性貸出金利が49.5%から56.0%へ引き上げられた。
週間レポレートについての市場事前予想は現状維持だったが、一部では2.5%利上げの可能性も指摘されていたところ、一部の予想を超える5%利上げに踏み切ったことは市場にとってサプライズだった。
中銀は声明で「2月のインフレ基調はサービス業に牽引されて予想より高かった」、「インフレ見通しの悪化に対応するために利上げを決定した」とし、「インフレ基調に大幅かつ持続的な下落が見られるまで金融引き締めを維持する」とした。2月時点では想定を超える場合は再び引き締めることに含みを持たせていたが、3月末のトルコ統一地方選挙を控えている状況では利上げで高金利状態がさらに悪化することを避けるのではないかと思われていたところ、それ以上にインフレとリラ安の抑制が政権にとっても重要として利上げに踏み切ったと思われる。
3月21日に発表された週次の外貨準備高は3月15日時点のグロスで748.9億ドルとなり3月8日時点の777.9億ドルから減少し、ネットでは3月8日時点の208.4億ドルから196.2億ドルへ減少した。エルカン前中銀総裁時代は外貨準備高を取り崩してリラ安防衛の市場介入を行うことを止めていたが、カラハン新総裁に交代した後は外貨準備高の減少が目立っており、外貨準備高増加を大きな根拠として大手格付け機関がトルコの評価を改善してきた流れが崩れている可能性もある。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月20日夜高値から21日午前へ反落したものの、中銀利上げとドル円の反騰により21日夜へ一段高したため、21日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は25日夜から27日夜にかけての間と想定されるが、ドル円が3月20日夜高値とのダブルトップに終わる可能性とドル/トルコリラのリラ高が一巡してリラ安再開ヘ進む可能性もあるところと注意し、4.70円割れから続落に入る場合は弱気サイクル入りの可能性を警戒して3月21日午前安値4.63円を試す下落を想定する。
60分足の一目均衡表では3月21日夜への急伸で遅行スパンが好転して先行スパンからも上抜けたため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行しパンから転落する場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は3月21日夜に80ポイントへ迫ってから50ポイント台へ反落しているため、60ポイント台回復からは上昇再開とするが、相場が21日夜高値と並ぶか高値更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とする。50ポイント以下での推移が続く場合は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下へ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.70円を下値支持線、4.77円を上値抵抗線とする。
(2)4.70円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、4.77円を超える場合は4.80円を目指す上昇を想定する。4.77円以上は反落警戒とするが、4.70円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.70円割れから続落の場合は下落期入りを疑い4.65円前後への下落を想定する。4.65円以下は反騰注意とするが、4.70円を割り込んでの推移が続く場合は週明けも安値試しへ進みやすいとみる。
【当面の主な予定】
3月22日
16:00 3月 製造業景況感 (2月 101.5)
16:00 3月 設備稼働率 (2月 76.4%)
17:00 2月 海外観光客数 前年同月比 (1月 2.1%)
3月28日
16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 99)
20:30 週次 外貨準備高 3月22日時点 グロス (3月15日時点 748.9億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 3月22日時点 ネット (3月15日時点 196.2億ドル)
3月29日
16:00 2月 貿易収支 (1月 -62.3億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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