トルコリラ円見通し 円安主導の連騰一服、ドル高リラ安に圧されつつ日銀政策発表待ち(24/3/19)

トルコリラ円の3月18日は概ね4.64円から4.57円の取引レンジ、19日早朝の終値は4.60円で前日終値の4.64円からは0.04円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円安主導の連騰一服、ドル高リラ安に圧されつつ日銀政策発表待ち(24/3/19)

トルコリラ円見通し 円安主導の連騰一服、ドル高リラ安に圧されつつ日銀政策発表待ち

〇トルコリラ円、3/16早朝高値4.64で戻り一巡、4.60前後の水準で買い支えられ下げ渋っているところ
〇対ドル、3/18は概ね32.49から32.05の取引レンジ、取引時間中及び終値の史上最安値を更新
〇3/21のトルコ中銀MPC、政策金利現状維持が予想される
〇4.59を上回るうちは上昇余地ありとし、4.63超えからは4.65試しとする
〇4.59を割り込むところからは下落期入りとみて、4.55、4.53を順次試す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の3月18日は概ね4.64円から4.57円の取引レンジ、19日早朝の終値は4.60円で前日終値の4.64円からは0.04円の円高リラ安だった。
ドル円が3月11日安値146.46円から反騰入りし、3月12日から18日まで5連騰として18日午前には149.32円まで高値を伸ばしてきたため、トルコリラ円もドル高リラ安に圧迫されつつもドル円の上昇を追いかけて3月12日から16日早朝にかけて4.57円前後の水準から4.64円前後まで徐々に高値を切り上げてきた。3月13日午後に一時的安値で4.51円をつけ、15日午前にも4.52円を付け、18日朝には一時4.75円の高値を付ける場面も見られたがいずれも飛び値に終わっており、連続的な流れとしては3月16日早朝高値で戻りが一巡し、4.60円前後の水準では買い支えられて下げ渋っているところだ。

本日は日銀金融政策決定会合があり、黒田前総裁時代から続いてきた異次元金融緩和政策としてのマイナス金利やYCC(長短金利操作)及びETF買い入れ等が終了する可能性が高いとみられている。しかし、マイナス金利解除後も連続的な利上げが進行して短期金利が大幅上昇することはなく、YCC終了後も大量の国債買い入れは続いて長期金利上昇も抑制されることで金融緩和的な状況は暫く続くと見込まれているため、ドル円は3月11日までの下落で日銀政策修正についてはある程度織り込み済とし、その後は米国の利下げ開始先延ばし感による米長期金利上昇に合わせて上昇基調に転じてきた。

日銀が現状維持とする場合にはいったん円安反応を見せ、予想通りに政策修正を決断するならいったん円高反応を見せると思われるが、3月11日以降の上昇基調を崩すほどのインパクトにはならないかもしれない。
トルコリラ円としては日銀政策発表後のドル円動向を追いかけながら乱調な展開となる可能性もあるが、ドル円の上昇基調そのものが崩れなければトルコリラ円の底上げ基調も維持され、円高反応が厳しい場合にはドル高リラ安による圧迫とともに戻り一巡による下落再開感を強めることになるのではないかと思われる。

【ドル/トルコリラは取引時間中及び終値の史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの3月18日は概ね32.49リラから32.05リラの取引レンジ、19日早朝の終値は32.25リラで前日終値の32.11リラから0.14リラのドル高リラ安だった。
3月21日のトルコ中銀金融政策決定会合を控える中、高インフレが収まらない中での利上げ停止を不満としたリラ売りが続いており、3月15日に付けた32.40リラを超えて取引時間中の史上最安値を更新、終値ベースでも3月14日終値32.14リラを超えて最安値を更新した。
先週まで週足は1月26日の週から8週連続で取引時間中の史上最高値を更新、週末値ベースでは12月15日の週から14週連続のドル高リラ安だったが、今週もすでに9週連続での取引時間中最安値更新に入っている。

【3月21日のトルコ中銀MPCでは政策金利現状維持】

3月21日20時にトルコ中銀はMPC(金融政策委員会)を開く。政策金利の週間レポレートは現行の45.0%で据え置かれると予想されているが、予想レンジは45.0%〜47.50%であり、ゴールドマンサックスやドイツ銀行は利上げもあり得ると予想しているようだ。
トルコ中銀は2月22日の前回会合でインフレ抑制のための利上げは終了したとし、インフレ期待が予想範囲に収まるまで現在の政策金利水準を維持し、インフレ見通しの大幅かつ持続的な悪化が見込まれる場合は政策スタンスを引き締めるとした。
3月31日にはトルコ統一地方選挙があり、イスタンブールでは政権野党の現職と政権与党派の一騎打ちとなり、中銀としては選挙前の追加利上げで高金利と高インフレの現状を印象付けることは避けたいところであり、現状維持とする公算が高いと思われる。

中銀は3月6日に銀行による商業貸し付けの月次伸び率限度を2.5%から2.0%へ、一般貸し付けを3.0%から2.0%へ引き下げ、3月13日にはリラ建て準備預金の一部(15%から25%)を自由に移動させずに「凍結」することを義務付け、3月15日には金融機関に対してクレジットカードや当座貸越口座からのキャッシングに対する月間最高利息の引き上げとリラ預金比率の月次目標を引き上げてリラ預金の流出を阻害するような指示を出している。いずれも利上げ以外の金融引き締め政策であり、これ以上の利上げがエルドアン政権に容認されないことを反映している印象も与えている。
中銀による3月ビジネス・サーベイにおけるエコノミストや企業トップによる見通し調査では、2024年末の為替レート予想は1ドル40.5344リラで2月調査時の40.0212リラから上昇し、政策金利見通しは3か月後で46.85%となり2月調査時の45.00%から上昇しており、地方選挙後もインフレが加速する場合には追加利上げもあり得ると予想されている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月14日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、3月16日早朝へ戻り高値を切り上げ、18日朝に飛び値で一段高したものの反落したために18日午前時点ではすでにサイクルトップを付けた可能性があるとした。
3月18日の日中から19日午前序盤にかけては4.60円前後から4.62円前後までのレンジで小動きであり、日銀政策発表後の反応で大きく動くと思われる。4.60円割れから続落の場合は弱気サイクルの継続として19日の日中から21日午前にかけての間への下落を想定するが、4.65円超えからは強気サイクル入りとして21日早朝から23日早朝にかけての間への上昇を想定する。 

60分足の一目均衡表では飛び値を除けば4.60円を挟んだ揉み合い推移で方向感に欠けるため、4.65円超えからは上昇期入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、4.60円割れから続落する場合は下落継続として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月18日早朝に70ポイントを超えてから40ポイント台へ低下したが、その後も40ポイント台を中心とした小動きのため、55ポイント超えからは上昇再開とみて60ポイント台後半への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落継続とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.59円を下値支持線、4.65円を上値抵抗線とする。
(2)4.59円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.63円超えからは4.65円試しとする。4.65円前後は売られやすいと注意するが、4.63円を上回っての推移なら20日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)連続的な下落で4.59円を割り込むところからは下落期入りとみて4.55円、4.53円を順次試す下落を想定する。4.53円以下は反騰注意とするが、一時的高値を除いて4.59円を割り込んでの推移なら20日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月20日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 79.3)
 23:30 2月 中央政府債務 (1月 6兆9650億リラ)
3月21日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 45.0%、予想 45.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 3月15日時点 グロス (3月8日時点 777.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月15日時点 ネット (3月8日時点 208.4億ドル)
3月22日
 16:00 3月 製造業景況感 (2月 101.5)
 16:00 3月 設備稼働率 (2月 76.4%)
 17:00 2月 海外観光客数 前年同月比 (1月 2.1%)


注:ポイント要約は編集部

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