ドル円見通し 日銀会合待ち、マイナス金利解除等は織り込み済(24/3/19)

3月18日午前に149.32円まで高値を伸ばしてからいったん148.90円まで反落したが、19日昼頃の日銀金融政策決定会合待ちで小動きを続けている。

ドル円見通し 日銀会合待ち、マイナス金利解除等は織り込み済(24/3/19)

ドル円見通し 日銀会合待ち、マイナス金利解除等は織り込み済

〇ドル円、3/18午前149.32まで上昇してから一旦148.90まで反落、その後この高安レンジ内で揉み合い
〇3/19昼頃の日銀金融政策決定会合待ちで、小動きが続く
〇日銀金融政策決定会合、マイナス金利解除の見込み、17年振りの利上げとなるか
〇米長期債利回りは総じて上昇し10年債は6連騰、NYダウ・ナスダックはともに続落からの反発
〇148.80以上を維持するうちは一段高余地ありとし、149.32超えからは149円台後半への上昇を想定する
〇148.80割れからは、148.50前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は日銀の3月18-19日会合におけるマイナス金利やYCC等の解除へ向けた地ならし的な発言や報道が続いたことで3月11日安値146.46円へ下落したが、3月12日夜の米2月CPIが高止まりしたことで12日夜に148.16円へ上昇し、3月14日夜の米2月PPI上昇率も予想を上回ったことで12日夜高値を超えて一段高となり、米長期債利回りの連騰に合わせて先週末の16日未明には149円台に到達した。
3月18日午前に149.32円まで高値を伸ばしてからいったん148.90円まで反落したが、その後はこの高安レンジ内で揉み合いとなり、18日夜は米国の主要経済指標発表がなく、19日昼頃の日銀金融政策決定会合待ちで小動きを続けている。

【日銀金融政策決定会合、マイナス金利解除の見込み】

日銀は3月18日と19日の金融政策決定会合結果を昼前後に公表し、午後には植田総裁の会見を開く。
2月以降は植田総裁、内田副総裁、高田審議委員、中川審議委員等が繰り返しマイナス金利解除へ前向きな姿勢を示し、先週はメディアも日銀はマイナス金利とYCC(長短金利操作)を解除し、ETFの買い入れも停止することの協議に入り、最終調整をしているとの報道を繰り返した。
マイナス金利解除に踏み込めば2007年2月以来17年振りの利上げとなるが、2024年春闘について連合が3月15日に公表した第1回集計では賃上げの平均が5.28%となり凡そ33年振り高水準となったこととも日銀の政策修正判断に寄与すると受け止められている。
日銀は2016年2月にマイナス金利を導入したが、短期金利の無担保コール翌日物レート誘導基準をマイナス0.1%から「0.0〜0.1%」へ引き上げると予想されている。また2016年9月に導入されたYCC(イールドカーブ・コントロール=長短金利操作による長期金利上昇抑制政策)についても撤廃し、株高を支えてきたETF(上場投資信託)の買い入れを終了すると見込まれている。

しかし、植田総裁らはマイナス金利解除後も金融緩和的な状況を維持し、YCC撤廃後も国債の大量購入を続けて長期金利上昇を抑制するとしており、市場もこれらの政策修正についてはある程度織り込んだ状態にあり、それよりも米国の利下げ開始先送り感による米長期債利回り上昇をみてドル円は3月11日安値からの反騰を続けてきた。
仮に政策修正の決定が見送られる場合、4月会合での決定が濃厚とされれば一時的な円安の後に円高反応を入れつつも3月11日安値以降の円安基調は続き、3月21日未明のFOMC結果を見てその後の方向性を探る展開になるのではないかと思われる。政策修正が決定されればいったん円高反応を見せつつ、金融緩和状態が続くことを再認識して円買いが一巡すれば円安へ切り返す可能性があり、徐々に引き締めへ向かう姿勢がみられる場合には持続的な円高へ進むこともあり得ると注意する。

【米10年債利回りは2月22日以降の下落を解消】

3月18日の米長期債利回りはFOMCを控えて利下げ開始の先送り感から総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%高の4.33%となり、3月11日から6連騰とし、一時4.35%をつけて3月8日に付けた4.04%以降の高値を更新、2月22日に付けた直近のピークである4.35%に並んだ。
30年債利回りは前日比0.02%上昇の4.45%となり、一時4.47%をつけて3月7日に付けた4.19%以降の高値を更新し、2月22日に付けた直近のピークである4.51%へ迫った。
2年債利回りは前日比0.01%上昇の4.74%となり、一時4.75%をつけて3月8日に付けた4.41%以降の高値を更新、3月11日から6連騰とし、2月23日に付けた直近のピークである4.76%へ迫った。
総じて2月後半の水準まで切り返した状況にあるが、ここから一段高へ進むためには米国の利下げ開始が年後半へさらにずれ込むような情勢変化が必要と思われ、年内3回利下げ想定が変わらないようだと6月利下げ開始期待度が再上昇して米長期債利回りが低下に転じることも考えられる。

一方、NYダウはハイテク株主導で買われて前日比75.66ドル高と反発したが、3月14日の137.66ドル安と3月15日の前日比190.89ドル安による続落幅を解消するには至らなかった。ナスダック総合指数は130.28ポイント高と上昇し、3月13日から15日までの3営業日続落後の反発となったが、ダウとナスダックともに最高値更新後はやや頭打ち状態と思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は3月12日夜高値からの三角持ち合いを3月14日深夜の上昇で上放れして3月18日午前に149.32円まで高値を伸ばしてきたが、その後はほぼ横ばいの推移で上げ渋りとなっている。
日銀金融政策発表後は乱調となりやすいため、(1)日銀政策発表から一段高する場合は買い一巡後の反動安に注意し、(2)発表後にいったん下げてから一段高する場合は新たな上昇期入りとして21日から25日午前にかけての間への上昇を想定するが、(3)発表後の下落が収まらない場合は19日夜から21日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、3月18日午前高値から横ばい推移のため方向感に欠ける。日銀発表後に上昇の場合は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、買い一巡から反落して遅行スパンが悪化する場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とし、先行スパンから転落する場合は円高がまだしばらく続きやすくなると注意する。

60分足の相対力指数は3月18日午前へ高値を切り上げた際には指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せて50ポイント前後の水準へ低下した。60ポイント超えからは上昇再開として70ポイント台への上昇を想定するが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台前半への低下を想定する。ただしいったん30ポイント台へ低下してから50ポイント超えへ反騰する場合は新たな上昇期に入る可能性があると注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、148.80円を下値支持線、3月18日午前高値149.32円を上値抵抗線とする。
(2)148.80円以上を維持するうちは一段高余地ありとし、149.32円超えからは149円台後半(149.50円台から149.90円台)への上昇を想定する。149.90円台は反落警戒とするが、149.30円以上を維持しての推移なら20日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)148.80円割れからは148.50円前後への下落を想定する。148.50円以下は買われやすいとみるが下げ足が速まる場合は148円台序盤への下落を想定し、148.80円を下回っての推移なら20日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

3/19(火)
米FOMC(連邦公開市場委員会)初日
日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.1%)
12:30 (豪) 豪中銀 政策金利 (現行 4.35%、予想 4.35%)
13:30 (日) 1月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -7.5%)
13:30 (日) 1月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -1.5%)
13:30 (日) 1月 設備稼働率 前月比 (12月 -0.1%)
15:30 (日) 植田日銀総裁、記者会見
17:30 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
19:00 (独) 3月 ZEW景況感 (2月 19.9、予想 205)
19:00 (欧) 3月 ZEW景況感 (2月 25.0)
21:30 (米) 2月 住宅着工件数・年率換算 (1月 133.1万件、予想 143.0万件)
21:30 (米) 2月 住宅着工件数 前月比 (1月 -14.8%、予想 7.4%)
21:30 (米) 2月 建設許可件数・年率換算 (1月 147.0万件、予想 150.0万件)
21:30 (米) 2月 建設許可件数 前月比 (1月 -1.5%、予想 2.0%)

3/20(水)
休場 日本
06:45 (NZ) 10-12月期 経常収支 (7‐9月 -114.65億NZドル、予想 -79.50億NZドル)
16:00 (独) 2月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (1月 0.2%、予想 -0.1%)
16:00 (英) 2月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (1月 -0.6%、予想 0.7%)
16:00 (英) 2月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (1月 4.0%、予想 3.5%)
16:00 (英) 2月 コアCPI 前年同月比 (1月 5.1%、予想 4.6%)
16:00 (英) 2月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (1月 4.9%、予想 4.5%)
17:45 (欧) ラガルドECB総裁、講演
18:30 (欧) レーンECB理事、講演
19:00 (欧) 1月 建設支出 前月比 (12月 0.8%)
19:00 (欧) 1月 建設支出 前年同月比 (12月 1.9%)
22:45 (欧) シュナーベルECB理事、講演

23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:00 (欧) 3月 消費者信頼感・速報値 (2月 -15.5、予想 -15.0)
27:00 (米) FOMC(連邦公開市場委員会) 政策金利 (現行 5.25-5.50%、予想 5.25-5.50%)
27:30 (米) パウエルFRB議長、記者会見


注:ポイント要約は編集部

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