日米中銀イベントをきっかけに心理的な8.0円台突破を試す展開に
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、良好な経済指標が確認できたにも関わらず、心理的な節目である8.0円手前でのもみ合いとなった。
14日に発表された1月製造業生産は前月比+0.8%と前回、市場予想ともに上回る良好な結果となった。また、南アフリカが主要産出国である金やプラチナ価格が引き続き高騰するなど経済的にはランド追い風の環境となった。
ただ、ランドの上値は重く、昨年11月27日以来となる8.0円台には届かなった。18-19日に日本銀行の金融政策決定会合、19−20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)と日米中銀イベント直前で、投機筋が円売りポジションを解消しているとの観測なども重しとなった。
ランド・円(東京時間:3月11日―3月15日)
※Investing.comの日足を参照
始値:7.8582円
高値:7.9763円
安値:7.7969円
終値:7.9435円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
3月14日
20時00分、1月製造業生産(前月比)、前回:−1.3%、市場予想:0.6%、結果:0.8%
20時00分、1月製造業生産(前年比)、前回:1.3%、市場予想:0.9%、結果:2.6%
3月20日
17時00分、2月CPI(前年比)、前回:5.3%、市場予想:5.5%
17時00分、2月CPI(前月比)、前回:0.1%、市場予想:0.9%
17時00分、2月CPI(コア)(前年比)、前回:4.6%、市場予想:4.9%
17時00分、2月CPI(コア)(前月比)、前回:0.3%、市場予想:1.1%
20時00分、1月小売売上高(前年比)、前回:2.7%、市場予想:0.9%
20時00分、1月小売売上高(前月比)、前回:1.4%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、20日の2月消費者物価指数(CPI)や1月小売り売上高よりも、日米中銀イベントに左右される展開となりそうだ。
日銀会合では「マイナス金利の解除」が市場コンセンサスとなっており、為替、株式、債券市場はほぼ織り込みつつあるが、「マイナス金利の解除見送り」となった場合の円乱高下は頭に入れておく必要がある。
また、FOMCではドットチャートにて、2024年利下げ見通しが変更されるかどうか予想が分かれている。「2024年3回の利下げ見通し」を今時点のデータで「2回」に変更する可能性は十分高く、東京時間21日未明のFOMC声明及びパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見を受けて、ドルが動く公算は大きい。
ランドは、5月29日に実施される総選挙にて現政権のラマポーザ大統領率いるアフリカ民族会議が大幅に議席を失う恐れが高まっていることから、政治不安を材料に大きなトレンドは発生しにくい。
ただ、今週の日米中銀イベントで、円、ドルともに上下に振れる可能性が大きいことからランドが心理的な節目である8.0円台を回復するチャンスはあろう。日銀会合で「マイナス金利の解除」を実施するも段階的な利上げ実施を植田日銀総裁が否定し、FOMCにて「2024年の利下げ見通しを2回」とし、パウエルFRB議長が利上げの可能性も言及した場合、「ドル高・円安」の流れが強まると考える。こうした結果となった場合、ランドは8.0円台を上回り上への動きを強める可能性がある。
中期的には、ランドは昨年12月28日の7.5595円を起点とした下値支持線が機能していることから下値模索は想定しにくい。心理的な節目である8.0円を上抜けた場合、昨年11月16日の高値8.3404円を意識した上昇も期待したいところだ。政治不安は意識されつつも、ランドは面白い展開を迎えている。
南アフリカランド円日足
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