ドル円の連騰に合わせ4連騰したが14週連続でドル高リラ安
〇トルコ円、ドル円に合わせ3/12から4連騰で戻す。3/16早朝終値は4.64
〇日米金融政策巡りドル円もう一段高ならトルコ円への支援、円高ぶり返すと戻り一巡で下落期入り助長か
〇対ドル、3/15は概ね32.40から31.99の取引レンジ。14週連続でドル高リラ安、史上最安値も更新
〇3/21トルコ中銀金融政策委員会、3/31トルコ統一地方選挙を控え政策金利は現状維持と予想
〇トルコ中銀月次調査、12か月後CPI上昇率予想36.70%、年末の為替レート予想1ドル40.5344
〇4.60上回るうちは上昇余地あり、4.63超えからは4.65試しとする
〇連続的な下落で4.60割り込むところからは下落期入りとみて4.55、4.53を順次試す下落を想定
【概況】
トルコリラ円の3月15日は概ね4.65円から4.57円の取引レンジ、16日早朝の終値は4.64円で前日終値の4.61円から0.03円の円安リラ高だった。
ドル高リラ安が続いており、3月15日もドル/トルコリラは史上最安値を更新したが、ドル円が3月11日安値で下落一巡となり3月12日から15日にかけて4連騰で戻したことでトルコリラ円もドル円に合わせて3月12日から4連騰で戻した。13日午後の飛び値で一時的に4.51円をつけ、15日午前にも一時的に4.52円を付けた場面も見られたが、それを除けば4.57円前後で底固く、16日早朝にかけて徐々に戻り高値を切り上げてきた。3月18日朝には一時的な飛び値で4.75円を付けたものの早々に4.61円前後まで下げている。
ドル円は3月11日安値146.46円から反騰入りし、3月16日未明には149.16円に達した。2月13日高値150.88円から3月11日への下げ幅4.42円に対して2.70円の上昇幅で凡そ6割を戻した。3月18-19日の日銀金融政策決定会合でマイナス金利とYCC(長短金利操作)等の解除が検討され、早ければ今回会合で、遅くとも4月会合で決定されるのではないかとの見方で3月11日安値まで下げたのだが、その後は日銀動向をある程度織り込んだことと、米国の利下げ開始先送り感と米10年債利回りの連騰で上昇している。
3月19-20日には米FOMCも控えており、今週は日米金融政策を巡ってドル円も大きく動きやすいところであり、もう一段高へ進むならトルコリラ円への支援となるが、円高がぶり返す場合はトルコリラ円の戻り一巡による下落期入りを助長するきっかけとなりえるところと注目したい。
【ドル/トルコリラは14週連続でドル高リラ安、8週連続で史上最安値更新】
ドル/トルコリラの3月15日は概ね32.40リラから31.99リラの取引レンジ、16日早朝の終値は32.11リラで前日終値の32.14リラからは0.03リラのドル安リラ高だった。
高インフレが続く中でトルコ中銀が利上げ停止を宣言し、金融政策正常化を進めてきたトルコ中銀のエルカン前総裁が2月2日に突然辞任し、前総裁が取り組んできた外貨準備高増強が続かずに減少傾向に陥り、トルコ経済指標の低調が続く中、3月31日のトルコ統一地方選挙を控えた政局流動性への懸念も抱えてドル高リラ安が勢いを増して連日のように史上最安値更新を繰り返している。
先週は3月14日終値32.14リラで終値としての史上最安値を更新し、3月15日は取引時間中の史上最安値を32.40リラへ更新したが、週間では3月8日終値31.84リラから0.27リラのドル高リラ安、週足は1月26日の週から8週連続で取引時間中の史上最高値を更新、週末値ベースでは12月15日の週から14週連続のドル高リラ安となった。
今週は3月21日にトルコ中銀金融政策委員会があり、3月31日のトルコ統一地方選挙前のため政策金利は現状維持と予想されているが、ゴールドマンサックスやドイツ銀行は利上げもあり得ると予想している。トルコ最大都市のイスタンブール市長選では再選を目指す現職のイマムオール市長(最大野党共和人民党・CHP)与党の公正発展党(AKP)が擁立した国会議員クルム氏の争いとなる。
3月18日午前序盤は33.32リラから32.05リラのレンジで推移しつつ最安値更新を伺っている。
【トルコ中銀調査 12か月後予想は1ドル=40.5344リラ】
3月15日にトルコ中銀の月次調査(エコノミストや企業トップに対する市況調査)結果が公表された。同調査による12か月後CPI上昇率予想は36.70%で前月調査時の37.78%から低下、2024年GDP予想は前月と変わらず3.3%、2024年末の為替レート予想は1ドル40.5344リラで前月調査時の40.0212リラから上昇した。
政策金利見通しは3か月後で46.85%となり前月調査時の45.00%から上昇、12か月後見通しは39.96%で前月調査時の36.62%から若干上昇した。追加利上げ予想が浮上していることとリラ安の継続感が伺われる。
【トルコ中銀 利上げ以外の引き締め策を重ねる】
トルコ中銀は2月22日の前回会合でインフレ抑制のための利上げは終了したとし、インフレ期待が予想範囲に収まるまで現在の政策金利水準を維持し、インフレ見通しの大幅かつ持続的な悪化が見込まれる場合は再び政策スタンスを引き締めるとした。しかし、これ以上の利上げや高金利状態が続くことはトルコ経済への打撃となりエルドアン大統領が同意しない可能性も懸念されている。
トルコ中銀は3月6日に「政策の引き締めスタンスへのコミットメント強化のため」として、商業貸し付けの月次伸び率限度を2.5%から2.0%へ、一般貸し付けを3.0%から2.0%へ引き下げ、3月13日にはリラ建て準備預金の一部(15%から25%)を自由に移動させずに「凍結」することを義務付けた。
3月15日には金融機関に対してクレジットカードや当座貸越口座からのキャッシングに対する月間最高利息を引き上げ、リラ預金比率の月次目標も引き上げた。統一地方選前の米ドル等の需要増等への対応としているが、利上げを見送る中でリラ安を抑制するための引き締め政策を重ねている状況と思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月13日午後の一時的な下落で4.51円まで下げてから元の水準へ切り返し、その後も4.60円前後での持ち合いとなったために3月15日午前時点では3月14日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。
3月16日早朝へ戻り高値を切り上げ、18日朝に飛び値で一段高したものの反落しているためすでにサイクルトップを付けたと注意し、4.60円を上回るうちは上昇余地ありとするが、連続的な下落で4.60円を割り込むところからは弱気サイクル入りとして19日午前から21日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では3月16日早朝への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、19日朝の一時的高値から下落に転じているため遅行スパンは悪化しやすい位置にあるため、遅行スパン悪化からは下落期入りとみて安値試し優先とし、連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性に注意する。
60分足の相対力指数は3月1日早朝に70ポイントを超えてから40ポイント台へ低下しているのですでに下落期に入っていると注意し、連続的な上昇で55ポイントを超える場合は反騰入りとするが、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.60円を下値支持線、4.65円を上値抵抗線とする。
(2)4.60円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.63円超えからは4.65円試しとする。4.65円前後は売られやすいと注意するが、4.60円を上回っての推移なら19日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)連続的な下落で4.60円を割り込むところからは下落期入りとみて4.55円、4.53円を順次試す下落を想定する。4.53円以下は買い戻しも入りやすいとみるが一時的高値を除いて4.60円を割り込んでの推移なら19日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
3月20日
16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 79.3)
23:30 2月 中央政府債務 (1月 6兆9650億リラ)
3月21日
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 45.0%)
20:30 週次 外貨準備高 3月15日時点 グロス (3月8日時点 777.9億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 3月15日時点 ネット (3月8日時点 208.4億ドル)
3月22日
16:00 3月 製造業景況感 (2月 101.5)
16:00 3月 設備稼働率 (2月 76.4%)
17:00 2月 海外観光客数 前年同月比 (1月 2.1%)
注:ポイント要約は編集部
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