『流動性引き締め策を講じるもリラ売り止まらず。来週はトルコ中銀会合に注目』
今週のレビュー(3/11−3/15)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.61円で寄り付いた後、(1)大手格付け会社フィッチによるトルコ格付けの「B」から「Bプラス」への引き上げ発表(見通しについても「安定的」から「ポジティブ」へ変更)や、(2)シムシェキ財務相による「中銀のインフレ抑制を支援するため今後も財政政策を引き締める」との投稿が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値4.64円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)日銀によるマイナス金利の早期解除観測(円金利上昇・円買い→トルコリラ円連れ安)や、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測→米長期金利急上昇→新興国通貨に下押し圧力)が重石となり、週末にかけて、週間安値4.51円(史上最安値)まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し(ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)、本稿執筆時点(日本時間3/16午前3時30分現在)では、4.63円前後で推移しております。
来週の見通し(3/18−3/22)
トルコリラ(TRY)を巡っては対円・対ドル共に連日で史上最安値を更新するなど、冴えない動きが続いています。上位足・下位足共に主要テクニカルポイント(21MA、50MA、90MA、200MA、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド)の下側で推移している他、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」「弱気のバンドウォーク」「ダウ理論の下落トレンド」も継続するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感(今週発表されたトルコ1月失業率は前回の8.8%から9.1%へ大幅悪化。トルコ1月鉱工業生産についても市場予想の+1.5%に対して結果が+1.1%と不冴な結果)や、(2)トルコ国内のインフレ再上昇懸念(実質金利マイナスに伴う構造的なリラ売り圧力)、(3)上記2を背景とした利上げ催促のリラ売り圧力(トルコ中銀は先月の金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決定したが、市場ではトルコ中銀が比較的早いタイミングで利上げ再開に追い込まれるとの見方が市場コンセンサス→事実、トルコ中銀は今週、流動性引き締め策の一貫として銀行に対してリラ建準備預金の一部に凍結義務を課すことを発表→資産規模1000億リラ以上の銀行はリラ建準備預金の15%、5000億リラ以上の銀行はリラ建準備預金の25%が凍結対象)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
こうした中、来週は3/21に予定されているトルコ中銀の金融政策決定会合に注目が集まります。市場予想通り、政策金利の据え置きが決定される場合には、利上げ催促のリラ売りが強まる恐れがあるため、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.45ー4.75
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.03.18
トルコリラ円見通し ドル円の連騰に合わせ4連騰したが14週連続でドル高リラ安(24/3/18)
トルコリラ円の3月15日は概ね4.65円から4.57円の取引レンジ、16日早朝の終値は4.64円で前日終値の4.61円から0.03円の円安リラ高だった。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.03.15
トルコリラ円見通し ドル円の持ち直しでやや戻すが、ドル高リラ安継続で上値重い(24/3/15)
トルコリラ円の3月14日は概ね4.62円から4.57円の取引レンジ、15日早朝の終値は4.61円で前日終値と変わらなかった。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。