トルコリラ円見通し ドル円の持ち直しでやや戻すが、ドル高リラ安継続で上値重い(24/3/15)

トルコリラ円の3月14日は概ね4.62円から4.57円の取引レンジ、15日早朝の終値は4.61円で前日終値と変わらなかった。

トルコリラ円見通し ドル円の持ち直しでやや戻すが、ドル高リラ安継続で上値重い(24/3/15)

トルコリラ円見通し ドル円の持ち直しでやや戻すが、ドル高リラ安継続で上値重い

〇トルコリラ円、3/14朝の一時的な高値で4.65を付けた後は、4.60を挟んだ揉み合いで推移
〇ドル円の反発に支えられて戻りを試してもよいところだが、ドル高リラ安が収まらず上値重い
〇対ドル、3/14は概ね32.25から31.82の取引レンジ、終値ベースでは史上最安値を更新
〇週次の外貨準備高、減少傾向続く
〇4.57を上回るうちは上昇余地ありとし、4.63超えからは4.65試しとする
〇4.57割れからは下向きとし、4.55割れからは4.50前後を目指す下落期入りと考える

【概況】

トルコリラ円の3月14日は概ね4.62円から4.57円の取引レンジ、15日早朝の終値は4.61円で前日終値と変わらなかった。
ドル円は米国の6月利下げ開始期待と日銀の3月会合でのマイナス金利解除へ向けた動きを背景に2月28日高値150.84円から3月11日安値146.46円まで大幅下落してきたが、3月12日の米CPIや14日の米PPIが予想を上回る上昇率だったことでドル高へ風向きが変わり、日銀動向についてもある程度織り込んできたとして3月14日夜に3月12日夜高値を超えて一段高へ進み、15日午前序盤には148.40円台へ高値を切り上げている。

トルコリラ円はドル円の大幅下落時にドル高リラ安からも押されて4.70円を割り込み史上最安値を更新したが、3月13日午後に一時的な安値で4.51円を付けて取引時間中の史上最安値を更新してから早々に元の水準へ戻し、14日朝の一時的な高値で4.65円を付けてから元に戻した後は4.60円を挟んだ揉み合いで推移している。目先はドル円の反発に支えられて戻りを試してもよいところだが、ドル高リラ安が一向に収まらないため、円安時に戻してもその後に一段安を繰り返す右肩下がりの展開から抜け出すのは難しい印象だ。
来週は3月18-19日に日銀金融政策決定会合、3月19-20日に米FOMC、3月21日にトルコ中銀金融政策委員会があり、内容次第ではトルコリラ円が大きく上下に振れる可能性があると注意したい。

【ドル/トルコリラは史上最安値近辺での推移、終値ベースでは史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの3月14日は概ね32.25リラから31.82リラの取引レンジ、15日早朝の終値は32.14リラで前日終値の31.91リラからは0.23リラのドル高リラ安だった。
高インフレが収まらない中でトルコ中銀が8会合連続利上げ後に利上げ終了を宣言したこと、金融政策正常化を進めてきたエルカン前総裁の突然の辞任、外貨準備高の減少、トルコ経済指標の低調さが続く中でリラ売りの流れは収まらず、3月1日から3月13日まで9日連続で取引時間中の史上最安値を更新して13日には32.28リラまで最安値を切り下げてきた。3月14日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの3月14日終値を32.14リラとし、終値ベースでは初めて1ドル32リラ台に乗せた3月12日終値32.03リラを超えて最安値を更新した。

【外貨準備高の減少傾向】

3月14日にトルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は3月8日時点のグロスで777.9億ドルとなり3月1日時点の805.1億ドルから減少し、ネットでは208.4億ドルとなり3月1日時点の205.0億ドルからわずかな増加に留まった。
トルコ中銀はエルカン前総裁就任後に外貨準備高を取り崩してリラ防衛のための市場介入を繰り返して来たことを止めて外貨準備高の増加により海外からの信用を得る政策を進めてきたが、グロスでは2023年6月の565.2億ドルから12月末に975.6億ドルまで大幅増加してから低下傾向に入り3月8日時点の777.9億ドルでこの間の最低となった。ネットではエルカン前総裁就任時の6月にマイナス57億ドルまで悪化したところから12月末に400.9億ドルまで改善したがその後は低下傾向にあり、3月1日時点でこの間の最低としたところからほとんど増えずにいる。
外貨準備高が取り崩される傾向が続く場合には格付け会社による信用判断にも影響が出かねないと注目したい。

【トルコ中銀調査による年末インフレ率予想に注目】

本日はトルコ中銀による月次のビジネスサーベイが発表される。エコノミストや国内企業トップによる予想の集計として年末CPI上昇率や政策金利見通し等が示される。
2月16日の前回報告では2024年末のCPI上昇率は42.96%で1月調査時の42.04%から引き上げられ、政策金利見通しは3か月後が45.0%、12か月後が36.62%、ドル/トルコリラの年末予想レートは1ドル=40.0212リラで1月の39.9958リラから引き上げられている。
トルコ中銀や財務相等は今年前半にCPI上昇率が70%台でピークとなり年末にかけて大幅に鈍化してゆくという楽観的なシナリオを描いており、エコノミストらの予想でも40%台へ鈍化してゆくと見込まれているが、リラ安が収まらなければ通貨インフレ効果でCPI上昇率も見込み以上の高水準にとどまってしまう可能性もある。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月13日午後の一時的な下落で4.51円まで下げてから元の水準へ切り返し、その後も4.60円前後での持ち合いが続いているため、3月14日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。すでに3月14日朝の一時的上昇でつけた高値でサイクルトップを付けた可能性があるため、4.55円を上回るうちは15日の日中から18日にかけての上昇余地ありとし、4.55円割れからは弱気サイクル入りと仮定して18日午後から20日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では一時的な高安を除いて4.60円を挟んだ揉み合いのため方向感に欠けるが、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月12日夜と15日未明に60ポイントを超えたものの60ポイント以上を維持できずにいるため、40ポイントを上回るうちは上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下落期入りとみて20ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.57円を下値支持線、4.63円を上値抵抗線とする。
(2)4.57円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.63円超えからは4.65円試しとする。4.65円前後は売られやすいと注意するが、4.60円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.57円割れからは下向きとし、4.55円割れからは4.50円前後を目指す下落期入りと考える。4.52円以下は反騰注意とするが、4.57円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月15日
 16:00 トルコ中銀ビジネスサーベイ 年末CPI予想集計
 17:00 2月 財政収支 (1月 -1507.2億リラ)
3月20日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 79.3)
 23:30 2月 中央政府債務 (1月 6兆9650億リラ)
3月21日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 45.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 3月15日時点 グロス (3月8日時点 777.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月15日時点 ネット (3月8日時点 208.4億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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