トルコリラ円見通し ドル円の反発で戻したもののドル高リラ安収まらず(24/3/13)

トルコリラ円の3月12日は概ね4.62円から4.57円の取引レンジ、13日早朝の終値は4.60円で前日終値の4.58円から0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の反発で戻したもののドル高リラ安収まらず(24/3/13)

ドル円の反発で戻したもののドル高リラ安収まらず

〇トルコ円、3/13午前序盤、ドル円反落と対ドルでの史上最安値更新により4.57割り込み一段安
〇ドル円反発時にはドル円を追いかけるものの、円安による押し上げ続くことへの期待感は薄い印象
〇対ドル、3/12は概ね32.07から31.85の取引レンジ。8日連続で取引時間中の史上最安値更新
〇トルコ1月経常収支は前月からさらに悪化、3か月連続の赤字
〇1月鉱工業生産、前月比0.0%増で12月から悪化、ハイテク部門の低調さ目立つ
〇一時的な上昇を除いて4.62下回るうちは一段安警戒、4.55割れからは4.52前後への下落を想定
〇4.60から4.62手前にかけては売り有利、その後に4.58を割り込むところから下げ再開及び一段安を想定

【概況】

トルコリラ円の3月12日は概ね4.62円から4.57円の取引レンジ、13日早朝の終値は4.60円で前日終値の4.58円から0.02円の円安リラ高だった。
ドル円の大幅下落とドル高リラ安の継続によりトルコリラ円は2月後半からの下落を続けて、3月11日には4.57円まで史上最安値を更新したが、3月12日はドル高リラ安が継続したもののドル円の反発により若干のプラスで終わった。しかし13日午前序盤はドル円の反落とドル/トルコリラが史上最安値をさらに更新したことで4.57円を割り込んでおり、12日夜高値で戻りが一巡して一段安に入り始めているようだ。

ドル円は鈴木財務相が会見で「デフレから脱却したとまでは認識していない」と述べ、植田日銀総裁が参院財政金融委員会の答弁で「景気は一部の統計に弱めの動きが伺われる」と述べたことでマイナス金利解除へ向けた姿勢がやや緩んだと受け止められて12日午後に147円台中盤へ上昇し、夜の米2月CPI上昇率が概ね予想を上回って高止まり感を示したことによるドル高反応で148.16円まで高値を伸ばしたが、直後に147.07円まで反落するなど148円到達後は上値が重くなっており、来週の日銀金融政策決定会合における政策修正への警戒感が続いている印象だ。
トルコリラ円はドル円の反発時にはドル円を追いかけるものの、今年2月にかけてドル円が大上昇していた時期とは異なり下げ一服によるリバウンド程度にとどまっているために、円安による押し上げ続くことへの期待感は薄い印象で、ドル円の反発に合わせて上昇したところは戻り売りにつかまりその後に安値を更新する右肩下がりの展開で推移しやすい状況と思われる。

【ドル/トルコリラは8日連続で取引時間中の史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの3月12日は概ね32.07リラから31.85リラの取引レンジ、13日早朝の終値は32.03リラで前日終値の31.94リラから0.09リラのドル高リラ安だった。
リラ売りに歯止めがかからず、3月1日から3月12日まで8日連続で取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでは初めて1ドル32リラ台に乗せて2日連続の最安値更新となった。3月13日午前には32.21リラへ最安値を更新している。
高インフレが続く中で連続利上げをしてきたことで高金利によるトルコ経済への圧迫懸念が拡大し、中銀が利上げ終了を宣言してもインフレがさらに加速していることでリラ売りが続き、リラ安が通貨インフレを招く悪循環にある。統一地方選も控えているために3月の再利上げはないとみられる中、市場は利上げ催促的なリラ売りを継続している。

【3か月連続経常赤字、鉱工業生産低調】

3月12日に発表されたトルコの1月経常収支は25.56億ドルの赤字で赤字幅は12月の20.91億ドルから悪化して3か月連続の赤字となった。直近1年では6月と9月、10月に黒字計上したもののそれ以外は赤字であり、エルドアン大統領三選後の金融政策正常化方針により黒字転換を目指してきたものの構造的な赤字体質は改善する兆しが見えない。
3月12日に発表されたトルコの1月鉱工業生産は前月比0.0%増で12月の2.8%増から悪化、季節調整前の前月比は17.1%減だった。前年同月比は1.1%増で12月の2.3%増を下回り低調な状況が続いている。特にハイテク部門は前月比21.5%減、前年比3.3%減と低調さが目立った。
3月12日に発表された1月の建設コスト指数は前月比15.7%増、前年比67.87%。建材は前月比5.13%増、前年比53.29%増。雇用は前月比41.95%増、前年比103.46%と高水準でインフレ圧力の強さを示している。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月6日午前の下落で弱気転換目安とした4.75円を割り込んだために3月4日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定した。
3月12日午前時点では3月7日夜を直近のサイクルボトムとしてすでに底割れから新たな弱気サイクル入りしているとしたが、3月12日夜に戻してから一段安しているため、3月12日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと改めて14日午前から18日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月12日夜への上昇時に遅行スパンが好転したものの先行スパンを突破しきれずに反落して13日午前には先行スパンから転落し始めているので、遅行スパン悪化からは下げ再開として安値試し優先とする。ただし、3月12日夜高値4.62円を上抜く場合は反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は3月12日夜の上昇時に60ポイント台へ乗せたもののその後の反落で50ポイントを割り込んでいるので戻り一巡から下げ再開に入っているとみて40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.55円を下値支持線、4.62円を上値抵抗線とする。
(2)一時的な上昇を除いて4.62円を下回るうちは一段安警戒とし、4.55円割れからは4.52円前後への下落を想定する。4.52円以下は反発注意とするが、4.60円を割り込んでの推移か直前安値から0.04円を超える反騰がみられないうちは14日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.60円から4.62円手前にかけては売り有利とし、その後に4.58円を割り込むところから下げ再開及び一段安を想定する。

【当面の主な予定】

3月14日
 20:30 週次 外貨準備高 3月8日時点 グロス (3月1日時点 805.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月8日時点 ネット (3月1日時点 205.0億ドル)
3月15日
 17:00 2月 財政収支 (1月 -1507.2億リラ)
3月20日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 79.3)
 23:30 2月 中央政府債務 (1月 6兆9650億リラ)
3月21日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 45.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 3月15日時点 



注:ポイント要約は編集部

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