ドル円見通し 日銀総裁答弁で上昇、米CPI発表後に乱高下、148円台維持できず(24/3/13)

ドル円、米CPI発表直後に148.16円へ一段高したが147.07円まで急反落、148円手前へ切り返したものの届かず13日午前序盤147.50円台へジリ安の推移

ドル円見通し 日銀総裁答弁で上昇、米CPI発表後に乱高下、148円台維持できず(24/3/13)

日銀総裁答弁で上昇、米CPI発表後に乱高下、148円台維持できず

〇ドル円、米CPI発表直後148.16へ急伸するも反落、3/13午前序盤は147円台半ばでジリ安推移
〇米2月CPI、1月に続いてインフレの根強さと高止まり感示す
〇米利下げ6月開始期待、CPI発表前の7割台前半から7割弱へ低下
〇利下げを急ぎ過ぎるリスクと利下げ躊躇するリスクをFRBは天秤にかけているところか
〇3/12米長期債利回り、米CPI高止まりを受けて総じて上昇。NYダウは2連騰
〇147.30以上維持なら一段高余地あり、3/12夜高値148.16超えからは148.35から148.65への上昇想定
〇147.30割れからは下向きとし、147円割れからは3/11夕安値146.46試す下落を想定

【概況】

ドル円は日銀によるマイナス金利解除へ向けた関係者の地ならし的発言や報道が相次いだことと、米2月雇用統計発表後のドル安により3月8日夜安値146.48円へ下落し、11日夕刻には146.46円まで安値を若干切り下げたものの大幅下落一服感から下げ渋り、3月12日夕刻にかけては鈴木財務相が会見で「デフレから脱却したとまでは認識していない」と述べたことや、植田日銀総裁が参院財政金融委員会で「景気は一部の統計に弱めの動きが伺われる」と述べたことがマイナス金利解除へ向けた姿勢がやや緩んでいると受け止められて147円台中盤へ上昇した。
3月12日夜の米2月CPI上昇率が高止まりしたことで米国の5月利下げ期待が大幅に後退し、6月利下げ期待度も低下したことで発表後は米長期債利回りが上昇してドル高となり、ドル円は発表直後に148.16円へ一段高したものの147.07円まで急反落し、その後に148円手前へ切り返したものの届かず、13日午前序盤にかけては147.50円台へジリ安の推移となっている。

【米2月CPI、1月に続いて高止まり】

3月12日に米労働省が発表した2月CPI(消費者物価指数)上昇率は前月比0.4%で市場予想と一致したが1月の0.3%を上回り、前年同月比は3.2%で1月及び市場予想の3.1%を上回った。コア指数の上昇率は前月比0.4%で1月と変わらなかったが市場予想の0.3%を上回り、前年同月比は3.8%で1月の3.9%から鈍化したものの市場予想の3.7%を上回った。
インフレの根強さと高止まり感を示すものとなり、米国の利下げ開始時期については5月開始期待はほぼなくなり、6月開始についても発表前の7割台前半から7割弱へ低下した。昨年12月FOMCで示された年内3回以上の利下げ想定は変わらないと思われるが、年2回利下げへ下方修正されて利下げ開始が年後半へ先送りされるのではないかとの見方も浮上しているようだ。

米CPI全体の前年比は2022年7月に9.1%でピークを付けて2023年7月に3.0%まで低下したが、その後も3%台を維持して下げ渋りが続いている。しかしコア指数の前年比は2022年10月の6.6%をピークとしてほぼ毎月低下して今年2月の3.8%がこれまでの最低となっている。FRBがインフレ指標として最重視しているコアPCE(個人消費支出)デフレーターは2022年3月の5.4%をピークとして今年1月には2.8%まで低下して着実にインフレは鈍化傾向をたどっている。
3月19-20日に米FOMCがあり参加者の金利見通しが公表される。FRBとしては利下げを急ぎ過ぎるリスクと利下げを躊躇するリスクを天秤にかけているところだが、このFOMCにおける参加者見通しで6月利下げへの高い期待が維持されるか、利下げ開始が先延ばしされるのか見極めたいところだ。

【米10年債利回りは米CPI発表後に続伸】

3月12日の米長期債利回りは米CPI高止まりを受けて総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.05%上昇の4.15%で終了、一時は4.17%をつけて3月8日に付けた4.04%以降の高値を更新、3月11日の0.02%上昇から2連騰とした。この日実施された米10年債入札(390億ドル)がやや低調だったことも利回り上昇要因だった。
30年債利回りは前日比0.05%上昇の4.31%、2年債利回りは前日比0.05%上昇の4.59%となった。
一方、NYダウは前日比235.83ドル高と上昇、11日の46.97ドル高から2連騰とし、ナスダック総合指数も246.37ポイント高と反騰した。米CPIの高止まりで米国の利下げ開始が先延ばしされたとしても年内の利下げ開始見通しは変わらないとして楽観的な株高感が維持されている印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は先週の大幅下落から3月11日夕安値146.46円まで安値を切り下げてきたが、大幅下落がひとまず落ち着いて買い戻し優勢となり12日夜には148.16円まで戻した。147円台を維持するうちは3月11日夕安値を起点として13日の日中から15日未明にかけての間へ戻り高値の切り上げを試す可能性があるとみるが、147円割れからは戻り一巡による下落再開と仮定して14日午後から18日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、3月12日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いた。その後も先行スパンを上回っているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月12日夜に70ポイントを超えたもののその後のジリ安で60ポイントを割り込んでいる。60ポイント台回復からは上昇再開と一段高を想定するが、相場が高値を切り上げる際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とする。50ポイント以下での推移が続き始める場合は下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147円を下値支持線、3月12日夜高値148.16円を上値抵抗線とする。
(2)147.30円以上を維持するうちは一段高余地ありとし、3月12日夜高値148.16円超えからは148円台中盤(148.35円から148.65円)への上昇を想定する。148.50円以上は反落注意とするが、147.30円以上を維持しての推移なら14日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)147.30円割れからは下向きとし、147円割れからは3月11日夕安値146.46円を試す下落を想定する。146.50円前後は買われやすいとみるが、146.46円を割り込むところからは145円台前半を目指す下落期入りと考える。

【当面の予定】

3/13(水)
16:00 (英) 1月 月次GDP 前月比 (12月 -0.1%、予想 0.2%)
16:00 (英) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 0.6%、予想 0.0%)
16:00 (英) 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 0.6%、予想 0.7%)
16:00 (英) 1月 製造業生産指数 前月比 (12月 0.8%、予想 0.0%)
16:00 (英) 1月 貿易収支・物品 (12月 -139.89億ポンド、予想 -150.50億ポンド)
16:00 (英) 1月 貿易収支 (12月 -26.03億ポンド、予想 -30.00億ポンド)
19:00 (欧) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 2.6%、予想 -1.5%)
19:00 (欧) 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 1.2%、予想 -2.9%)
23:30 EIA週間石油在庫統計
26:00 米財務省30年債入札

3/14(木)
21:30 (米) 2月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (1月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 2月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (1月 0.9%)
21:30 (米) 2月 コアPPI・食品・エネルギー除く 前月比 (1月 0.5%、予想 0.2%)
21:30 (米) 2月 コアPPI・食品・エネルギー除く 前年同月比 (1月 2.0%)
21:30 (米) 2月 小売売上高 前月比 (1月 -0.8%、予想 0.7%)
21:30 (米) 2月 小売売上高・除自動車 前月比 (1月 -0.6%、予想 0.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.7万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 190.6万人)
23:00 (米) 1月 企業在庫 前月比 (12月 0.4%、予想 0.3%)


注:ポイント要約は編集部

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